医療-福祉-企業の地域連携シンポジウム(2023年3月21日)

NPO法人全国精神保健職親会(vfoster)(理事長:中川 均)主催の日本財団助成事業報告会「医療–福祉–企業をつなぐ「ともに働く」地域連携ネットワーク」が東京都立産業貿易センター浜松町館(東京都港区)で開催され、オンライン参加と合わせて60名ほどが参加されました。

島根県浜田市にある清和会西川病院の林輝男医師による基調講演「医療–福祉–雇用の地域連携に向けて〜精神科病院からの就労支援〜」に続き、各地での取り組みとして、いわき市障がい者職親会理事長の石山伯夫さん、兵庫県精神障害者就労支援事業所連合会会長の野村浩之さん、兵庫県精神保健福祉センターの中谷恭子さんから報告がありました。その後、前半の登壇者4名に加え、全国就業支援ネットワーク代表理事の藤尾健二さん、東京中小企業家同友会会員の三鴨岐子さん、厚労省障害者雇用対策課長の小野寺徳子さんを交えたパネルディスカッションが行われ、当ネットワーク代表の依田がファシリテーターを担当しました。

パネルディスカッションでは、ネットワークに自治体を誘い込むコツ、障害者就業・生活支援センターの「基幹型」としての役割と自立支援協議会の活用、ネットワークの一員としての企業のノウハウの活用等について、登壇者から活発な発言がありました。

ネットワークについては、地域の課題や支援機関の役割について共通認識する場として、基幹相談支援センターや自立支援協議会(就労支援部会)の活用も指摘されました。就業支援は労働行政で広域的な対応なのに対して、生活支援は福祉行政で市町村単位の対応という違いはありますが、だからこそ障害者の雇用行政と福祉行政が一緒になって「連携」を促す明確なメッセージを発信し、連携を進めやすい具体的な仕組みづくりを進めることが期待されます。

また、企業が法定雇用率の達成のみを目的に雇用率ビジネスの利用に走らずに、障害者の能力を活かして戦力化していくためには、障害者雇用の経験やノウハウがある企業からの情報発信が効果的という指摘もありました。厚労省で検討中の助成金制度の見直しの中に「障害者雇用相談援助助成金」の新設が盛り込まれた趣旨も、こうした企業からのアドバイスを広げる目的があるとの説明がありました。

地域の取組事例からは、地域ごとに様々なネットワークづくりがあり、そこから様々なヒントが読み取れることを感じたパネルディスカッションとなりました。