第42話 私たちの仕事に名前をつけて

医療機関で働く障害のあるスタッフも増えてきましたが、院内で働く彼らや彼女らのことをどう呼ぶのか、医療機関によって呼称は様々です。医療機関には様々な専門職が働いているので、個人名を使わない場合は、看護師さん、薬剤師さん、技師さんなどの職名で呼ぶことも多いと思います。これに対して、障害のあるスタッフには明確な職名がないため、「障害者雇用の人」や「障害者雇用のスタッフ」と呼ぶことも多いようです。集中配置型の場合には、そのチームの組織名で「○○のスタッフ」と呼ばれたり、着ているユニフォームの色で「○○色のチーム」と呼ばれることもあるようです。

 福岡市にある博愛会病院でも、当初は「障がい者雇用者」という呼び方をしていましたが、特別支援学校からの実習を受け入れた際、実習生から「障害は受け入れないといけないと頭ではわかっているのですが、やっぱり(障害者という言葉は)嫌だなという気持ちはあります」「小学校や中学校の同級生にどんな仕事をしているか将来聞かれた時に、ちゃんと答えられるような名前が欲しい」と言われたそうです。そこで、障害者雇用枠で働いている職員にも話を聞いたところ、同じ言葉が返ってきたそうです。自分の仕事を誇れる名称が欲しいという思いを受け止め、病院では障害者雇用枠で働いている職員を含む職員の皆さんから広く意見を募集しました。

 色々な意見が出てきた中で採用されたのは、障害者雇用枠で働いている職員から提案された「ケアメイト」という名称でした。提案者の自筆で書かれたメモには、「ケア」=「人にしてあげたいという気持ち、社会貢献」と「メイト」=「仲間」で、「職員のみんなの支えになりたい」という思いを込めたと書かれていたそうです。自己紹介する際に、「私はケアメイトの仕事をしています。ケアメイトの仕事というのは〜」と、自分の仕事を誇らしく説明する姿を見るにつけ、呼称の持つ力というものを感じざるをえません。