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都道府県の知事部局の職員を対象とした障害者活躍推進計画の一覧です。具体的な計画名については、それぞれの障害者活躍推進計画により確認ください。

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大分県障害者活躍推進計画

宮崎県障害者活躍推進計画

鹿児島県障害者活躍推進計画

沖縄県障害者活躍推進計画

愛媛県の障害者就業・生活支援センターらが中心となって、「地方における公的機関の障害者雇用の在り方を考える」オンライン研修が令和3年2月25日に開催され、県内の地方公共団体、国機関、就業支援機関から50名ほどが参加されました。愛媛労働局職業安定部職業対策課地方障害者雇用担当官の三ツ井尚之さんの挨拶に続き、当ネットワーク代表の依田が「公務部門における障害者雇用の進め方〜成功への道筋〜」をテーマに70分ほどの講演を行いました。その後、愛媛県生きがい推進局障害福祉課在宅福祉係担当係長の高岡麻奈美さんから「えひめチャレンジオフィス」の実践報告がありました。「えひめチャレンジオフィス」は、愛媛県庁における障害者雇用の集中配置型の事業所で、県内6箇所の事業所で計33人(本庁で12人、3地方局で各5人、2支局で各3人)が会計年度任用職員として働いています。各部署から業務依頼を受け、事務補助業務や軽作業を実施しています。障害のある職員3〜4人に1人の割合で専属のマネージャーを配置し、支援に向けた計画書や手順書の作成を行っています。チャレンジ雇用の枠組みのため、最⻑3年間の間に様々な業務を通じて自信を付け、⺠間企業や県・市町等への就労(ステップ アップ)することを目指します。実践報告の最後には、支援機関へのお願いとして、早期からの就職に向けた相談等支援、生活面の安定支援、日頃からの連携・情報共有が指摘されました。この後、情報交換が行われ、県内の5市1町、県警本部、チャレンジオフィス、国機関から障害者雇用の取組状況について紹介がありました。このうち今治市では、集中配置型の事業所で8名の障害者が働いており、庁内から切り出した事務補助や軽作業の業務を行っていて、各職場からも喜ばれているとのことでした。えひめチャレンジオフィスや今治市のような集中配置型の事例が身近な県内にあることが分かり、研修後のアンケートでは、これまで分散配置型だったが集中配置型についても検討したいとの感想が多く寄せられました。

(講演資料)「公務部門における障害者雇用の進め方〜成功への道筋〜」

公益社団法人東京都教職員互助会が経営する三楽病院(東京都千代田区)では、知的障害のある職員を集合配置した「サンライトサポート室」を拠点に、知的障害のある職員が院内の様々な仕事に従事しています。

以下の三楽病院のホームページのPCサイトから「部門紹介」のページの「障害者雇用」をクリックいただくと「知的障害者雇用のためのサンライトサポート室について」をご覧いただけます。

三楽病院ホームページ

 

このQ&Aは、厚生労働省の委託事業として令和元年度〜令和2年度に計9回開催された「国の機関の職員に対する障害者の職場適応支援者養成研修」において、受講者から寄せられた質問に対して、「公務部門の職場適応支援者の役割」の講義を担当した依田の責任において、Q&Aの形に整理したものです。

ここに記載されていない項目についても、公務部門の皆さんから個別にご質問いただければ回答させていただきます。ご所属とお名前を付して以下の質問先までメールで送信ください。個人情報の取り扱いには配慮します。

質問先:mediem.net@gmal.com

 

