独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が実施している、日本看護協会の認定看護管理者教育課程サードレベルの研修が開講され、JCHO病院13病院のほか県立・市立病院、民間病院10病院等から計25名が受講しました。研修は対面とオンラインの組み合わせで実施され、「組織デザインと組織経営」の単元では「働き方改革に資する障害者雇用」をテーマに3時間の講義が令和8年9月8日にオンラインで行われました。
前半の講義では「健康経営」と「ストレスチェック」の切り口から、看護管理者として「働きやすい職場づくり」に目を向ける視点に焦点を当てました。自らの職場の健康経営に看護職がどう係るか、ストレスチェックの集団分析の見方など、看護管理者として認識しておくべき点を説明しました。講義の中では、自閉症スペクトラム(ASD)の特性のある当事者のメッセージ動画を放映し、障害の特性と合理的配慮について説明しました。障害者雇用については、障害のある職員の配置方法として、一般的な分散配置と集中配置(集約型オフィス)の違いとともに、集約型オフィスを設置している国立がん研究センター(中央病院・東病院)の院内ジョブコーチ体制を紹介しました。
後半のグループワークでは「『働き方改革に資する障害者雇用』を看護部門で進めるとしたらどのような業務を切り出せば、看護職が助かるか」と「自閉症スペクトラム(ASD)傾向のある看護職の適性に合う仕事は何か」の2つのテーマについて、5つのグルーで意見交換しました。
テーマ1では、自院の業務をイメージしながら、病棟からの機器回収、滅菌物品の回収、清掃業者の委託範囲外の手すりやカーテンレールなど「腰より高い場所」の清掃など、やってもらうと助かる業務や普段手が届かないような様々な業務が提案されました。
テーマ2では、発達障害の特性が強いものの自己理解がなく、周囲からの注意を自分への攻撃と受け止める傾向のある看護師への対応について質問がありました。このような者に対しては、業務に支障が生じる点を具体的に指摘し、それを改善する方法を管理者が一緒になって考えると良いことを伝えました。受講者からは、毎日指摘された事項を本人に「振り返りノート」に記載してもらい、それを見ながら管理者と一緒に改善策を考えることを続けたところ、次第に状態が安定していき、現場の戦力として活躍し続けている事例の報告がありました。
法定雇用率の引上げや除外率の引下げで「数の確保」に目が向きがちですが、障害の有無にかかからず「個人の能力を発揮できる」組織文化の定着に向け、今回の研修が少しでも役立つことを期待しています。
(講義スライド)「組織デザインと組織運営〜働き方改革に資する障害者雇用〜」