新着情報

独立行政法人国立病院機構(NHO)東海北陸グループでは、5月に開催された「院長・事務部長・看護部長・副学校長合同研修会」に引き続き、令和7年6月20日に名古屋医療センター(名古屋市)で開催された「中間管理者研修(Ⅰ)」でも障害者雇用が取り上げられました。この研修は、新たに部下職員を持つ中間管理者を対象にしていて、部下職員への指導に役立つアサーティブなコミュニケーションスキルの習得を中心に、多職種(事務・看護・コメディカルなど)が合同で研修に参加する点に特徴があります。

今年度の研修では、障害者雇用への理解を深める内容も取り入れることとなり、研修プログラムの最後に「障害のある職員を受け入れることで進化する職場」をテーマに60分ほど講演をしました。研修には東海北陸グループの各病院から68名が参加しました。院長等の経営陣を対象としたものとは異なり、実際に現場で障害のある職員を部下として迎える立場として、知っておいていただきたいポイントを中心にお話をしました。その上で、身近に障害のある職員がいることで、上司も同僚も「見守り・声掛け・工夫」が自然に身につき、チームの連携・一体感・生産性も高まり、「誰もが働きやすい職場づくり」に繋がることを伝えました。

講演の最後は「誰もが様々な特性や課題を有していて、そうした多様性に溢れたメンバーが、それぞれの強みを活かし、不足している部分は補い合うことで、職場全体のパフォーマンスは向上します。そのような誰もが働きやすい職場づくりを目指す上で、障害者雇用は皆さんのスキルを磨くとても良い機会となります。是非、皆さんの職場から、メンバーそれぞれが自分の役割に自信を持ち、お互いを思いやり感謝し合うような「健康的な職場づくり」を目指してください」というメッセージで締め括りました。

(講演資料)「障害のある職員を受け入れることで進化する職場」

 

東京障害者職業センター多摩支所(東京都立川市)では、昨年度に続き今年度も、雇用管理サポート講習会「医療機関における障害者雇用の進め方〜雇用事例を通じて〜」を7月25日(金)14:00〜16:30に立川商工会議所(立川ビジネスセンタービル11階)で開催することになりました。今回は三鷹市にある医療法人社団積信会の長谷川病院から事例紹介があり、その後の意見交換には昨年の講習会で講演した当ネットワーク代表の依田も参加する予定です。

開催案内(2025年7月25日)

昨年度のレポート(2024年7月26日)

愛知県名古屋市天白区にある医療法人並木会の運営する並木病院は、病床数212床(療養病床159床、地域包括ケア病棟53床)の病院です。この病院では、CSRの取り組みの一環として、2018年に特別支援学校から2名の重度知的障害のある実習生を受け入れました。この経験を踏まえ、病棟介護士の業務過多によるケア不足インシデントの対策案として、障害者雇用によるタスクシェアリングを検討し、特別支援学校を卒業した2名を2020年4月に採用しました。障害者雇用を開始した当初、病棟現場には障害者の受け入れに不安もあったことから、集中配置型を目指して看護部に教育科を設立し、定年を迎えた前看護部長の久保まゆみさんを責任者として、教育指導にあたることになりました。それからの5年間、作業能力の向上だけでなく、職業人としての力を身につけさせるために、毎年目標を定めて計画的に取り組んでこられました。並木病院の障害者雇用数はまだ少数ですが、久保さんの実践からは人材育成の多くのヒントと、看護職が院内ジョブコーチとして働く可能性が感じられ、今後の展開に期待されます。この度、並木病院での5年間の軌跡をまとめた貴重な資料をいただきましたので、皆様にご紹介させていただきます。

「並木病院 ジョブサポート 令和2年〜現在までの軌跡」

独立行政法人国立病院機構(NHO)は、全国で140病院を運営していますが、その東海北陸グループには名古屋医療センターをはじめとした18病院が所属しています。東海北陸グループでは、令和7年5月9日に「院長・事務部長・看護部長・副学校長合同研修会」を名古屋市にあるJPタワー名古屋のホールで開催し、その中で「医療現場における障害者雇用の進め方〜タスクシフトで働き方改革〜」をテーマに60分の講演を行いました。

