教える経験で人は成長する

東京都内で公的病院を運営している法人の本部では、発達障害のあるスタッフが事務補助の仕事をしています。この職場では、障害のあるスタッフが安定的に働けるよう、web日報システムのSPIS(エスピス)を導入しています。SPISでは、毎日の業務が終了する際に、障害のあるスタッフが自身のメンタル状態を職場のPCから入力し、それを閲覧する人事課の職員がコメントを書き込みます。この画面は、外部の支援機関も閲覧できるため、必要に応じて支援機関の専門スタッフからも、障害のあるスタッフや人事課の職員にアドバイスしてくれます。このシステムを利用することで、外見や本人との会話だけでは分からないメンタル面の状態が把握できるため、不調時にも早めの対応ができ、安定的な雇用が実現できています。

SPISの活用効果もあって、雇用が長期的に安定してきたことから、人事課では新たなスキルアップの目標を示すことを考えました。たまたまコロナ感染が拡大した時期で自宅待機の時間もあったことから、その時間を活用して「健康管理能力検定」の受験を勧めてみました。本人が努力した結果、試験に見事合格できたことから、次なるステップとして、健康経営の取組の一環として、職員研修で健康管理の話をしてもらうことを提案しました。自らの体験を含めた講義は、受講者からとても評判だったそうです。その結果、障害のあるスタッフに対するイメージは随分良くなったようですが、何よりも人に教えて喜んでもらえた経験は、本人にとっても大きな自信になったようです。