障害のあるスタッフが院内で担う業務の中には、これまで看護助手や調理助手が行なっていた業務も多いです。
都内にある公的病院では、特別支援学校を卒業して新卒で採用された男性スタッフが調理補助の業務で働いています。下膳された食器から残滓をスポンジで取り除き、食器の種類ごとに移動式シンクに沈めます。それを引き上げて食洗機にセットする業務ですが、種類ごとに100個以上ある食器を1つずつシンクから引き上げて食洗機にセットするのは、腰にも負担がかかるため、年齢の高い調理助手にはきつい作業でした。そこに若い職員が調理補助として加わり、シンクから次々に食器を引き上げ、両手を使ってスピーディーに食洗機にセットしていく姿を見て、調理助手の皆さんから「とても助かる」と感謝されているそうです。
この病院の調理部門には、もう一人、精神障害のある若い女性スタッフも配置され、小鉢への料理の盛り付けと配膳カートへのセットを担当しています。最初は短時間の勤務でしたが、丁寧な盛り付けと手際の良さが評価され、本人の希望で勤務時間も少しずつ長くなり、今では調理部門の戦力として活躍しています。
二人とも周りの職員から感謝されることで、自分が貢献できていることを実感でき、仕事にも前向きに取り組めているようです。
最近では、看護助手や調理助手の募集をしても人材が確保できず、高齢になっても働き続ける人も増えているので、院内で障害のあるスタッフの若い力が活躍する機会は更に増えていくことでしょう。