公立病院における障害者雇用の状況

厚生労働省は、令和4年12月23日付で「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」を公表しました。

(資料)「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」

この集計結果から、法定雇用率2.6%が適用される独立行政法人のうち医療機関の運営を主とする法人の状況を見て見ます。

国レベルの機関では、国立がん研究センター(2.75%)、国立国際医療研究センター(2.64%)、国立循環器病研究センター(2.72%)、国立成育医療研究センター(2.14%)、国立精神・神経医療研究センター(3.03%)、国立長寿医療研究センター(2.66%)、国立病院機構(2.76%)、地域医療機能推進機構(2.67%)、労働者健康安全機構(2.91%)となり、国立成育医療研究センター(不足数5.0人)を除き法定雇用率を達成している状況でした。

医科系の国立大学では、旭川医科大学(2.72%)、東京医科歯科大学(2.82%)、浜松医科大学(2.48%)、滋賀医科大学(2.54%)となっており、浜松医科大学は不足数1.0人となっています。

都道府県の病院局について、前年との比較を見ると、北海道道立病院局(2.17%→3.90%)、青森県病院局(1.96%→ 2.35% 不足数1.5人)、岩手県医療局(2.55%→2.77%)、福島県病院局1.56%→2.21% 不足数1.0人)、茨城県病院局(2.88%→3.38%)、群馬県病院局(2.26%→ 2.32% 不足数2.0人)、千葉県病院局(2.85%→2.78%)、新潟県病院局(3.07%→2.86%)、静岡県立静岡がんセンター(2.66%→2.63%)、愛知県病院事業庁(2.87%→3.11%)、三重県病院事業庁(3.47%→4.62%)、兵庫県病院局(1.68%→1.60%  不足数46.5人)、南和広域医療企業団(2.55%→2.56%)、鳥取県病院局(2.63%→2.77%)、島根県病院局(1.43%→1.67% 不足数7.0人)、徳島県病院局(2.52%→2.47%)、長崎県病院企業団(2.48%→2.60%)、熊本県病院局(2.70%→1.68% )、大分県病院局(3.72%→3.21%)、宮崎県病院局(2.18%→2.31%)、鹿児島県県立病院局(3.24%→3.24%)、沖縄県病院事業局(1.23%→2.70% )と法人によって大きな差があります。

前年に不足数が30人を超えていた兵庫県病院局と沖縄県病院事業局については、兵庫県病院局では不足数が38.5人から46.5人へと不足数が8.0人増加したのに対し、沖縄病院事業局では不足数32.0人が解消され法定雇用率を達成しており、大きく異なる結果となりました。沖縄病院事業局では、障害者の採用と合わせて院内ジョブコーチを採用したり、本部と県立6病院の障害者雇用担当者によるオンラインの連絡会を毎月開催するなど、組織としての取り組みを進めています。

法定雇用率を達成するだけでなく、雇用した障害者が能力を発揮できるようにすることが問われる中では、それぞれの組織の取組みにも目を向け、ノウハウを共有していくことが求められます。当ネットワークが提案するように、医療機関の「働き方改革」に資する障害者雇用という視点で、民間病院のモデルとなる取組みが進むことを期待しています。