新着情報

2023年5月29日にオンラインで開催された「障害のある人の欠格条項って何だろうQ&A」 出版記念イベントでも講演された全盲の精神科医である福場将太さんが、NHKの放送で紹介されました。福場さんは北海道美唄市にある精神科クリニックで精神科医として勤務されています。映像では診察室での診療の様子も具体的に分かります。

「ぼくだからできること 美唄・全盲の精神科医の日々」

 

 

国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)では、知的障害や精神障害のあるスタッフ16名が病院内の業務に従事しています。同病院では、2011年に事務部管理課庶務係に属する組織として「オフィスオーク」を設置し、ジョブコーチの指導支援の下に障害のあるスタッフが働く環境を整備しました。オフィスオークでは、院内から受注する業務が増えるのに合わせて、年々働くスタッフの数も増やしてきました。2016年度以降は、薬剤部からも仕事を発注するようになり、今では薬剤部から様々な業務を発注するなど、オフィスオークは欠かせない存在となっているそうです。

薬剤部長の川﨑敏克さんに、薬剤部の目から見た病院の障害者雇用についてお聞きしました。

インタビュー記事

日本職業リハビリテーション学会第50回かながわ大会が2023年8月25日〜26日に神奈川県立保健福祉大学(横須賀市)で開催され、2日目の午前には大会企画シンポジウムⅡ「雇用する側あるいは働く障害者を支える側はこれからの時代にどのような取り組みを行っていくの か」が行われました。シンポジウムの司会は学会長の志賀利一さん(横浜やまびこの里)で、シンポジストとして小形秀夫さん(障害者雇用部会)、酒井大介さん(全国就労移行支援事業所連絡協議会)、久保寺一男さん(就労継続支援 A 型事業所全国協議会)とともに、当ネットワーク代表の依田が「公務部門の障害者雇用情報サイト管理者」の立場で参加しました。

(説明資料)「公務部門における障害者雇用を推進するための取組」

職場実習が行われてこなかったり、地域の支援機関があまり活用されていないなど、公務部門の障害者雇用には一時代前の印象もありますが、役所が異なっても業務は似通っている特徴に加え、「公務部門における障害者雇用マニュアル」や「障害者活躍推進計画」の策定など、統一的な方向性を示せるメリットもあります。現場では十分理解や活用がされていない理念やノウハウも多いですが、地域の支援機関が分かりやすく説明することで実質が伴えば、新たな障害者雇用のモデルも生み出され、好事例の横展開が期待できる分野と言えるでしょう。そのためにも、特例子会社間で障害者雇用のノウハウを共有する障害者雇用部会のように、公務部門でも障害者雇用のノウハウを共有できる場づくりが求められるでしょう。

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が実施している、日本看護協会の認定看護管理者教育課程サードレベルの研修が開講され、JCHO病院16病院のほか国立病院、労災病院、大学病院、県立・私立病院、民間病院16病院から計33名が受講しました。本年の研修は、昨年に引き続きオンラインと対面の組み合わせで実施され、「組織デザインと組織経営」の単元では「働き方改革に資する障害者雇用」をテーマに3時間の講義をオンラインで行いました。

前半の講義では、最近企業の人事関係者の間で話題になっている「心理的安全性」について、提唱者であるハーバード大学のエイミー・エドモンドソンは、病院の優れたチームワークを持つチームの方がヒューマンエラーの発生率が高いという調査結果から、優れたチームほどオープンに情報を共有するためエラーを報告する回数も多いと捉え、この現象を「チームの心理的安全性」と呼んだことを紹介しました。「心理的安全性」の考え方が医療現場の研究から生まれたことからも、看護管理者の皆さんには「心理的安全性」の高い職場づくりに取り組んでいただければと思います。

