実習生が作った「宝物」のマニュアル

福岡県にある民間の精神科病院で使われているシーツ交換マニュアルは、作業の細かな工程ごとに写真入りで丁寧に作成されていて、これを見ることでスムーズに仕事を覚えられるようになっています。実はこのマニュアルは、特別支援学校からインターンシップで病院に来た軽度知的障害のある学生が作成したものです。実習生には、シーツ交換、認知症デイケアの補助、環境整備等を体験してもらいましたが、これからの時代は情報技術があると活躍できる職域も増えると考えた病院では、PC操作の体験もしてもらいました。最初に少しだけ操作方法を説明した上で、シーツ交換作業の録画動画から静止画を切り出し、ポイントとなる工程ごとに静止画を選んで貼り付け、説明文も挿入してもらいました。病院側でも、いつかこういうマニュアルを作りたいと思っていたので、ちょうど良い機会となったようです。実習生のPC操作は特に問題もなく、説明文の表現について若干アドバイスする程度だったそうです。実習生にとってマニュアル作りは貴重な体験の機会となりましたが、完成したマニュアルは病院の「宝物」になったそうです。知的障害と聞いただけで、できることは限られると考えられがちですが、この病院のように既成概念にとらわれず新たな可能性を見出そうとする姿勢は、とても大切なことでしょう。