利用者の視点でジグも進化

障害者雇用の現場では、障害のあるスタッフが作業しやすいように、ジグ(jig)という補助具が使われることがあります。ジグというのは、もともと製造業などで加工や組み立て作業を行う際に、部品や工具を正しい位置に置くのを助けるもので、現場の作業員が工夫して様々なジグが考案されています。

障害の特性として、均等な長さに切ったり、端を揃えて折ったり、決まった位置にシールを貼ったりするのが苦手な人もいますが、こうした人もジグを使うことで、仕事が正確にできるようになります。

都内にある公的病院では、複数の書類をセットする作業を行う際に、書類の端が不揃いになってしまうスタッフがいたので、ジグとしてクリアファイルの中に書類を入れてセットする方法を指導しました。クリアファイルの中で書類はきれいに揃えられましたが、クリップ留めするためにクリアファイルから取り出す際に、再び書類が不揃いになってしまいました。どうしたら良いか話し合う中で、障害のあるスタッフから、クリアファイルの隅を切り取れば、クリアファイルに入れたまま書類をクリップ留めできるのではないかと提案がありました。この提案で改良されたジグにより、作業の正確性とスピードが向上したそうです。障害のあるスタッフが利用者の視点でジグの改良に参加し、生産性の向上に貢献した好事例と言えるでしょう。