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国立がん研究センターでは、平成23年4月に集中配置型の「ビジネスサポートセンター」を設置し、職場実習を経て5人の知的障害者を雇用し、その後、業務の拡大に伴い雇用数は徐々に増え、現時点では28名の障害者を雇用しています。ビジネスサポートセンターで働くスタッフは、郵便仕分け・配達・発送などの事務系の業務を行う「ビジネス班」と、看護師の補助業務等の医療系の業務を行う「メディカル班」に別れ、それぞれの得意な業務に従事しています。病院という職場の戦力としてスタッフが働けていることは、病院職員からの「助かっている」「有難う」という言葉にも現れています。同センターは、他病院からの見学者も多く訪れることから、障害のあるスタッフが実際に行なっている業務例を掲載した資料を作成しています。こうした資料は、他病院で障害者雇用を進める際にも大変参考になるでしょう。

(資料)「国立がん研究センター中央病院における障害者雇用の取組み」

 

 

「新たな日常生活における障害者・高齢者アクセシビリティ配慮に関する国際標準化委員会」の第2回委員会が令和5年1月26日にオンラインで開催され、委員として当ネットワーク代表の依田も参加しました。新型コロナウイルスの感染拡大期においては、従来とは異なる生活が求められ、障害者や高齢者も大変不自由を強いられた面があります。将来、新たな感染症の拡大が生じた際に、過去の経験を活かした取り組みが迅速かつ円滑に行われるよう、この委員会では規格化の提案を行うことを目指しています。昨年9月に開催された第1回委員会では、対象となる「日常生活」の範囲に「医療」も含まれるという整理がされましたが、第2回委員会では適用範囲に「サービス(人的対応を含む)」が含まれることも確認されました。本委員会は来年度も引き続き検討が進められる予定です。

気象庁では障害者活躍推進計画において「庁内職員の障害に関する理解の促進・啓発のため、気象庁独自でも研修や講演会を行う」旨を定めており、本年度も研修会が開催され、「障害のある職員を受け入れることで進化する職場」をテーマにした講演を行いました。

研修会は昨年同様にteamsで行われましたが、気象庁本庁だけでなく、全国の管区気象台や地方気象台からもオンラインで100名以上の職員が参加されたほか、当日受講できない職員は講演録画を視聴できるようにされました。

講演後には意見交換の時間も設けられ、事前に提出された質問を中心に回答させていただきました。昨年暮れに改正された障害者雇用促進法で、事業主の努力義務に「職業能力の開発及び向上に関する措置」が追加されたことに関連して、職場での職業能力の開発について質問がありました。この質問に対しては、ここでいう「能力開発」は、必ずしも「仕事の種類」を増やすことではなく、個人の特性を踏まえて能力を最大限に生かして「職場の戦力」としていくことを意味する旨を説明しました。

「職場の戦力」となっていない背景には、障害の特性に合っていない仕事に従事させていたり、指示の仕方が適切でなかったりといった、本人以外に原因がある場合も少なからずあります。そうした状態を放置するのではなく、うまくできない原因を本人とともに探り、能力を発揮できるような仕事の種類変更や作業方法の改善について一緒に考え「職場の戦力」としていくことが、能力開発の目的と言えるでしょう。

気象庁では、こうした研修を全職員を対象に行うことで、障害のある職員が普通に一緒に働ける職場の文化を醸成することを目指しています。こうしたこともあって、次のステップとして「国機関職員の職場適応援助者養成セミナー」で障害者雇用に役立つ知識技術を学ぶ職員も、他省庁に比べて多い状況です。こうした取組は、公務部門の他の職場でも是非参考にしていただきたいです。

愛媛県の南予地域就労支援ネットワーク連絡会の主催でオンライン研修会「医療機関での障がい者雇用について考える〜障がい者雇用を支える、そして雇用する立場から〜」が開催され、「医療機関と連携した支援体制づくり」をテーマにした講演を行いました。研修会には県外を含め30名ほどが参加しました。医療機関からの参加者は3病院5名ほどでしたが、参加者の半数ほどは医療機関を運営する法人が母体となっている就労支援機関等に所属していました。

