新着情報

徳島県にあるホウエツ病院では、障害のある職員に新たな業務を担当してもらう際には、ジョブコーチを兼ねた事務局長がその業務を実際に行なった上で、障害のある職員にも理解しやすいよう、作業工程ごとのポイントを示したマニュアルを作成しています。当初は文字だけのマニュアルでしたが、分かりやすくするために、次第に写真を多く入れていきました。そのうちに、障害のある職員の側から、「これを作業する時にいつも持って行くことができれば、その場で見てちゃんとできているか自分で確認できる」と提案があったそうです。この提案を受けた事務局長は、持ち運びに便利なようにマニュアルを何枚かのカードに分割してリングで閉じ、首から下げた紐に付けることで、常に携帯できるようにしました。今では、障害のある職員が従事する全ての業務(約30種類)について、それぞれカード式のマニュアルが作成されていて、作業に行く際にはそれを受け取って首から吊り下げ、作業が終わって戻ってきた時に返却してもらうようにしています。マニュアルを見なくても仕事が確実にできるようになった段階で、マニュアルは使われなくなりますが、手順が曖昧になった時には再び利用されることもあります。こうしたマニュアルがあると、職場実習を受け入れる際や新たな職員が採用された際にも、とても役立っているようです。

気象庁では障害者活躍推進計画において「庁内職員の障害に関する理解の促進・啓発のため、気象庁独自でも研修や講演会を行う」旨を定めており、本年度も研修会が開催され、「障害のある職員を受け入れることで進化する職場」をテーマにした講演を行いました。

研修会は昨年同様にteamsで行われましたが、気象庁本庁だけでなく、全国の管区気象台や地方気象台からもオンラインで100名以上の職員が参加されたほか、当日受講できない職員は講演録画を視聴できるようにされました。

今年の研修の中では、川崎市から提供いただいた「ようこそ、バリアcaféへ〜二足歩行者ウォーカーの体験〜」の動画と人事院公務員研修所で行われたダイアローグ・イン・ザ・ダークの模様の動画も放映しました。

講演後には、事前に提出された職員からの質問にも回答しました。このうち障害があるという理由で平易な仕事しか与えないことや、障害に関係のない業務まで軽減するのは「差別」ではないのかとの質問に対しては、障害者雇用で求められる「合理的配慮」は個人の能力を発揮するためのものであり、仕事ができないからやらせないのではなく、業務を変えたり、指示の仕方を変えることで能力が発揮され、職場の戦力にすることを目指すものであると説明しました。

気象庁での職員研修も4年目を迎え、障害に対する理解や障害者雇用の意義について、職員の理解も進んできていることを感じます。

(講演資料)

「障害のある職員を受け入れることで進化する職場」

「ようこそ、バリアcaféへ〜二足歩行者ウォーカーの体験〜」

障害者の法定雇用率の引き上げにより、新たに1人以上の障害者の雇用が義務付けられる事業者を中心に集めた障害者雇用セミナーが、徳島労働局の主催で2024年2月7日にあわぎんホール(徳島市)で開催され、製造、医療、福祉、サービス、運輸、土木・建設、小売などの民間事業者のほか公的機関も含めた50名以上の方が参加されました。セミナーでは、徳島労働局職業安定部長の篠原毅さんの挨拶に続き、地方障害者雇用担当官の堤智恵さんから「徳島県の障害者雇用の現状」について説明がありました。その後、当ネットワークの依田から「経営の観点から見た障害者雇用の効果と進め方〜持続的に成長できる職場づくり〜」について講演しました。引き続いて、もにす認定を受けている船場化成株式会社(徳島市)総務部長の村田道彦さんと赤澤海音さんから「定年まで働きたい!現場実習から4年半の道のり〜驚愕の大変身を経て現在も楽しく勤務できている理由〜」という対談形式の事例発表がありました。

講演では、健康経営や多様性という文脈の中で障害者雇用を考える視点が大切とした上で、障害者雇用の効果として、人材不足への対応、業務の効率化、同じ職場で働く従業員にも働きやすい環境整備、合理的配慮の理解が企業の強みになる、心理的安全性の高い職場づくり、管理職のマネジメント能力の向上、SDGsへの貢献といった点を挙げて説明しました。

事例発表では、上司である村田さんが赤澤さんの言葉をスムーズに引き出している姿から、心理的安全性の高い職場づくりをされていることを感じました。赤澤さんの「成長できるということが仕事にはあるんだ」「ここで終わりという限界を作らずにこれからも進化を続けていきたい」という言葉には、会場の皆さんも頷きながら聞き入っていました。