後半のグループワークでは「『働き方改革に資する障害者雇用』自院で進めるとしたらどのような業務を切り出したいか」と「自閉症スペクトラム(ASD)傾向のある看護職の適性に合う仕事は何か」の2つのテーマについて、5つのグルーで意見交換してもらいました。テーマ1では、看護師の業務を看護補助者にタスクシフトするため、障害者雇用で看護補助者の業務から定型的なものを切り出し、看護補助者の負担を軽くしたいという意見が多く出ました。テーマ2では、新人看護師は病棟配置が基本だが、担当患者を一人から増やせなかったり、マルチタスクが必要な病棟業務は難しい新人もいるといった意見がありました。そうした中で、コミュニケーションに問題のある新人を手術室に配置したことで定着し、スキルアップにも積極的に取り組んでいる経験から、適性のある業務として手術室等もあるといった意見もありました。また、周りが困っていても本人に自覚がない場合は、別業務に異動させることが難しいといった意見に対し、本人のこだわりのあった診療科に関連する業務の中から、判断の必要が少ない業務に変えることで納得が得られたとの報告もありました。講評では、異動先を探す場合にはモチベーションが保てることが大切で、看護師でなくてもできる作業をさせるのではなく、国家資格が必要な業務でスキルアップを目指せるような業務が望ましいことを伝えました。

来年からの法定雇用率の引上げと除外率の引下げで、医療機関の障害者雇用への圧力は強まることが予想されますが、そうした中でも看護管理者の皆さんが障害者雇用を自分たちの「働き方改革」に資するものとして受け止め、この機会を生かしていかれることを期待しています。

(講義資料)「組織デザインと組織運営〜働き方改革に資する障害者雇用〜」

このコーナーでも度々紹介してきた国立研究開発法人国立がん研究センター(中央病院:東京都中央区、東病院:千葉県柏市)では、院内からさまざまな業務を切り出し障害のあるスタッフが従事することで、「医療職の働き方改革」にも貢献しています。

国立がん研究センターでは、毎年度の事業計画に加え、6年間の中長期計画を策定しています。そこでは、業務運営に関する重要事項の一つとして「人事の最適化」が掲げられ、タスク・シフティングと障害者雇用について以下のような記載がされています。

イ 女性の働きやすい環境を整備するとともに、医師の本来の役割が発揮できるよう、医師とその他医療従事者との役割分担を見直し、タスク・シフティングを推進し、職員にとって魅力的で働きやすい職場環境の整備を行うことにより離職防止に努める。

ウ 障がい者が、その能力と適正に応じた雇用の場に就き、地域で自律できる社会の実現に貢献するため、障がい者の雇用を推進するとともに、サポート要員の確保など働きやすい環境の整備にも取り組む。

さらに、毎年度の事業計画の中では、「医師以外の職種についてもタスクシフトについて検討を行う」とともに、「障害者支援施設と協力し、引き続き障害者の雇用を推進する」「ジョブコーチを確保、教育し、障害者の働きやすい環境の整備に取り組む」ことが明記されています。

こうした計画の記載からは、タスク・シフティングと障害者雇用とは密接に関連すると認識されていることが窺われます。国立がん研究センターのような高度専門医療機関において、経営計画の中に障害者雇用が記載され、それが医療職のタスク・シフティングにも貢献するものと位置付けられていることは、他病院の皆さんにも大いに参考になることでしょう。

公益財団法人共用品推進機構は、共用品・共 用サービスの調査研究を行うとと もに、共用品・共用サービスの標 準化の推進及び、共用品・共用サー ビスの普及啓発を図っています。 さらに製品及びサービスの利便性 を向上させ、高齢者・障害のある 人々を含めた全ての人たちが暮ら しやすい社会基盤づくりの支援を 行うことを目的とした活動を展開しています。同機構では、経済産業省の協力の下に、高齢者や障害者に配慮した国内外の規格づくりを積極的に進めており、令和4年度にスタートした「新たな日常生活における障害者・高齢者アクセシビリティ配慮に関する国際標準化委員会」には、当ネットワークからも委員として参加しています。令和4年度の同機構の事業報告が情報誌「インクル」に掲載されていますので、紹介させていただきます。

「令和4年度事業報告書 アフターコロナ時代のアクセシブルデザイン」(インクル第145号掲載)

公益財団法人共用品推進機構が隔月で発行する情報誌「インクル」では、2023年7月25日発行の第145号において「合理的配慮」について特集しています。特集記事の中では、当ネットワーク代表の依田の「雇用分野での合理的配慮」が掲載されています。「合理的配慮」の考え方については、少しずつ理解が広がってきましたが、それとともに現場では対応に苦労される場面も増えてきました。その背景には、サービス提供の分野と雇用分野とでは「合理的配慮」の根拠法も異なり、その目的とするところが異なるにも関わらず、そのことが関係者の間でもあまり理解されていないことがあるように思います。「合理的配慮」として雇用主側が配慮を求められ、「過重な負担」でなければ対応するという以前の問題として、そもそも「雇用分野での合理的配慮」が何を目的とするかを明確にすることが、建設的な議論を行う上では不可欠なことを、この記事から感じ取っていただければと思います。

