東京都福祉局が特定非営利活動法人WEL’Sに委託している就労支援機関連携スキル向上事業の「マッチングスキル等向上研修【実践コース】」の演習に、1月7日と14日の2日間、企業トレーナーとして参加しました。
この研修では、発達障害のある者が採用面接を受けるのに際し、就労支援機関が利用者と企業からアセスメントを行い、企業にどのように説明するかをロールプレイで試します。演習は5人ほどのグループに分かれ、それぞれに福祉トレーナーと企業トレーナーが配置され、福祉トレーナーは自己理解の乏しい発達障害のある利用者役、企業トレーナーは障害者雇用経験の少ない企業の人事担当者役を演じます。
演習後の講評では、できないことを補う配慮(例えば、障害特性のためPC入力や封入のダブルチェックが必要なこと)を企業に求めるのではなく、強みを発揮できる業務を企業見学や企業担当者との会話の中から見出し、それを実習で確認してもらうよう提案することが、企業側に受け入れやすいことを指摘しました。
一方で、実習前にできると言われたことが実習でできないと、正直に問題を伝えてくれなかったと信頼感を損なう結果にもなりますが、実習前に「訓練ではできているが、指導体制や環境が異なる現実の職場でもできるか実習で確認してもらいたい」と説明されていれば、仮にできない場合でも納得感が得やすいことを伝えました。
さらに、企業が想定している業務以外にも、能力を発揮しやすい業務を実習業務に追加しておくと、想定業務ができなかった場合にも受け入れ可能な業務が見出せる可能性があることを指摘しました。障害者雇用の人材確保が難しい中、企業側で想定した業務ではなくても、適性がマッチする業務を実習で確認できれば、採用につながる可能性が高いからです。
求人内容と結果的に異なる業務であっても、障害特性とマッチする業務を切り出して提案する力(求人内容を作り変える力)を支援機関の担当者に身につけてもらうことが、企業トレーナーとして参加する意味だと改めて感じました。