雇用率制度という言わば「ムチ」と助成金という「アメ」だけでは事業者が「腹落ち」することはないでしょう。今回のセミナーでは経営の視点で障害者雇用の効果を理解していただくとともに、その効果を本人や経営者の生の声で「裏打ち」することができたと思います。参加された事業者の皆さんには、「障害者雇用やってみるのも良いかな」と考えるきっかけになったのではないでしょうか。

(講演資料)

「経営の観点から見た障害者雇用の効果と進め方〜持続的に成長できる職場づくり〜」

東京大学大学院経済学研究科客員研究員で聴覚障害をもつ医療従事者の会の栗原房江さんから「医療従事者関連国家資格を有する聴覚障害者の就労実態に関する研究(2020)」について情報提供がありましたので、お知らせします。第68回日本聴覚医学会総会・学術講演会での発表「聴覚障害をもつ保健医療従事者の就労 : 20年間の変遷と課題」の抄録が公開されています。

医療機関の障害者雇用Q&Aに新たに10問を追加しましたので、参考にしてください。

医療機関の障害者雇用Q&A(第2版)

 

(追加質問)

Q4:定型的な単純業務を障害者に担当させるのは、差別に当たらないか。

Q6:「障害者差別解消法の合理的配慮」と「障害者雇用促進法の合理的配慮」は、どのように異なるのか。

Q12:専任の支援者(ジョブコーチ)向けの研修にはどのようなものがあるか。

Q13:地域の支援機関のサポートで利用できるものはあるか。

Q17:職場実習を行う場合に広い範囲から人材を集める方法はあるか。

Q18:医療機関では患者の個人情報を取り扱っているが、実習生に守秘義務は課せられるのか。

Q28:障害者雇用でテレワークを行う場合の注意点は何か。

 Q41 :もっぱら身体を使う作業に従事することを条件に雇用された者が、自分には企画関係の業務の方が向いているので異動させてほしいと言っているが、どうしたら良いか。

Q45:就労定着支援システムSPIS(エスピス)とは何か。

Q47:一緒に働く障害者同士の関係が悪い場合は、どのように対応すればよいか。

今年4月から始まる法定雇用率の引上げと除外率の引下げへの対応で、医療機関の皆さんは気の抜けないことでしょう。
こうした中で、当ネットワークとしては初めての試みですが、今年3月13日に福岡市において「医療機関における障害者雇用に関するセミナー〜医療機関の働き方改革に貢献する障害者雇用〜」を福岡障害者職業センターとの共催で開催することになりました。
セミナーでは当ネットワーク代表の依田が基調講演を行うほか、地元の博愛会病院の雇用事例の紹介など、現場に役立つ実践的な内容となっています。医療機関の障害者雇用について、当ネットワークの皆さんの経験とノウハウをまとめてお伝えする貴重な機会であり、福岡県内に限らず近隣県等の医療機関で関心のある皆様にはぜひ参加いただければと思います。
日時:令和6年3月13日(水)13:30〜17:00
場所:福岡市舞鶴庁舎 2階大研修室
定員:100名程度
内容:
1.基調講演「働き方改革に貢献する障害者雇用の進め方」
 医療機関の障害者雇用ネットワーク代表 依田晶男
2.特別講演「医療機関における障害者就労支援の実際」
 福岡市立障がい者就労支援センター所長 黑田小夜子
3.パネルディスカッション
 特定医療法人財団博愛会博愛会病院、社会医療法人原土井病院、 福岡障害者職業センター

 

愛媛県の南予地域就労支援ネットワーク連絡会の主催で、「公的機関での障害者雇用についての交流会」がオンライン形式で1月16日に開催され、愛媛県(えひめチャレンジオフィスを含む)、市町、国機関の24名を含む40名以上の方が参加されました。

愛媛労働局職業安定部職業対策課長の堀尾寿之さんの挨拶の後、話題提供として当ネットワーク代表の依田から「公的機関での障害者雇用の意義と取組」についてお話しし、特許庁や茨城県における障害者雇用の取組を紹介しました。引き続き、愛媛県保健福祉部生きがい推進局障がい福祉課在宅福祉課担当係長の大西沙織さんから「えひめチャレンジオフィスなど愛媛県庁の障がい者雇用」について報告がありました。

その後の意見交換では、職域開発、職場実習、障害のある職員向けの研修などの話題で盛り上がりました。一部の機関からは、押印廃止、電子申請などのペーパーレス化が進む中で、将来的に障害のある職員が担える事務補助業務がな減少するのではないかとの懸念が伝えられましたが、ペーパーレス化を進める上では既存の膨大な紙文書のスキャニングが必要であり、当面の業務はむしろ拡大するのではないかという意見も出ました。