講演後には、研修会の参加者と意見交換が行われました。就労支援機関の参加者からは、病院に障害者雇用を働きかけても「障害者にしてもらえそうな仕事は既に委託しているので、病院にはない」という反応があるとの指摘がありました。こうした病院の反応の背景には、障害者ができる仕事に対する固定観念があり、具体的には清掃関係の仕事がイメージされることが多いようです。しかしながら、看護師や薬剤師等の医療専門職の業務といった、医療機関の「本業」の仕事についても、その中から定型的な業務を切り出すことで、障害のあるスタッフが専門職を支え、病院の戦力となっている事例もあります。そのような他病院での障害者雇用の事例を紹介すると、専門職の障害者雇用に対するイメージも大きく変化することが多いのも事実です。支援機関の皆さんには、こうした好事例も紹介しながら、障害者雇用に対する固定観念の打破に取り組んでいただくことをお願いします。

(講演資料)「医療機関と連携した支援体制づくり」

 

令和5年1月18日に開催された労働政策審議会障害者雇用分科会において、厚生労働省から新たな法定雇用率の設定と除外率の引き下げ時期についての諮問が行われ、了承されました。

法定雇用率については、令和6年4月に2.3%から2.5%に引き上げられ、令和8年4月からは2.7%に引き上げられます。
除外率については、令和7年4月に現行から10ポイント引き下げられます(医療業は30%から20%に引き下げ)

医療機関にとっては、法定雇用率の引き上げと除外率の引き下げのダブルパンチで、影響が大きいことから、早急に対策を講じる必要があります。

(資料)「令和5年度からの障害者雇用率の設定等について」(第123回労働政策審議会障害者雇用分科会資料)

 

福岡市にある特定医療法人財団が運営する博愛会病院では、特別支援学校からもインターンシップを経て職員を採用しています。この病院では昨年、卒業生である職員の協力を得て、特別支援学校の後輩向けにビデオメッセージを作成して学校に届けました。作成にあたっては、ジョブコーチから一人ひとりに対して、「今後仕事をしたいという学生に向けて動画を作成しています。仕事を通してどんなときにどんなことを言われて嬉しかったですか。例えば、お部屋の掃除をした時に患者さんにありがとうと言われて嬉しかったことなどです」と説明したそうです。文字で回答された文章を入れて完成したビデオメッセージには、卒業生の働く思いが込められています。

○ ゴミ回収をしているとき 患者さんからの「ありがとう」 その言葉と その笑顔が 何より励みになります。

○ 「助かっています」「綺麗にしてくれてありがとう」「シーツ交換がとても上手よ」 すごく嬉しかったです。

○ 休み明けでドライヤーのお手伝いをしている時「いつもあなたにしてもらっているから、やっぱりあなたがいいわ」。職員の方から「助かってるよ! 」「ありがとう」。そんな言葉をもらうと嬉しくて また頑張れそうです。

○ 「休んでいる間さみしかったよ」と言っていただきました。嬉しかったです。

○ ミスをして 何度も挑戦して今は  良かったと思います。仕事を覚えることで 安全に仕事ができる自分に 成長を感じています。

○ 皆さんの笑顔を見られるところがあって その時に一緒に笑い合えることが  すごく幸せな気持ちになります。

○ 困ったとき周りに相談を聞いてくれる人がいて 嬉しかった。

○ いつもきれいに洗ってくれて「ありがとう」や「助かるよ」と言われると 仕事が楽しくてたまりません。

○ 他の働き先が良いか 悪いか わかりません。 ただ 私は この仕事を選んで良かったとおもいます。 色々悩みだったり 思うことはあるかもしれません。ただ 私にはみなさんのはいりょがあり 働きやすいですし ありがたいです。これからも自分らしく 働き続けていきます。

ビデオメッセージの最後には、「この仕事を選んでもらい この職場を選んでいただき ありがとうございます。共に働ける今に 心から感謝しています」という博愛会職員一同からのメッセージが表示されています。

このビデオメッセージには、一人ひとりの働くことへの喜びが素直に表現されています。その理由としては、病院や施設の業務の中から、患者さんや他の職員に「有難う」「助かるよ」と喜んでもらえるような業務を切り出していることがあるかと思います。加えて、ジョブコーチとの日頃の信頼関係が構築されていることや、職場全体として個人の能力を活かすことを意識していることも大きいでしょう。

