「公的機関での障害者雇用についての交流会」での講演(2023年2月10日)

愛媛県/南予地域就労支援ネットワーク連絡会の主催で、昨年度に続き「公的機関での障害者雇用についての交流会」がオンライン形式で2月10日に開催されました。愛媛労働局から県内の公的機関に声かけされたことともあり、愛媛県、7市1町、1広域事務組合、2国機関等から30名以上の方が参加されました。

愛媛労働局職業対策課地方障害者雇用担当官の川口隆靖さんの挨拶の後、話題提供として当ネットワーク代表の依田から「公的機関での障害者雇用の取組」についてお話しし、千葉県や神奈川県の教育委員会における障害者雇用の取組を紹介しました。また、愛媛県からは「愛媛県八幡浜チャレンジオフィスの障がい者雇用の取り組みについて」同オフィスのオフィスマネージャーの大野定武さんから報告がありました。

交流会では、公的機関の皆さんが日頃職場で悩まれていることについて質問があるなど、率直な意見交換が行われました。現場の課題として、公的機関は個人情報を取り扱うことが多いため、業務の切り出しに苦労しているとの声もありました。実際には、公的機関で個人情報の入力や個人情報の書類の廃棄などに従事している障害者はたくさんいますし、雇用には守秘義務が伴うことをきちんと説明すれば、ほとんどの人は理解できています。その上で、どうしても不安を感じる者には、個人情報に関わらない仕事を担当させれば良いでしょう。大切なのは、職員の「働き方改革」につながる業務を切り出す視点であり、職員アンケートをすれば、そのような業務が個人情報に関わらない業務にもたくさんあることが明らかになるでしょう。

交流会では、休みがちな者に対してどこまで配慮すべきかという悩みも出ました。障害者への対応というと、「福祉」的な発想で考えられがちですが、公的機関であっても賃金を払う「雇用」は、服務規程等の職場のルールが適用される世界です。雇用分野での「合理的配慮」は、職業人としての能力を発揮してもらうためのものであり、配慮をしても賃金に見合った働きが困難な場合には、雇用継続が難しいことは公的機関も民間事業所と変わりありません。

愛媛県では昨年に続く交流会でしたが、今年度は、沖縄労働局と宮城労働局でも地方公共団体を対象とした研修会が開催されました。労働局では「公務部門向け障害者職業生活相談員資格認定講習」を実施していますが、このような担当者レベルの研修とともに、組織内での障害者雇用の全体的なプランニングを行う人事部門を対象とした今回のような機会は、今後ますますニーズが高まっていくことでしょう。

(講演資料)「公的機関での障害者雇用の取組」