2021年度からスタートした交流会も4年目となり、それぞれの機関が抱えている課題やノウハウを率直に話し合えるようになってきました。全国的に見ても、こうした交流会はまだ限られた地域でしか開催されていませんが、参加した機関の皆さんには大変参考になっているようなので、是非、他の地域でも開催される動きが出てくることを期待します。

(資料)「公的機関での障害者雇用の意義と取組

 

国の機関の職員に対する障害者の職場適応支援者養成セミナーの東京での令和5年度第2回目が、1月15日からAP市ヶ谷(東京都千代田区)で開催されました。国の機関からの参加者は18名でした。2時間の講義の最後に行われた質疑の時間では、「合理的配慮」として要求される内容にどこまで対応すべきかという質問が幾つかあり、公務部門の雇用の現場で抱える悩みが伝わってきました。雇用の分野での「合理的配慮」の目的や限界については、「公務部門の障害者雇用情報サイト」に掲載している「公務部門の障害者雇用Q&A」でも説明しています。このQ&Aは、過去のセミナーで質問された内容などをもとに作成していて、現在は第3版を公表していますので、参考にしていただけるかと思います。

(講義資料)

「公的部門における職場適応支援者の役割①~働き方改革に資する障害者雇用の進め方~」「公的部門における職場適応支援者の役割②~公務部門での障害者雇用事例に学ぶ~」

「合理的配慮の違い(障害者差別解消法と障害者雇用促進法)」

本年4月以降、法定雇用率の引上げや除外率の引下げといった一連の雇用率制度の強化により、医療機関では対応が迫られることになります。法定雇用率を満たしている医療機関でも、現状のままだと法定雇用率を下回ることも予想されます。

法定雇用率の引上げと除外率の引下げの影響

このため、早いうちから将来を見据えた準備を進める必要があります。国による支援策も強化されていますので、これらを上手に活用することが必要でしょう。

障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について(厚労省ホームページ)

「医療機関の障害者雇用ネットワーク」では、こうした状況に役立つ医療機関向けの情報提供を充実してまいりますが、その一環として、本年3月13日(水)には福岡市で「医療機関における障害者雇用セミナー」の開催を予定しています。詳細につきましては、1月下旬頃にホームページ上でご案内しますので、ご期待ください。

 

厚生労働省が12月22日に発表した「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」によれば、法定雇用率2.5%が適用される教育委員会の実雇用率は2.34%となり、昨年の2.27%より0.07ポイント上昇しました。内訳を見ると、都道府県教育委員会は2.34%で作年より0.08ポイント上昇し、市町村教育委員会は2.35%で昨年より0.02ポイント上昇しています。法定雇用率が未達成なのは、都道府県教育委員会では16機関(全体の34.0%)、市町村教育委員会では15機関(全体の31.2%)で、前年に比べ都道府県教育委員会では5機関、市町村教育委員会では1機関減少しました。

都道府県等教育委員会の障害者雇用状況(令和5年 障害者雇用状況の集計結果)

都道府県教育委員会で法定雇用率が未達成な16機関を不足数の多い順に見ると、愛知県(288.0人)、東京都(274.5人)、兵庫県(203.0人)、大阪府(130.5人)、福岡県(119.0人)、沖縄県(81.0人)、静岡県(71.0人)、京都府(70.0人)、福島県(54.5人)、奈良県(44.5人)、長崎県(33.0人)、新潟県(29.0人)、宮崎県(23.5人)、青森県(21.5人)、北海道(11.0人)、島根県(1.0人)となっています。この16機関の前年からの不足数の増減を見ると、愛知県(−56.5人)、東京都(−48.0人)、兵庫県(−22.0人)、大阪府(−19.0人)、福岡県(−1.0人)、沖縄県(−3.5人)、静岡県(−36.0人)、京都府(−6.0人)、福島県(−21.0人)、奈良県(−10.5人)、長崎県(−3.0人)、新潟県(+1.0人)、宮崎県(+8.5人)、青森県(−18.0人)、北海道(−15.0人)島根県(−2.0人)となっており、障害者雇用数を増やす取組みにはかなりの温度差が見られます。

今後、令和6年4月と令和8年7月に法定雇用率が引き上げられ、教育事業に適用されている除外率も令和7年4月に引き下げられるため、教育委員会が雇用する必要がある障害者数は急速に増加していくことが見込まれ、現時点で法定雇用率を達成している教育委員会も含め、早急な対策が必要となっています。当ネットワークでは、11都府県市の教育委員会のご協力を得て「都道府県等教育委員会の障害者雇用事例」(令和5年10月)を取りまとめ公表していますので、こうした情報も参考にしていただければと思います。

「都道府県等教育委員会の障害者雇用事例」(令和5年10月)