国の行政機関の障害者の採用・定着状況等特別調査の集計結果(令和元年8月28日)

厚生労働省は「国の行政機関の障害者の採用・定着状況等特別調査」の集計結果を取りまとめ、令和元年8月28日に公表しました。この集計結果においては、平成30年10月23日から令和元年6月1日までに国の行政機関に採用された障害者について、令和元年6月1日現在の定着状況等が明らかにされています。

この間の採用者は、常勤・非常勤合わせて3,131人(実数)で、その7割以上が非常勤職員としての採用でした。3,131人のうち161人(非常勤職員が159人)が既に離職していました。定着率は94.9%となり、この数字だけを見ると安定して働けているようにも見えますが、実際の雇用現場からは、障害に関する自己理解の乏しい者など職業準備性の低い者が多く雇用されている、仕事を任せられず職場の重荷となっている、どう指導して良いか分からないなど、切実な状況も聞こえてきます。これには、採用に当たって職場実習を行うケースがほとんどないことも関係していると思われます。正規職員である常勤職員の採用には職場実習を組み込むことは難しいですが、弾力的な採用手続が可能な非常勤職員についても職場実習が行われていない実態からは、職場実習を通じて障害特性の確認や仕事との適性を確認するという障害者雇用の常識が、身体障害者以外の雇用実績が少ない公務部門では未だ理解されていない状況にあることが伺われます。

障害特性と仕事とのマッチングがされず、職場で戦力になることができないまま、任期切れまでいるだけという状態は、本人の仕事へのモチベーションが持てないだけでなく、周りの職員にも負担が大きいことから、早急な改善が求められるところです。

 

「国の行政機関の障害者の採用・定着状況等特別調査の集計結果」