【採用前・採用時】

Q1   障害特性を採用前に確認するのに活用できる資料はないか。

Q2   採用前に実地で障害特性や働きぶりを確認する方法はないか。

Q3  現場には職場実習を受け入れるだけの余裕がない。

Q4    職場実習を行う際に傷害保険等に加入する必要はあるか。

Q5 採用面接で障害の状況を具体的に聞くことは差別にならないか。

Q6 選考過程に実地選考を組み込む場合、どのような点を評価すれば良いか。

Q7 障害の情報を職場内でどこまで共有して良いのか。

Q8 連携先の就労移行支援事業所を見分ける方法はあるか。

Q9   障害者に就労支援機関への登録をしてもらうことは可能か。

【採用後】

Q10 採用後の配属先の拒否感や抵抗感をなくすにはどうしたら良いか。

Q11 採用した者の職場適応に問題がある場合にどこに相談できるか。

Q12 既存の仕事で能力を発揮できない者のために新たな業務を切り出す方法はあるか。

Q13 自分の本来業務に加えて障害のある職員のサポートまで手が回らない。

Q14 障害のある職員を各職場に分散配置する方法と特定部門に集中配置する方法をどう使い分ければ良いのか。

Q15 専任の支援者は配置した方が良いのか。

Q16 仕事以外のサポートまで行う必要はあるのか。

Q17 モチベーションが低下している者にどう対応したら良いのか。

Q18 周囲から差別されているという訴えにどう対応すれば良いか。

Q19 仕事が分からなくても聞きに来ない者にどう対応すれば良いのか。

Q20 勤務が安定せず出社できない者にどう対応したら良いか。

Q21 予想以上に働いて評価も高かった者が突然調子を崩したが、どのような原因が考えられるか。

Q22 面談で不調の要因を把握したいが、面談自体が負担になると言われて対応できない。

Q23 仕事が簡単過ぎると言われたが、難易度の高い仕事ができるとも思われない。

Q24 コミュニケーションの仕方がストレートで周囲から敬遠されている者に対し、どのように指導したら良いか。

Q25 障害のある職員が受診している医療機関と連携するにはどうすれば良いか。

Q26 支援担当者の異動時に不調になるのを防ぐ方法はあるか。

 

【採用前・採用時】

 

Q1 障害特性を採用前に確認するのに活用できる資料はないか。

 

「障害者活躍推進計画作成指針」(令和元年12月17日 厚生労働省告示第198号)の第5-3(4)では、「本人が希望する場合は「就労パスポート」の活用等により、就労支援機関等と障害特性等についての情報を共有し、適切な支援や配慮を講じていくことが重要である」としています。

「就労パスポート」は、障害のある者が働く上での自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮などを支援機関とともに整理し、就職や職場定着に向け、職場や支援機関と必要な支援について話し合うために活用できる情報ツールで、厚生労働省が作成を勧めています。就労パスポートの作成と活用の主体は障害者自身ですが、自分の特徴を様々な角度から客観的に整理するためには、支援機関のサポートを受けて作成するのが望ましいとされています。

就労パスポートと同様な趣旨で作成されるものに、「ナビゲーションブック」があります。主に発達障害者を対象にして、障害者職業センターの支援プログラムの過程で作成されるもので、本人の自己理解を深めながら作成される点に特徴があります。

採用募集にあたり、こうした書類を採用選考時の必須提出書類とすることは適当でないことは「公務部門の障害者雇用マニュアル」(令和2年3月、内閣官房人事局・厚生労働省・人事院)p37にも記載されていますが、本人が自ら就労パスポートやナビゲーションブックを持参して、面接の際に活用することは本来の目的であり、公務部門でも活用が期待されます。

こうした書類の有無に関わらず、本人が同意する場合には、障害者の就労支援に関わる機関から、障害の特性や普段の状況等について必要な情報を得ることもできます。採用面接にあたり、支援機関の担当者の同席を義務付けることはできませんが、本人の希望により支援機関の担当者の同席を認めることは可能とされています。「障害者活躍推進計画の作成手引に係るQ&A集(第3報)」の問10−4でも、「障害者の就職活動の一環として、障害者が自らの特性や配慮事項について、就労パスポートを活用して公務部門に説明する際に、地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターが説明を支援することは差し付えない」とされています。

 

Q2 採用前に実地で障害特性や働きぶりを確認する方法はないか。

 

採用前に職場で実際の作業をしてもらい、障害の特性や仕事との適性を実地に確認できるものとしては、職場実習があります。職場実習に参加する障害者の側には、仕事や職場が自分に合うか事前に確認できるメリットがあります。一方、実習を受け入れる職場の側には、採用される可能性のある障害者に対する理解を深め、雇用する際の課題や対応策を事前に確認できるメリットがあります。職場実習で事前に確認できれば、職場に受け入れることへの抵抗感や不安感も和らぐことが期待されます。