地域でハローワークなどが開催する障害者雇用セミナーでは、様々な業種が参加するため、そこで紹介される事例は医療機関の皆さんにはしっくりこないことも多いようです。一方で、NHOのような多数の病院で構成される組織では、院長や事務部長、看護部長、薬剤部長などが集まる会議や研修会も定期的に開催されているため、そのような機会をとらえて医療分野における障害者雇用について情報を伝えることも可能です。今回のNHO東海北陸グループの取組は、多数の公的病院を運営する組織としての障害者雇用分野での新たなチャレンジとして、他の公的病院グループでも参考になるものだと思います。

(資料)「医療現場における障害者雇用の進め方〜タスクシフトで働き方改革〜」

大阪労働局の主催で令和7年3月17日に開催された「医療機関向け障害者雇用の進め方セミナー」には、オンラインも含めて多くの医療機関の皆さんが参加されました。大阪労働局では、当日受講できなかった医療機関関係者の参考となるよう、セミナーの講演「医療現場における障害者雇用の進め方〜タスクシフトで働き方改革〜」をYouTubeで配信することとし、5月1日に改めてオンラインで収録が行われました。収録にあたっては、3月のセミナー時のスライドをよりコンパクトに分かりやすく整理し直しました。資料だけに比べ動画だと理解もしやすので、大阪労働局からの配信時期が決まりましたら、改めてお知らせさせていただきます。

(資料)「医療現場における障害者雇用の進め方〜タスクシフトで働き方改革〜」

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)は、全国で57病院を運営していますが、障害者の法定雇用率の引上げや除外率の引下げが進む中で、障害者雇用をやむを得ず行うものと捉えるのではなく、誰もが働きやすい職場へと職場環境を改善していく契機とする考え方に立ち、本部主導で病院の障害者雇用の促進に取り組んでいます。その一環として、本年3月から全国3ブロックの中から選定された3病院において、院長、事務部長、看護部長を始めとした病院幹部を対象とした障害者雇用研修を行なっています。各病院の研修では、冒頭にJCHO本部の人事課長から趣旨説明をした後、当ネットワーク代表の依田が「医療現場における障害者雇用の進め方〜タスクシフトで働き方改革〜」をテーマに60分講演するとともに、質疑を行っています。研修の最後には、院長から障害者雇用に向けた考えが示され、病院全体として障害者雇用に取り組む方針が確認されています。

JCHOのような独立行政法人や地方独立行政法人、地方公共団体が運営する病院では、法定雇用率も民間病院より0.3ポイント高く設定されるなど、「率先して」障害者雇用に取り組むことが法律上も求められています。法定雇用率の引上げと除外率引下げのダブルパンチに対し、単なる数合わせの対応ではなく、誰もが働きやすい職場づくりを進める契機として捉えるJCHOの姿勢は、他の公的病院グループにも参考になることでしょう。

(講演資料)「医療現場における障害者雇用の進め方〜タスクシフトで働き方改革〜」

 

 

大阪労働局主催の「医療機関向け 障害者雇用の進め方セミナー」が令和7年3月17日に大阪労働局第二庁舎(大阪市中央区)で開催され、会場とオンラインで医療機関の皆さん約200名が参加されました。セミナーでは、最初に当ネットワーク代表の依田から「医療現場における障害者雇用の進め方〜タスクシフトで働き方改革〜」をテーマに70分ほど講演し、その後に医療法人徳洲会 野崎徳洲会病院 総務課課長補佐の碓井哲扶さんから「医療機関いおける障害者雇用の実際」について45分ほど報告がありました。野崎徳洲会病院では、各部門で事務系の業務を中心に38名の障害者を雇用していますが、そのうち精神障害者が26名を占めています。採用面接前に必ず実習を行うことや定期面談の実施など、精神障害者に即した取り組みを実施されています。事例報告後には、事前にあった質問に対して依田から回答させていただきました。

今回のセミナーには、大阪だけでなく関東や九州からも多くの皆さんが参加されていました。医療機関の皆さんがこれほど多数参加されるのは、法定雇用率の引き上げと除外率の引き下げという厳しい状況を控え、どのように対応すれば良いか情報を求めている医療機関が多いことを表していると思います。当ネットワークの活動は、医療機関の皆さんに役立つ情報を発信していくことであり、こうした機会を通じてネットワークの存在を知っていただくことの大切さを感じました。