「雇用分野での合理的配慮」(インクル第145号掲載)

「インクル」のご紹介

国の機関の職員に対する障害者の職場適応支援者養成セミナーの大阪での令和5年度第1回目が、7月18日から4日間の予定でドーンセンター(大阪市)で開催されました。セミナーには、国の6機関から7名が参加されました。参加者が少数だったこともあり、講義の中でも積極的に質問が出て、少人数のメリットを感じることができました。今回の研修に限りませんが、「合理的配慮」についてどこまで対応すべきか悩まれている話をよく聞きます。障害者がサービスの受け手である場合は「障害者差別解消法」の適用対象ですが、雇用されている障害者に対する対応は「障害者雇用促進法」の適用対象となります。後者の場合は、障害者も賃金を得て働く労働者という立場であり、障害者雇用促進法により「職業に従事する者としての自覚を持ち、その能力の開発及び向上を図り、有意な職業人として自立する」という努力義務が課せられています。セミナーでは、雇用の局面での「合理的配慮」には、この努力義務が前提にあるとした上で、「障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために講ずる」ものであることを説明しています。なお、今回の研修でも国機関での障害者雇用の事例報告が予定されています。同じ公務部門での障害者雇用の事例は聞く機会が少ないだけに、受講者の皆さんにも大変参考になることでしょう。

特定非営利活動法人WEL’s TOKYOが東京都から受託している令和5年度東京都就労支援機関連携スキル向上事業のマッチングスキル等向上研修において、「経営者に響く『障害者雇用の効果』〜健康経営と多様性〜」をテーマとしたe-ラーニング講義を行うため、昨年度に続き収録を行いました。

障害者雇用において「量の確保」から「質の向上」が問われる一方で、障害者雇用に取り組むことが職場の上司や同僚にとって、更には企業経営にとって、どのような意義やメリットがあるのか、「腹落ち」できる説明が求められています。その説明にあたっては、企業の間で関心が高まっている「健康経営」や「多様性」という切り口が効果的であること、障害者雇用にはそのために役立つスキルが豊富にあることを具体的に解説しました。「心理的安全性」の高い職場づくりに障害者雇用の経験が役立つことも、就労支援機関の皆さんには是非関心を持ってもらい、そうしたノウハウも含めて企業にアドバイスできるスキルを身につけていかれることを期待しています。

(資料)「経営者に響く『障害者雇用の効果』〜健康経営と多様性〜」

国の機関の職員に対する障害者の職場適応支援者養成セミナーの東京での令和5年度第1回目が、6月26日からAP市ヶ谷(東京都千代田区)で開催されました。国の機関からの参加者は20名となりました。受講者の勤務地を見ると、東京近辺のほか山形県や佐賀県からの参加もありました。令和元年度から東京と大阪の会場で開催されてきたセミナーも、今回で18回目を迎えました。国の機関は全国に所在していることから、こうした研修は東京と大阪だけでなく、ブロック単位で開催してほしいという要望もあるようです。こうした要望に応えていくためには、国機関だけでなく、地方公共団体も含めた「公務部門」の障害者雇用セミナーのような形も考えられるでしょう。全国各地から参加しやすい方法となると、オンラインでの開催も考えられますが、公務部門で障害者雇用に携わっている職員同士が情報交換したり、地元の就労支援機関を知る機会が作れる、障害者雇用事業所での実習もできるという点では、やはり対面での研修機会はメリットがあると思われます。その上で、基本的な説明部分はビデオ録画を活用するような工夫を考えていけば良いのではないでしょうか。いずれにしても、全国にある公務部門の職場の皆さんに対して、障害者雇用に必要なノウハウを学べる機会を広く提供していくことは、公務部門の障害者雇用の質を向上させていくためには不可欠なことです。

(講演資料)

「公的部門における職場適応支援者の役割①~働き方改革に資する障害者雇用の進め方~」「公的部門における職場適応支援者の役割②~公務部門での障害者雇用事例に学ぶ~」