6月30日に紹介した大阪けいさつ病院薬剤部の障害者雇用につい
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公益財団法人が研究会(東京都江東区)は、病床数644床のがん専門病院を運営しています。同院では、身体障害者8名、知的障害者21名、精神障害者5名が働いています(2025年11月現在)。
同院の障害者雇用の状況について、東京都が運営する「TOKYO障害者雇用支援ポータル」の「障害者雇用企業インタビュー」のコーナーに動画がアップされていますので、紹介します。
厚生労働省は、毎年度、ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況等を取りまとめ、翌年度の6月に公表しており、令和7年度の状況については令和8年6月19日に公表されました。この発表で注目されるのは、ハローワークの職業紹介により就職した障害者の障害種別の構成です。これを見ると、医療機関が新たに障害者を雇用しようとする際に、障害者の労働市場がどのような状況にあるのかが分かります。
今回の発表では過去10年間の推移も示されていますが、平成27年度(2015年度)と令和7年度(2025年度)を比較すると、ハローワークの職業紹介により就職した障害者の障害種別は、身体障害者(31.0%→18.6%)、知的障害者(22.1%→19.3%)、精神障害者(42.6%→57.8%)、その他(4.3%→4.3%)と、精神障害者の割合が大きく増大していることが分かります。これまで身体障害者しか雇用していなかった医療機関も多いかと思いますが、その職員が高齢で引退した後を補充する際には、こうした労働市場の状況を踏まえれば、精神障害者の雇用についても前向きに考える必要があるでしょう。その際には、ハローワークだけでなく外部の支援機関(障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、障害者就労移行支援事業所など)のサポートを得て、業務の切り出しや職場実習などにも取り組む必要があるでしょう。
なお、この調査では、就職した障害者(115,178件)の産業別の割合も示されています。最も多いのは「医療・福祉」の44,683件(38.8%)ですが、この中には就労形態が雇用タイプである障害者就労継続支援事業所A型への就職件数(27,590件)が含まれており、その数は「医療・福祉」への就職件数全体の6割以上を占めています。「医療・福祉」業は、障害者雇用が進んでいると言われることもありますが、その中にはこうした福祉サービスの利用者である雇用数が相当程度含まれていることに注意する必要があります。
令和8年7月2日(木)~3日(金)に国立京都国際会館(京都市)にて開催された第76回日本病院学会において、福岡市の特定医療法人財団博愛会から「医療機関の障害者雇用定着に向けたジョブコーチの役割 ー専門的介入による不可欠な戦力への変容と現場の必要性実感プロ
日本病院学会で障害者雇用をテーマとした発表が行われるのは珍しいことですが、会場には約50名の方が集まり、発表後やセッション終了後には多くの方から質問や情報交換の要望が寄せられるなど、この問題に対する医療現場の関心の高さが感じられたそうです。質疑応答では、法定雇用率の引き上げや除外率の引き下げといった制度改革の波の中で、「雇用率を維持・
発表に用いられたスライドは大変分かりやすく、現場での経験から伝えたい大切なポイントが網羅された内容の濃いものとなっています。ジョブコーチの必要性を伝えても、なかなか配置まで踏み切れない病院がほとんどですが、このスライドと説明を聞いた方は、ジョブコーチの配置で障害者雇用の展望が大きく開かれることを、具体的にイメージできるのではないでしょうか。
(口演発表スライド)「医療機関の障害者雇用定着に向けたジョブコーチの役割 ー専門的介入による不可欠な戦力への変容と現場の必要性実感プロ
