第53話 気持ちの良い挨拶の秘密

都内にある公的病院では、地元の特別支援学校の普通科から知的障害のある生徒を複数名採用しています。勤務状態も大変真面目で、現場の師長さんたちからも「こつこつと続けていると間違わずにできるようになり、安心して仕事を任せることができる」と評価されているそうです。

良い人材を送り出してくれていることへのお礼も兼ねて、人事担当者とジョブコーチが学校を訪問した際、高等部の生徒達から「おはようございます」「こんにちは」「失礼します」と元気よく礼儀正しい挨拶が次々にありました。この姿を見て病院のジョブコーチは、「病院でも気持ちよく挨拶できているのは、学校でこうして指導してくれているからなのですね」と、感激した表情で案内してくれた進路担当の先生に伝えました。進路担当の先生によれば、「普通科の生徒は、素直で正直で、休まずに働けるのが強みです」とのことです。

学校に行くことを卒業生である職員に前もって伝えた際、恩師に会いたい気持ちを話しつつも、「でも僕は行けません、やっぱり仕事が優先ですから」とキッパリと言ったそうです。働く職業人としての自覚がしっかりと身についていることを感じ、ジョブコーチも頼もしく思ったそうです。