平成30年度JKA補助事業報告会(平成31年1月25日)

特定非営利活動法人 全国精神障害者就労支援事業所連合会(Vfoster)が公益社団法人JKA補助事業により実施しているSPISの普及活動について、平成30年度事業報告会「精神・発達障害者の就労定着のために~障害者雇用のあり方と職場の取組を考える」が平成31年1月25日に東京都品川区の人事労務会館で開催されました。SPIS(Supporting People to Improve Stability)は、精神障害や発達障害のある方やメンタル不調のある方向けの雇用管理システムで、個人の特性に合わせて評価項目を設定できる日報形式のシステムになっており、働く当事者それぞれの特性に合わせて項目設定した日報をウェブ上で利用者本人、職場の担当者、外部支援者の三者で共有するものです。

報告会では、島津製作所と全国土木建築国民健康保険組合からSPISの利用についての事例報告がありました。島津製作所では、メンタル不調者からSPISのトライアルをスタートし、現在ではメンタル不調者3名、精神障害のある社員3名の計6名がSPISを利用している事例について、同社人事部マネージャーの境浩史さんから報告がありました。全国土木建築国民健康保険組合では、同組合が運営する病院や健康管理センター等の健診の際に提出される問診票データの入力業務を基幹業務に、発達障害のある職員を新規に雇用した際に、採用以前から就労移行支援事業所で利用されていたSPISを引き続き導入した事例について、同組合人事課係長の町田睦夫さんから報告がありました。

その後、当ネットワーク代表世話人の依田から「SPISを使って分かったこと&遠隔支援の普及の課題」と題した報告を行いました。SPISのような遠隔支援システムは、限られた専門職を有効活用する点でも、全国に支店や営業所のある大手企業などでは特に効果的と思われます。全国に事業所が散在する点で同様の環境にある中央省庁では、精神障害者や発達障害者を今後大量に雇用すると予想されるだけに、職場定着に効果的な遠隔支援システムの導入が期待されます。他方、精神障害や発達障害の延長には、うつ病の休職者や自閉症スペクトラム(ASD)などの産業保健や労務管理上の課題がありますが、SPISによる「見える化」を通じて、一見問題がなさそうでも課題を抱える社員の存在に目が向けられるようになれば、メンタル面に課題を抱える社員にも働きやすい職場環境ができることにも繋がると考えられます。

「SPISを使って分かったこと&遠隔支援の普及の課題」