赤十字看護管理者研修における講演(令和2年2月3日)

全国で赤十字病院を運営する日本赤十字社は、人道や公平といった赤十字基本原則を踏まえた活動を展開しています。日本赤十字社幹部看護師研修センター(東京都渋谷区)では、全国の赤十字病院・施設から派遣された看護師等を対象に、赤十字の理念を教育の基礎とし、将来、病院の看護管理者として活躍できる人材を育成するための教育を実施しています。「令和元年度赤十字看護管理者研修Ⅲ」の研修の一環として、令和2年2月3日に当ネットワーク代表世話人の依田が「赤十字組織の経営〜働き方改革に資する障害者雇用〜」をテーマに3時間の講義を行いました。この研修は、サードレベル研修のカリキュラムに引き続いて行われるもので、看護副部長を中心に全国から26名の看護師が参加しました。

講義の後半ではグループワークを行い、「病院で障害者雇用を進める際、どのような仕事を担当してもらうと現場が助かり、看護部門の「働き方改革」につながるか」と「看護現場にいるコミュニケーション等に問題を抱える自閉症スペクトラム(ASD)のある職員に担当させられる仕事は何か」の2つの課題について受講生の皆さんで話し合ってもらいました。

第1の課題については、様々な業務が提案されました。障害者雇用に切り出しできる業務が看護部門に豊富に存在することを、受講生の皆さんにも十分理解いただけたことと思います。それぞれの病院に戻ってから、看護部門の働き方改革の一環として、こうした話し合いが行われることが期待されます。

第2の課題については、看護管理者として切実な問題であることが伺えました。業務の種類としては、手術室、透析室、内視鏡室など、他の病院グループの研修でも出ていた内容と同様な提案がありました。現実問題としては、「通常の看護業務を安心して任されない者に担当業務の変更をどう説明するか」「周囲の看護師から不公平だと不満が出ないためにはどうすれば良いか」といった点に皆さんの関心があるようでした。

障害があっても「できないこと」ではなく「できること」に着目して、能力を活かして活躍してもらう障害者雇用の発想は、人道や公平といった赤十字の基本原則にも合致するものでしょう。赤十字病院が障害者雇用の面でも地域のモデルとなることを期待したいと思います。

 

(講義資料)「赤十字組織の経営〜働き方改革に資する障害者雇用〜」