宮城県立病院機構での講演(令和3年6月30日)

宮城県内で県立がんセンターと県立精神医療センターの2つの病院を運営している地方独立行政法人宮城県立病院機構は、6月30日に「令和3年度障害者雇用の推進に向けた職員研修」を開催し、当ネットワーク代表の依田が「病院での障害者雇用の進め方」をテーマに講演を行いました。研修には、機構の荒井理事長ほか機構本部や2病院の幹部職員40名ほどが参加されました。講演の中では、受講者の皆さんが具体的なイメージを持てるよう、医療機関での障害者雇用の実例を数多く紹介しました。特に、がん医療という共通点がある国立がん研究センター中央病院の障害者雇用については、10分ほどの紹介ビデオも上映しました。

講演後の質疑応答の中では、研究部門での障害者雇用の業務内容について質問がありました。パソコンを使う仕事としてはアンケート集計や定型的なデータ入力業務などがあり、実験系の仕事では実験器具や検体の準備や洗浄、後片付けなどがあることを紹介しました。また、精神科医療に特有な問題として、自院の患者を雇用することの適否についての質問もありました。担当する業務によっては全く問題ありませんが、ピアスタッフとして患者の支援に当たる職員については、患者と職員の二面性を避けるため、自院の患者は雇用せず他院の患者を雇用している例もある一方で、自院の患者をピアスタッフに登用している例もあるので、後者においてどのような配慮をしているかは参考になるでしょう。このほか、チーム就労を行う場合の作業室やジョブコーチについての質問もありました。作業テーブルを置ける小さな専用の部屋があるのが理想ですが、総務部門の大部屋の一画を仕切って作業コーナーにしている例もあり、チームの規模が小さい場合は、それでも対応可能でしょう。ジョブコーチは外部から採用する例もありますが、定年再雇用者を当てている例もあります。必ずしも専門職である必要はなく、事務職がなっている例もあります。いずれにしても、事前に障害者雇用担当者向けの公的機関の研修を受けておくと、安心してジョブコーチとして働けるでしょう。

民間企業より0.3ポイント高い雇用率が適用される地方独立行政法人には、障害者雇用に率先して取り組むことが求められています。今回の研修がきっかけとなり、地域の医療機関のモデルとなるような取り組みが2つの県立病院から始まることを期待しています。

(講演資料)