第51話 看護部長は障害者雇用のキーパーソン

障害者雇用の先進病院を訪問した際、障害者雇用に積極的に取り組んでいる理由をお聞きすると、看護部長さんに理解があることを指摘されることが多いように思います。病院職員の中では看護職の数が最大であることに加え、看護部門には障害者雇用に適した業務が豊富に存在しているため、看護部門を統括する看護部長の理解と協力が鍵となるからです。

奈良県の多くの公立病院では、特別支援学校の在校生の実習を積極的に受け入れ、看護補助者の採用に繋げています。最初に実習受け入れた看護部長さんは、当初は知的障害者が病院で働くイメージを持てなかったようですが、実習生が真面目に丁寧に働く姿が周囲から好意的に評価されたことで、採用を決めたそうです。こうした自身の経験を他の病院の看護部長さんに伝えたことで、各病院にも実習の受け入れが広まっていったそうです。

看護部長級のサードレベルの看護管理研修でジョブコーチの説明をした際、「私もジョブコーチの適性があるのでは」とアンケートに回答された方がいました。実際に、これまでお会いした看護部長さんの中にも、退職したらジョブコーチの仕事をしたいと言われる方もいました。

一人一人の特性や強みを見据えた上で、その能力を発揮させていくという障害者雇用の取り組みは、看護部門の人材育成にも通じるものがあるのでしょう。その意味でも、障害者雇用を本格的に進める際には、看護部長さんをプロジェクトに引き込み、良き理解者となってもらうことが不可欠でしょう。