「平成30年国の機関等における障害者雇用状況の集計結果」から見る公的医療部門の障害者雇用状況

厚生労働省は、平成30年12月25日付けで「平成30年 国の機関等における障害者雇用状況の集計結果」を公表しました。例年この時期に公表されるのは、6月1日現在の民間企業と国の機関等の雇用状況の数値ですが、今回は国の機関等の集計結果のみで、民間企業における雇用状況については「データ入力のための作業ツールの不具合により、平成31年3月末までに公表する予定」とのことです。

(資料)「平成30年 国の機関等における障害者雇用状況の集計結果」

昨年夏以来、公務部門における障害者雇用率の算定について不適切な問題が指摘され、平成29年6月1日現在の障害者雇用状況の数値が大幅に下方修正されたことから、今回新たに取りまとめられた平成30年6月1日の数字も同様に低いものとなっています。

このうち、医療機関の運営を主とする法人の状況を見ると、国レベルの機関では国立がん研究センター(2.63%)、国立国際医療研究センター(2.59%)、国立循環器病研究センター(2.65%)、国立成育医療研究センター(2.58%)、国立精神・神経医療研究センター(2.51%)、国立長寿医療研究センター(2.75%)、国立病院機構(2.49%)、地域医療機能推進機構(2.69%)、労働者健康安全機構(2.91%)となり、国立病院機構(不足数5名は既に解消)を除けば法定雇用率を上回る結果でした。これに対して、医科系の国立大学では旭川医科大学(2.27%)、東京医科歯科大学(2.38%)、浜松医科大学(2.42%)、滋賀医科大学(2.31%)といずれも法定雇用率を下回る結果でした。

一方、都道府県の病院局では、北海道立病院局(1.05%)、青森県病院局(2.61%)、岩手県病院局(2.53%)、福島県病院局(3.23%)、茨城県病院局(1.31%)、群馬県病院局(2.65%)、埼玉県病院局(2.57%)、千葉県病院局(2.32%)、新潟県病院局(3.19%)、静岡県がんセンター局(2.49%)愛知県病院事業庁(2.80%)、三重県病院事業庁(3.97%)、兵庫県病院局(1.79%)、南和広域医療企業団(1.97%)、鳥取県病院局(2.51%)、島根県病院局(0.58%)、徳島県病院局(3.14%)、長崎県病院企業団(2.53%)、熊本県病院局(1.53%)、大分県病院局(4.22%)、宮崎県病院局(1.43%)、鹿児島県県立病院局(0.60%)と法人によって大きな差があります。

特に不足数の多い兵庫県病院局(27.5人)、島根県病院局(9.0人)、鹿児島県県立病院局(9.0人)、茨城県病院局(7人)、北海道立病院局(6.0人)、宮崎県病院局(6.0人)では、ジョブコーチを配置したチーム就労の体制を作ることが効果的と思われます。その意味では、地域の就労支援機関から積極的に働きかけを行うなど、地域での総合的かつ継続的なサポート体制の構築が期待されます。