職場実習には、ハローワークが斡旋するもの、就労支援機関が実施するもの、就労移行支援事業所等が実施するもの、特別支援学校が実施するものなど様々なものがあります。実習期間についても、半日や2〜3日程度から2週間程度まで様々で、事業所側の都合や希望を踏まえて設定されます。職場実習と採用手続のタイミングについては、「先行実習による確認」と「採用過程での確認」の2つの方法があります。

「先行実習による確認」とは、職場実習(職場体験を含む)でマッチングが確認できた者について、採用手続に移行する方法です。この方法では、職場実習は採用手続の一環ではありませんが、職場実習で適性が確認された者について、本人の希望を踏まえて採用手続に進めることは可能です。就労支援機関や特別支援学校等から個別に持ち込まれるもののほか、採用意向のある事業所の側で参加者を募集して行うものがあります。

「採用過程での確認」は、職員採用を公募し、応募者に対して書類審査や面接に加えて、実地作業(実技試験や実地選考)による総合的な評価を行い、採用者を決定する方法です。実地作業は実際の業務による場合もありますが、模擬作業で行われる場合もあります。採用された場合に従事する業務への適性を確認するためのものであり、選考手続の中で実習を行うことを募集要項等で明示するため、改めて各個人に実習の了解をとる必要はありません。

 

Q3 現場には職場実習を受け入れるだけの余裕がない。

 

逆説的になりますが、採用段階で手間を省こうとしたため、後になって何倍も苦労を強いられている困惑しているような実態は、公務部門の雇用現場にも見られます。公務部門ではこれまで職場実習の経験がほとんどないため、職場実習のことを念頭に置いていない職場も多いと思います。しかしながら、「障害者活躍推進計画作成指針」の第5−3(2)でも、募集・採用に際しては「職場実習(採用に向けた取組に限らない)の積極的な実施が重要である」とされており、「公務部門の障害者雇用マニュアル」第4章第4節には職場実習の実施方法等が詳細に記載されているように、公務部門でも職場実習を行うことが推奨されています。2〜3日程度の職場実習でも確認できることは多く、外部の支援機関が主体となって行うものも多いので、もっと積極的に考えるべきでしょう。

 

Q4 職場実習を行う際に傷害保険等に加入する必要はあるか。

 

職場実習を行う障害者は実習生の位置付けであり、事業主との間に雇用関係はないため、賃金は支給されませんが、実習中の事故に備えて傷害保険や損害保険に加入しておく必要があります。これらの保険については、「公務部門の障害者雇用マニュアル」p46では「就労支援機関で加入するのか、受入先(各府省)で加入するのかについては、就労支援機関等と調整の上、決定する必要があります」としており、受入先の府省側で保険に加入することも想定されています。

就労支援機関や特別支援学校の訓練・教育の一環として職場実習が行われる場合は、当該機関の側で保険に加入しているので、府省の側で加入する必要はないことが多いでしょう。これに対して、就労支援機関等のサポートを受けていない者に職場実習を行う場合は、府省の側で傷害保険等に加入するか、個人の側で傷害保険等に加入してもらうことになります。東京在住の障害者や事業所については、東京しごと財団による実習保険の助成制度が適用され、公務部門でも利用できるようです。就労支援機関のサポートを受けていない者に職場実習を行う場合は、こうした地方公共団体の助成制度の有無を含め、ハローワークの専門援助部門に相談してみると良いでしょう。

 

Q5 採用面接で障害の状況を具体的に聞くことは差別にならないか。

 

障害者枠で採用する際には、仕事に影響する障害特性について把握しておく必要があります。障害の状況を聞く目的は、採用後にどのような配慮が必要かを検討するためです。障害の特性を踏まえた「合理的配慮」が提供されないと、能力が十分発揮できず、結果的に職場での評価が低くなることがあります。このことは障害のある本人と職場の双方にとって損失となります。能力を発揮できるための配慮について検討するという趣旨を伝えた上で、採用面接では仕事に影響を与える障害の特性をきちんと聞く必要があります。

