第44話 作業マニュアルが他院での仕事を生み出す

障害のあるスタッフが業務を確実に行えるようにするには、どうすれば良いかと悩まれている障害者雇用の担当者も多いと思います。先進的な病院では、作業内容を写真や図を使って説明する作業マニュアルを作成し、障害のあるスタッフに仕事を教えるのに活用しています。仕事をスタートした後も、作業内容が不確かな場合はいつでも作業マニュアを見て自分で確認できるため、自信を持って仕事ができるようになります。

国立がん研究センター中央病院では、「誰もが分かるような」マニュアル作りをコンセプトに、様々な業務の作業マニュアルを作成していて、見学に来られた他病院の方にも、希望があれば惜しげなく提供しています。

先日、見学に来られた都内の公的病院の皆さんが持ち帰った作業マニュアルのうち、薬剤カートの搬送業務の作業マニュアルを自院の薬剤部に見せたところ、「これだけ分かりやすく丁寧なマニュアルがあるなら、当院でも障害のあるスタッフにやってもらえるのではないか」という話になり、早速、病院で雇用している障害のあるスタッフの新たな仕事としてトライアルを開始したそうです。この報告を受けた国立がん研究センターのジョブコーチは、「他病院での業務拡大に繋がったことはとても嬉しい」と話していました。

先行事例のノウハウがそのまま使えるのは、病院業務の特徴と言えますが、その典型的なものとして作業マニュアルの活用を考えてみるのも良いでしょう。「医療機関の障害者雇用ネットワーク」の「ジグ活用事例ライブラリー」では、作業マニュアルの紹介もしていますので、参考にしてみてください。

「薬剤メッセンジャー(搬送)作業マニュアル」

ジグ活用事例ライブラリー