(講演資料)「医療現場における障害者雇用の進め方〜タスクシフトで働き方改革〜」

町田地域障がい者雇用企業連絡会(世話人代表 藤田顕)の主催により「医療機関と障がい者就労支援機関の交流会」が3月7日にハローワーク町田本庁舎で開催され、7病院から10名、12支援機関から12名の計22名が参加されました。交流会では、最初に当ネットワーク代表の依田が「医療現場における障害者雇用の進め方」をテーマに60分講演をした後に、病院と支援機関の双方が参加した6つのグループに分かれ、それぞれのグループで病院の方から自院の障害者雇用の現状と課題をお話しされた上で、支援機関の皆さんと意見交換していただきました。病院の方の悩みに対して、複数の支援機関の方から活用できる支援サービスの紹介やノウハウのアドバイスをするなど、とても丁寧に説明されていたのが印象的でした。これまで地域の支援機関との繋がりもなく、ハローワークの紹介だけで雇用していた病院がほとんどだったこともあり、地域の支援機関の皆さんと「顔の見える関係」ができたことを、皆さんとても喜ばれていました。こうした取り組みは他にあまり例はありませんが、医療業がテーマであるため病院側も参加しやすいことに加え、支援機関の側も病院側の課題を把握できるため、双方にとって大変意義のある会となり、他の地域でも参考にしていただくと良いと思いました。

(講演資料)「医療現場における障害者雇用の進め方」

愛媛県の南予地域就労支援ネットワーク連絡会の主催で、「公的機関での障害者雇用についての交流会」がオンライン形式で2月18日に開催され、愛媛県知事部局(えひめチャレンジオフィスを含む)・教育委員会・公営企業管理局、市役所・市教育委員会・市病院局などを中心に40名ほどが参加されました。

愛媛労働局職業安定部職業対策課地方障害者雇用担当官の猪熊瑞枝さんの挨拶の後、話題提供として当ネットワーク代表の依田から「発達障害・業務切り出し」についてお話しし、発達障害の特性から生じる職場での苦労や、発達障害のある職員が能力を発揮しやすい工夫について説明するとともに、現場で生じることがある事例への対応について紹介しました。合わせて、事前に質問が出ていた公務部門での事務補助業務の切り出し事例や、公立病院での医療系の補助業務の切り出し事例について紹介しました。

その後の80分ほどの意見交換では、地方公共団体の各機関の皆さんから、障害者雇用の現状や課題についての報告があり、話題提供者や就労支援機関を交えた活発な意見が交わされました。2021年度からスタートした交流会も5年目となりましたが、この間に職場実習を取り入れたり、集合型の配置を行う機関も出てきました。こうした先行事例が先導する形で、地域の公的機関の障害者雇用が進んでいくことが期待されます。

(資料)「話題提供:発達障害・業務切り出し」

 

気象庁で毎年度開催している「障害に関する理解の促進・啓発のための研修会」が令和7年2月17日に開催され、「発達障害について学ぼう」をテーマにお話ししました。この研修会はオンラインで開催され、本庁のほか全国の管区気象台や地方気象台に勤務されている職員も受講されています。

発達障害のある人は、国の機関でも多く雇用されるようになってきましたが、外見では分かりくいため、どのように対応して良いかわからず、現場で対応に苦労されている話も伺います。そのため今回の研修では、発達障害とはどういう障害なのか、どのようにすれば職場で能力を発揮してもらえるのかについて、発達障害のある方自身の動画メッセージも紹介しながら、できるだけ分かりやすくお伝えするようにしました。

その際には、発達障害の特性というのは、実は、誰もが多かれ少なかれ持っていて、決して特別なものではないことを説明し、障害者雇用だけではなく、職員の皆さん自身の自己理解や家族や友人との関係を円滑にすることにも繋がることをお伝えしました。

研修の最後には、誰もが様々な特性や課題を有していて、そうした多様性に溢れたメンバーが、それぞれの強みを活かし、不足している部分は補い合うことで、職場全体のパフォーマンスが向上すること、そうすればメンバーそれぞれが自分の役割に自信を持ち、お互いに感謝し合う「健康的な職場」にしていけることを説明しました。

(講演資料)「発達障害について学ぼう」