「障害者活躍推進計画作成指針」の第5-3(4)では、「本人が希望する場合には、就労パスポートの活用等により、就労支援機関等と障害特性等についての情報を共有し、適切な支援や配慮を講じていくことが重要である」としています。

また、人事院から示されている「職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針」(合理的配慮指針)(平成30年12月27日)では、「合理的配慮の手続において、障害者の意向を確認することが困難な場合、就労支援機関の職員等に当該障害者を補佐することを求めても差し支えない」としています。

 

Q6 選考過程に実地選考を組み込む場合、どのような点を評価すれば良いか。

 

将来的な採用の可能性を念頭に置いて職場実習を行う場合は、単に業務を体験させるだけでなく、職場に受け入れられるかどうかの評価も必要となります。一般的な職場実習では、挨拶、礼儀、態度、意欲、体力、責任感、集中力、正確さ、応用力等の評価項目を設け、何段階かで評価することが行われています。さらに、選考過程での実地選考では、報告・連絡・相談、安定した出勤等の評価項目が加えられる場合が多いです。

実地選考では、こうした個別項目の評価に加え、障害の特性と合理的配慮の確認も行う必要があります。本人が自分の特性や必要な配慮についてどれだけ理解しているかも大切です。面接の際に確認した障害の特性と合理的配慮の内容について、実地選考の際に確認しておけば、採用後の職場での合理的配慮の対応も円滑に行うことができるでしょう。

 

Q7 障害の情報を職場内でどこまで共有して良いのか。

 

採用した障害者に関して、本人や就労支援機関等から得られた情報について、どこまでをどの範囲の職員に伝えるかは、現場でも悩まれるようです。判断のポイントは、「障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な措置」(合理的配慮)を行う上で必要な情報かどうかということです。少なくとも、障害のある職員に対して業務の指示をする上司には、業務の円滑な実施に関係する事項は知らせておく必要があります。また、配慮を行うことで周りから不満が出ないよう、周囲の職員にも一定の情報共有をしておくことが必要な場合もあります。

いずれにしても、障害者の個人情報を他の職員に提供することについては、本人の了解を得ておく必要があります。障害特性のどの部分をどの範囲の職員に理解してもらうか、本人と十分に話し合い、本人の同意が得られる範囲で情報を共有します。情報共有について本人が消極的に考えている場合は、障害の特性を理解してもらうことで必要な配慮が求めやすくなることを丁寧に説明し、理解を促す必要があります。本人の理解力が十分でない場合は、支援機関の担当者等に同席してもらい、支援機関の側からも分かりやすく説明してもらうと良いでしょう。

 

Q8 連携先の就労移行支援事業所を見分ける方法はあるか。

 

障害者の就労支援機関には、都道府県単位で設置されている障害者職業センター、圏域単位で設置されている障害者就業・生活支援センター、都道府県等の単独事業により市区町村単位で設置されている障害者就労支援センター等のほか、福祉事業として運営されている就労移行支援事業所や就労継続支援事業所(A型・B型)、教育機関である特別支援学校、デイケアを行う医療機関など、様々な機関があります。

これらの機関の役割や力量は様々で、どこに相談すれば良いか迷われることも多いと思います。特に福祉事業である就労移行支援事業所は数も多く、信頼できる施設を選ばないと後々苦労することになります。地域にある支援機関の全体状況について知りたい場合は、広域的なエリアを管轄区域としている障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターに確認すると良いでしょう。障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターでは、雇用保険を財源とするサービスは公務部門では利用できませんが、情報提供などは柔軟に対応してもらえるでしょう。

福祉事業所である就労移行支援事業所の力量を評価するには、支援体制と支援実績に注目すると良いでしょう。支援体制としては、就職した者に対して3年間定着支援サービスを提供する就労定着支援事業の実施の有無がポイントとなるほか、就労支援担当者がジョブコーチ研修を受講していることも参考になります。また、支援実績については、当該事業所の支援を受けて一般事業所に雇用された利用者数や当該事業所による定着支援を受けている利用者数が参考になります。一般事業所に雇用された利用者が極めて少ない就労移行支援事業所は、連携先として適当ではないでしょう。