ビデオメッセージを作成した趣旨について、障害者雇用推進室長は次のように説明してくれました。「社会に出て働こうと思う学生に対し、働く上での障害はなんだろう?と考えた時に“不安”という言葉が頭に浮かびました。不安の払拭のためには、知ることが必要と思い、職員の生の声を伝えようという考えに至りました。仕事を通して大変だったこと、辛かったこと、苦労したことをありのままに紙面の質問用紙に書いていただきました。また、仕事を通して嬉しかったことの回答を求めました。全て含めて“知る”ことで、歩きだす第一歩になればという思いから動画を作成しました。就職に関わらず、障害の有無に関わらず、不安の払拭は大切にしています。気持ちよく、前を向き進み続けること、時に悲しく後悔や忍耐がありますが、反省はしても後悔のない人生を送れるように」

法定雇用率の引き上げや除外率の縮小を背景にして、障害者の採用は今後厳しさを増していくことが予想されますが、このような職場であれば、特別支援学校の先生方も安心して大事な生徒を送り出すことができるのではないでしょうか。

国の機関の職員に対する障害者の職場適応支援者養成セミナーの東京での令和4年度第2回目が、1月9日からAP市ヶ谷(東京都千代田区)で開催されました。3連休の最終日からという日程も影響し、国の機関からの参加者は7名に止まりました。令和元年度から東京と大阪の会場で開催されてきたセミナーも、今回で17回目を迎えました。この間のセミナー参加者からの質問に対する回答については、「公務部門の障害者雇用情報サイト」の「公務部門の障害者雇用Q&A」で紹介しています。

最近の受講生には、省庁職員の中で障害者雇用担当とされた方以外に、職場内ジョブコーチとして採用された方も増えている印象があります。前職として障害者就労移行支援事業所等の就労系の福祉施設や地方自治体の就労支援機関での勤務経験のある方、精神保健福祉士等の資格を有する方もいます。これまでの障害者を送り出す側から、公務部門の職場で障害者を受け入れる側に立場を変えることで、色々と見えてくることも多いと思います。両方の立場を体験した専門スキルのある職場内ジョブコーチが、これからの公務部門の障害者雇用の可能性を広げていくことを期待したいと思います。

(講演資料)「公的部門における職場適応支援者の役割①②」

 

 

厚生労働省は、令和4年12月23日付で「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」を公表しました。

(資料)「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」

この集計結果から、法定雇用率2.6%が適用される独立行政法人のうち医療機関の運営を主とする法人の状況を見て見ます。

国レベルの機関では、国立がん研究センター(2.75%)、国立国際医療研究センター(2.64%)、国立循環器病研究センター(2.72%)、国立成育医療研究センター(2.14%)、国立精神・神経医療研究センター(3.03%)、国立長寿医療研究センター(2.66%)、国立病院機構(2.76%)、地域医療機能推進機構(2.67%)、労働者健康安全機構(2.91%)となり、国立成育医療研究センター(不足数5.0人)を除き法定雇用率を達成している状況でした。

医科系の国立大学では、旭川医科大学(2.72%)、東京医科歯科大学(2.82%)、浜松医科大学(2.48%)、滋賀医科大学(2.54%)となっており、浜松医科大学は不足数1.0人となっています。

都道府県の病院局について、前年との比較を見ると、北海道道立病院局(2.17%→3.90%)、青森県病院局(1.96%→ 2.35% 不足数1.5人)、岩手県医療局(2.55%→2.77%)、福島県病院局1.56%→2.21% 不足数1.0人)、茨城県病院局(2.88%→3.38%)、群馬県病院局(2.26%→ 2.32% 不足数2.0人)、千葉県病院局(2.85%→2.78%)、新潟県病院局(3.07%→2.86%)、静岡県立静岡がんセンター(2.66%→2.63%)、愛知県病院事業庁(2.87%→3.11%)、三重県病院事業庁(3.47%→4.62%)、兵庫県病院局(1.68%→1.60%  不足数46.5人)、南和広域医療企業団(2.55%→2.56%)、鳥取県病院局(2.63%→2.77%)、島根県病院局(1.43%→1.67% 不足数7.0人)、徳島県病院局(2.52%→2.47%)、長崎県病院企業団(2.48%→2.60%)、熊本県病院局(2.70%→1.68% )、大分県病院局(3.72%→3.21%)、宮崎県病院局(2.18%→2.31%)、鹿児島県県立病院局(3.24%→3.24%)、沖縄県病院事業局(1.23%→2.70% )と法人によって大きな差があります。

