福井労働局の雇用管理セミナーでの講演

福井公共職業安定所・福井労働局が主催する令和6年度雇用管理セミナーが2024年11月15日に福井県自治会館(福井市)で開催され、製造業や医療福祉業など幅広い産業分野からの参加がありました。ハイブリッド形式の開催で、会場参加者68社のほか、オンラインで31社が参加されました。セミナーでは、福井公共職業安定所所長の山内伸二さんの挨拶に続き、次長(雇用支援担当)の上中祥惠さんから「公正な採用選考について」説明がありました。続いて、当ネットワーク代表の依田から「経営者の観点から見た障害者雇用の効果と進め方〜事例に学ぶ業務の切り出し〜」をテーマに70分ほど講演し、その後20分ほど会場からの質問にお答えしました。最後に、福井労働局雇用環境・均等室から「育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法の改正のポイントについて」説明がありました。

今回のセミナーは、公共職業安定所が主催していることもあり、多くの事業所からの参加がありました。セミナーの行政説明でも分かるように、事業所の担当者としては、障害者雇用に限らず様々な課題への対応が求められています。そうした中で、障害者雇用への対応が他の課題にどう関係しているのか、講演では「多様性に対応した働きやすい職場づくり」という視点でもお話ししました。質疑応答では、精神障害者の雇用に関する質問が多く出ました。新たに精神障害者を雇用する際に上司や同僚に障害のことをどのように説明すれば良いか、精神障害者保健福祉手帳は取得していないが職場で不適応が生じている従業員に手帳取得を促して良いか、新たに雇用した精神障害のある従業員に作業目標量を示して良いか、しばしば休んでしまう精神障害のある従業員にどう対応すれば良いかなど、実際に雇用している中で感じられている質問でした。

これまで精神障害者の雇用が未経験という事業所が多く、どのように接すれば良いのか、どういう仕事を切り出したら良いのか、不安を感じている担当者も多いように思いました。一方で、手帳は持っていなくても、メンタル面の不調で休職を繰り返したり、発達障害の傾向があり社員との関係が上手くいっていない一般の従業員を抱えている事業所もあるかと思います。このような場合、本人の自己理解も不十分で、周囲の配慮もしにくい面があります。むしろ、精神障害者保健福祉手帳を持って障害者枠で採用された人の方が、本人も障害を受容し周囲も配慮しやすい面があります。その意味では、精神障害者の雇用を進めることで、メンタル不調者や発達障害の傾向のある従業員に対応するスキルが身につく面もあるでしょう。

そうした点も含め、今回のセミナーが事業所の皆さんが精神障害者の雇用にチャレンジするきっかけになれば良いと思いました。

(講演資料)「経営者の観点から見た障害者雇用の効果と進め方〜事例に学ぶ業務の切り出し〜」