社会医療法人大阪国際メディカル&サイエンスセンターが運営する大阪けいさつ病院(大阪市)は、高度医療を提供する650床の地域の中核病院です。大阪けいさつ病院では、2019年に労働局から指導を受けたことをきっかけに、障害者雇用に取り組み始めました。事務部門から院内各部門に対して障害者雇用の受け入れの相談があった当時、厚労省医薬・安全局から「調剤業務のあり方について」(薬生総発0402第1号平成31年4月2日)が発出されていて、通知の中では薬剤師の行う対人業務を充実させる観点から、調剤機器や情報技術の活用等とともに、薬剤補助者との協働が謳われていたことから、薬剤部では薬剤補助業務において障害のある方が活躍できるのではないかと考えました。その後、薬剤部での障害者雇用は徐々に進んできましたが、2025年1月に新病院がオープンすることになり、薬剤部でも調剤業務にロボットを導入することになりました。このため、障害の有無にかかわらず、薬学生や新人など誰にとっても分かりやすく、働きやすい業務設計を目指して見直しを進めた結果、新病院においては薬剤補助業務で雇用される障害者は更に増えました。現在の薬剤部のスタッフは薬剤師60人と薬剤補助者20人ですが、薬剤補助者20人のうち障害のあるスタッフが15人を占めています。
(参考)大阪けいさつ病院の障害者雇用
医療法人財団青蹊会駒木野病院(東京都八王子市)は、病床数447床の精神科病院です。院内では、看護、コメディカル。人事、事務などの部門が参加した「障害者雇用促進委員会」が2017年から活動しており、現在は精神障害者8名と知的障害者2名が働いています。
同院の障害者雇用の状況について、東京都が運営する「TOKYO障害者雇用支援ポータル」の「障害者雇用企業インタビュー」のコーナーに動画がアップされていますので、紹介します。
「人を大切にする経営」ということが、最近ではよく言われるようになってきました。「人を大切にする経営学会」(会長:坂本光司 法政大学大学院元教授)も設立され、理念を共有する経営者も増えてきました。人を大切にする経営は、企業経営の真の目的・使命は「事業を通して企業に関わるすべての人々(職員とその家族、取引先などの協力企業とその家族、顧客、地域社会、株主や関係機関)を幸せにすること」であるという経営理念です。
医療機関を経営する法人の中にも、「人を大切にする経営」に積極的に取り組んでいる法人があります。その一つである特定医療法人財団博愛会(福岡市)では、この経営理念を実践すべく「五方良し経営推進委員会」を設置し、職員が中心となって職場の環境改善や障害者雇用の推進などに取り組んでいます。博愛会では2026年4月に、これらの取り組みを「五方良し経営〜人を大切にする経営を目指して〜」という冊子にまとめ、関係者に配布しています。冊子の中では、障害者雇用の取り組みも紹介されていて、「数字で証明できる強み」「サポート体制の強み」「多様性の強み」「社会的信用の強み」の4つの区分で9項目が紹介されるとともに、「医療機関の障害者雇用ネットワーク」もQRコード付きで紹介いただきました。個別の取り組みとしては、全部で61の項目が紹介され、ダイバーシティとインクルージョン関係では「障がい者雇用の推進と活躍の場の拡大」「ケアメイトの活躍」などが記載されています。
「人を大切にする経営」や「健康経営」などの理念は、障害者雇用に通じるものであり、障害者雇用を進める上でも、こうした高次の理念を取り入れていくことは、職場全体を変えていく上で重要なことでしょう。
「五方良し経営〜人を大切にする経営を目指して〜」(抜粋)
当ネットワークの姉妹サイトとして2020年3月に設立された「夢をつなぐDoctor’s Network」は、様々な障害のある「先輩医師」たちが、大学生活や臨床現場での経験から生み出した工夫や周囲の配慮について、ホームページ(https://dream-doctor.net)を通じて発信する活動を行っています。先輩医師のプロフィールは、視覚障害、聴覚・言語障害、肢体不自由、内部障害、精神・発達障害、難病など障害の種類も多彩で、障害の発生時期も医学部入学前、在学中、医師になってからなど様々です。ホームページからは、「先輩医師」に匿名で質問することもでき、「先輩医師」からは自らの経験を踏まえた親身で実践的なアドバイスがされ、相談した皆さんから感謝のメッセージが寄せられています。