前年に不足数が30人を超えていた兵庫県病院局と沖縄県病院事業局については、兵庫県病院局では不足数が38.5人から46.5人へと不足数が8.0人増加したのに対し、沖縄病院事業局では不足数32.0人が解消され法定雇用率を達成しており、大きく異なる結果となりました。沖縄病院事業局では、障害者の採用と合わせて院内ジョブコーチを採用したり、本部と県立6病院の障害者雇用担当者によるオンラインの連絡会を毎月開催するなど、組織としての取り組みを進めています。

法定雇用率を達成するだけでなく、雇用した障害者が能力を発揮できるようにすることが問われる中では、それぞれの組織の取組みにも目を向け、ノウハウを共有していくことが求められます。当ネットワークが提案するように、医療機関の「働き方改革」に資する障害者雇用という視点で、民間病院のモデルとなる取組みが進むことを期待しています。

厚生労働省は、令和4年12月23日付で「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」を公表しました。

(資料)「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」

このうち公務部門の雇用状況は以下のとおりです。なお( )内は前年との比較です。

(1) 国の機関(法定雇用率2.6%)

在籍障害者の数は9,703.0人(98.0人増加)、実雇用率は2.85%(0.02ポイント上昇)。 国の機関は44機関全て法定雇用率を達成。

(2) 都道府県の機関(法定雇用率2.6%)

在職障害者の数は10,409.0人(265.5人増加)、実雇用率は2.86%(0.05ポイント上昇)で、 知事部局では47機関のうち1機関、知事部局以外では117機関中10機関が法定雇用率未達成。

(3) 市町村の機関(法定雇用率2.6%)

在職障害者の数は34,535.5人(1,166.0人増加)、実雇用率は2.57%(0.06ポイント上昇)。 2,462機関中616機関が法定雇用率未達成。

(4) 都道府県等の教育委員会(法定雇用率2.5%)

在職障害者の数は16,501.0人(394.5人増加)、実雇用率は2.27%(0.06ポイント上昇)。都道府県教育委員会は実雇用率2.26%で、47機関中21機関が法定雇用率未達成。 市町村教育委員会は2.33%で、48機関中16機関が法定雇用率未達成。

(4) 独立行政法人等(法定雇用率2.6%)

雇用障害者の数は12,420.5人(176.0人増加)、実雇用率は2.72%(0.03ポイン ト上昇)。独立行政法人等(国立大学法人等を除く)は91法人中13法人が法定雇用率未達成、国立大学法 人等は86法人中16法人が法定雇用率未達成、地方独立行政法人等は188法人中44法人が法定雇用率未達成。

これらの数値を見ると、特に市町村と教育委員会で障害者雇用が進んでいない状況が伺われます。定型的な現業業務が多く、むしろ障害者雇用が進めやすい環境にあるにもかかわらず、障害者雇用が進んでいない背景には、障害者雇用に関するノウハウの普及が遅れていることがあると思われます。これらの機関に対して、国や都道府県がどのような研修や情報提供の機会を提供していくかが問われていると言えるでしょう。

(参考)「公務部門の障害者雇用情報サイト」

(参考)都道府県教育委員会の障害者雇用事例

 


愛媛県では、障害特性に応じた受入環境の整備等の企業向け支援を行うとともに、障害のある求職者のスキルアップを支援することにより良質な雇用を創出し、県内民間企業における障害者雇用の促進を図ることを目的として、令和4年度に「障がい者雇用創出事業」を実施しています。この事業の一環として、企業向けの障害者雇用セミナーがWEBによるセミナー動画配信により行われ、当ネットワーク代表の依田が「企業経営に活かす障害者雇用の経験とノウハウ」をテーマに講演を行いました。

(講演資料)「企業経営に活かす障害者雇用の経験とノウハウ」

WEBによるセミナー動画配信は、令和4年12月5日から配信され、令和5年3月31日まで行われます。対象となるのは愛媛県内の企業ですが、セミナー参加企業にはアンケート調査を実施し、セミナーの満足度や理解度のほか、採用ニーズや現場の課題・悩みについて把握分析を行うとともに、希望に応じて個別相談を実施し、当事業による専門家派遣、障害者就業・生活支援センター等による採用支援等につなげることとしています。

愛媛県障がい者雇用創出事業 企業向け動画配信セミナー(愛媛県内企業が対象)