沖縄県立精和病院の障害者雇用研修での講演(2022年6月2日)

沖縄県病院事業局が運営する6つの県立病院の1つで精神科病院の沖縄県立精和病院(沖縄県南風原町)が6月2日に開催した障害者雇用に関する研修会において、「病院での障害者雇用の進め方〜働き方改革に資する障害者雇用〜」をテーマに講演を行いました。研修会には、会場に集まった病院幹部職員に加え、オンラインで他の県立病院からも多くの皆さんが参加されました。90分の講演の前半では、各病院共通のメッセージとして、コンプライアンスの視点だけで障害者雇用を考えるのではなく、「働き方改革」の視点を持たないと「もったいない」ことを、具体的な事例を含めて紹介しました。講演の後半では、精神科病院で生じがちな「雇用とデイケアの境目が曖昧」なことの問題点や、医療職が就労支援に関わる際の留意点について説明しました。講演後の意見交換では、精神科病院で支援に取り組んでいるような患者さんは、「雇用できない人」に分類されてしまうのかといった質問がありました。患者さんの社会復帰に向けて日々努力されている医療職の皆さんにとっては、切実な疑問だと思います。この点については、社会復帰に向けたステージのどの段階にあるかの問題であり、状況によってはまだ雇用に進める段階ではないことがあるにしても、「雇用できない人」がいるわけではないことを説明しました。合わせて、精神科病院以外に就労に関わる機関が地域になかった時代と異なり、今では様々な就労支援機関が地域に存在していることから、精神科病院で全てを対応しようとするのではなく、地域の就労支援機関に繋げていく視点が必要なことを指摘しました。精神科病院としては、地域の中で適切な連携先を見出し、自らも就労支援に向けた支援機関のネットワークの一員として、患者の社会復帰のための支援体制構築に貢献していかれることを期待します。

(講演資料)「病院での障害者雇用の進め方〜働き方改革に資する障害者雇用〜」