第56話「自分らしく働ける職場との出会い」

東京都内にある公的病院では、特別支援学校の卒業生を複数名雇用していますが、先日、卒業生の母校のPTAから職場見学会の依頼を受けました。小学部、中学部、高等部の生徒の保護者が対象で、希望者が多いため複数回に分けて実施し、各回、保護者5名・教員1名が来院しました。病棟から回収した薬剤カートの中から未使用薬剤を取り出し、点滴パック、シリンジ、アンプル、小瓶等の種類やサイズごとに整理する作業を見た保護者からは、「こんな作業まで任せてもらっているのですね」と驚きの声が上がっていました。

その後、会議室では同校の卒業生である職員と意見交換が行われました。「毎日元気に働くために日頃から気をつけていることは何ですか」という質問には、「早ね、早おき、運動することです」「食事は食べすぎに注意しています。疲れをとるために早く就寝するように気をつけています」「栄養のあるものを食べて、規則正しい生活と運動でリフレッシュをする事です」といった答えがありました。また、「仕事をしていて一番やりがいを感じることや嬉しいことは何ですか」という質問には、「仕事をして相手の人に感謝された時です」「仕事が早いですねと言われた時です」などの答えがありました。

卒業生の一人は、卒業時に就職した会社を退職し、その後、地域の支援機関のサポートを受けてこの病院に再就職しました。保護者から「転職して良かったですか」と質問されたのに対し、「こっちの方が良い。できないことがあってもダメだと言われず、無視されたり、馬鹿にされることもなく、仲間外れにされない。前の職場でしてきた仕事も今では役立っている」と答えていました。保護者からは「いい話を聞かせてくれて有難う。今までは就職した会社で働き続けなければと考えていましたが、転職しても良いのだと思えるようになりました」と感謝の言葉をかけられていました。専門機関と繋がり、専門機関のサポートを得ながら転職を目指すのであれば、転職は本人にとって良い結果を生むことができるのでしょう。