第55話 職員の意識を変えるインターンシップ 

病院での障害者雇用の状況を見ると、事務部門の業務にしか従事させていない病院も多いようです。しかしながら、事務部門の業務だけだと業務量にも限界があるため、障害者の雇用数を増やしていくには、医療部門に業務を広げていくことが不可避となります。医療部門には障害者雇用に適した定型的な業務が豊富にあり、それらの業務をタスクシフトすることで医療職の皆さんも助かることから、医療部門への業務拡大を前向きに考える病院も増えてきました。

一方で、医療部門への業務拡大に抵抗感を持たれる現場も少なからずあります。理由として言われるのは、「患者さんに何かあったらどうするのか」「障害者に任せられる仕事はない」「常に側についている余裕はない」など様々ですが、根底にあるのは障害者のことを知らないことから生じる「不安感」のようです。

関東地方にある公的病院グループでは、こうした状況を打開する一つの方策として、特別支援学校の現場実習(インターンシップ)を病院に勧めています。高等部2年生の実習は採用を前提としていないこともあり、病院の社会貢献の一環という説明だと、現場も受け入れやすいようです。実際に実習を受け入れてみると、障害のある生徒が真面目に働く姿を見て、「こういう人なら一緒に働いてもらっても良いのでは」と、むしろ前向きに考えてくれる医療職も多いようです。

職場実習には、採用の可否を判断するために職場や仕事とのマッチングを確認するという面がありますが、それに加えて、医療現場の職員の障害者雇用に対するイメージ改善にも活用できることが分かります。