さいたま障害者就業サポート研究会での講演

さいたま障害者就業サポート研究会(代表:朝日雅也 埼玉県立大学名誉教授)の第89回研究会が2024年6月24日にさいたま市民会館大宮(Rai Boc Hall)(埼玉県大宮市)で開催され、企業、医療機関、教育機関等から約60名の参加がありました。研究会ではネットワーク代表の依田が「除外率引き上げにどう向き合うか〜医療業と教育業を中心に〜」をテーマに1時間講演を行いました。

講演では、医療業や教育業などの「除外率対象業種」に焦点を当てました。「除外率対象業種」では法定雇用率の引き上げと除外率の引き下げのダブルパンチで、業種内に危機意識が高まっていること、「除外率対象業種」は業務の性質から国家資格等を有する専門職の割合が高く、専門職の生産性を高める「働き方改革」の観点でのタスクシフトの中で障害者雇用の新たな職域が生まれる可能性があることを指摘しました。

その上で、障害者雇用を働きかけるポイントとして、医療機関を例に取って、①医療機関の関心事を掴む、②専門職のためになることを伝える、③障害者が戦力になっている事例を紹介する、④同じ専門職からのメッセージを伝える、ことを説明しました。

講演後には、研究会代表の朝日さんと30分ほどのトークがありました。「定型的な業務」を切り出すことについて、仕事へのモチベーションが持てるかとの質問には、その仕事を片手間にしていた専門職よりも丁寧で綺麗な仕事ぶりで、専門職から感謝されている病院の例を紹介しました。どのような仕事でもプロと感じられることが大切で、「定型的な仕事」も決して「雑務」として軽視されるべきものではないでしょう。

会場参加者からは、病院現場で障害者に仕事を教える側の負担感について質問があり、仕事とのマッチングや教え方の工夫によって、指導する側の負担が大きく減ることを説明しました。病院にも障害者雇用代行ビジネスの営業があるようですが、負担感を考えて農場など医療と関係ない代行ビジネスに障害者雇用を委ねることは、せっかく専門職の業務負担を軽減できる機会を自ら失うものであり、大変もったいないことでしょう。

(講演資料)

「除外率引き上げにどう向き合うか〜医療業と教育業を中心に〜」

(参考)「ちょっと元気の出る話」(当ネットワークホームページから)

第24話「大切な仕事を「雑務」と呼ばないで」

第42話「私たちの仕事に名前をつけて」