先輩医師に相談できた人には大変喜ばれていても、サイトに辿り着ける人は極く少数に止まっていることから、ネットワークの活動やサイトのことを広く社会に知っていただく必要があります。先輩医師は現役の医師で多忙なため、質問者が増えても先輩医師の負担が加重にならないようにするとともに、障害種別ごとに対応できるためにも、先輩医師を増やしていく必要もあります。
このため「夢をつなぐDoctor’s Network」では、新たに「夢を広げる翼プロジェクト」を立ち上げることにしました。この活動に対して、ヤマト福祉財団から2026年度障がい者福祉助成金が交付されることになり、6月5日に贈呈式が行われました。贈呈式では、ヤマト運輸株式会社副都心主管支店の主管支店長の金原竜次さんから贈呈書が手渡されるとともに、ヤマト運輸労働組合副都心支部執行委員長の中村晃さんから励ましのメッセージをいただきました。ヤマト福祉財団の助成金は、同社の社員の募金に基づくものであり、改めてこの活動を充実したものにする思いを強くしました。
千葉県の柏・我孫子圏域を担当エリアとする障害者就業・生活支援センター ビック・ハート柏(千葉県柏市)では、令和8年4月17日に「地域意見交換会」をラコルタ柏で開催し、柏・我孫子圏域の就労移行支援事業所、相談支援事業所、訪問看護ステーション、グループホーム、特別支援学校、企業など40機関から55名が参加しました。意見交換に先立ち、当ネットワーク代表の依田が「障害者就業・生活支援センターの誕生から成長を見つめる」をテーマに60分講演を行いました。講演では、地元にある国立がん研究センター東病院の障害者雇用の取り組みも紹介しました。また、障害者就業・生活支援センターの現状の課題として「登録者数の増大」と「生活支援への対応」を取り上げ、障害者就業・生活支援センターの負担を軽減しつつ課題に対応していくには、雇用する事業所側のスキルを高めるとともに、働く障害者の就業面と生活面を一体的に支える地域の支援ネットワークの構築が必要なことをお話ししました。
講演後は参加者が10グループに分かれ、「障害者雇用の魅力」と「障害者就業・生活支援センターと連携していくために」の2つテーマについて、50分ほど活発な意見交換が行われました。こうした意見交換会は他の地域でも行われているでしょうが、内容が充実した地域で共通しているのは、就労支援機関だけでなく企業や教育機関、生活支援機関の皆さんが多く参加されている点です。柏の地域交流会は、その点でも充実したものであり、これまで障害者就業・生活支援センターが中心となって地域を耕してこられた成果を感じました。地域意見交換会の閉会後に会場を変えて開催された交流会にもたくさんの方が参加され、熱心なやり取りを続けていました。このような取り組みを継続していくことにより、「顔が見えて信頼できる関係」が構築されていくのだと思います。その延長線上に、この地区が「働く障害者の就業面と生活面を一体的に支える地域の支援ネットワーク」のモデル地区へと成長していかれる姿がイメージされました。
独立行政法人国立病院機構(NHO)では、全国に140ある国立病院の病院長会議を4月下旬に開催するのに先立ち、障害者雇用に関する研修動画を全院長宛てに配信することとし、令和8年4月3日にNHO本部で30分の講演動画の収録が行われました。NHOでは、昨年10月にオンラインで開催された事務部長会議でも、障害者雇用をテーマとした特別講演を行いました。病院長や事務部長といった経営幹部に対して、障害者雇用の啓発活動を継続して行っている効果は、必ず出てくることでしょうが、加えて、看護部長や薬剤部長などの医療職が、障害者雇用の問題を自分たちの「働き方改革」につながる問題として理解されるようになれば、病院での障害者雇用も大きく前進するでしょう。そのような点を含めて、公的病院グループとしてのNHOの今後の障害者雇用の取組みには期待したいと思います。