 

Q9 障害者に就労支援機関への登録をしてもらうことは可能か。

 

「障害者活躍推進計画作成指針」の第5-3(2)では、障害者の募集・採用について、「就労支援機関に所属・登録しており、雇用期間中支援が受けられること」といった条件を設定することは不適切であると例示していることから、採用内定後に就労支援機関への登録を義務付けることは同様に不適切と思われます。一方で、就労支援機関の提供する職場定着支援のサービスを受けることは、障害者自身にとってメリットがあり、職場の側にもメリットがあります。このため、採用が内定した者で就労支援機関に未登録の者に対しては、就労支援機関のサービスを受けることのメリットを説明した上で、できるだけ登録してもらうようお願いすることは可能でしょう。特に、生活面に課題があり、職場定着に不安があるような者については、就労支援機関への登録を働きかけることが望ましいでしょう。

 

【採用後】

 

Q10 採用後の配属先の拒否感や抵抗感をなくすにはどうしたら良いか。

 

採用された障害者の配属先がなかなか決まらないことがあります。障害者雇用の経験がない職場では、障害者とともに働くイメージが持てず、面倒なことを押し付けられたくないとの思いから、受入れに対する賛同が得にくい場合があります。

未知のことに対して不安を感じるのは無理もないことなので、障害についての基礎的な知識を得る機会を作る必要があります。「障害者活躍推進計画の作成手引き」(厚生労働省)の中でも、「障害者である職員を職場で受け入れるに当たり、配属される前後などのタイミングで、職場の同僚・上司を対象として、障害についての基礎知識や、必要な配慮などを学ぶための研修などを実施することが重要です」としています。具体的には、府省の主催する啓発セミナーを地域の就労支援機関等の協力で開催することが考えられます。そのような機会には、障害のある職員が戦力となって活躍している職場の事例を映像で紹介したり、働いている本人や職場の担当者のメッセージを伝えると、具体的なイメージが持てて効果的です。

より早い段階から職場の不安を解消するには、アンケート等を通じて障害のあるスタッフに従事してもらいたい業務の選定を進めるなど、企画段階から現場の職員に関わってもらうと効果的です。その上で、当該業務を対象に職場実習を行い、現場の職員の目で適性を確認できた者を雇用するようにすれば、現場の職員も安心できるでしょう。

 

Q11 採用した者の職場適応に問題がある場合にどこに相談できるか。

 

障害の特性や配慮が必要な事項については、原則的には本人から説明してもらうのが望ましいと言えます。特別支援学校や障害者の就労支援機関等では、教育や訓練を通して自己認知を高める取り組みをしていますが、支援機関のサポートを受けていない者の場合は、自己理解が十分でなく、本人からの説明を聞くだけでは適切に対応できないことがあります。

就労支援機関等を利用せずハローワークの紹介で就職した者については、職場定着に懸念がある場合、ハローワーク等に配置された専門の支援者が業務遂行力やコミュニケーション能力の向上を図るなどの定着支援をフォローアップとして行うので、相談してみると良いでしょう。

 

Q12 既存の仕事で能力を発揮できない者のために新たな業務を切り出す方法はあるか。

 

障害のある職員にどのような仕事を割り当てるかにより、仕事の生産性は大きく影響を受けます。障害者枠で採用される職員の中には、他の職員の仕事をそのままでは引き継ぐことが難しい者も多く、業務の内容や範囲を変更する必要が生じることが少なくありません。このような場合には、仕事の量や種類を見直すほか、作業工程の一部を切り出し、複数の職員から同様の業務を抽出して再編する「業務の切り出し」が効果的なことがあります。

こうした業務の切り出しについては、「公務部門の障害者雇用マニュアル」の第6章第1節(2)にあるように、各部署に対してアンケートを実施し、職員の多くが本来業務とは別に実施している定型的な業務を集めて新たな業務として再構築すれば、職員の負担軽減にもなり、「働き方改革」にも資することになります。どのような業務を切り出せるか、どのように再編すれば良いかなどは、その職員をサポートする就労支援機関がある場合は、当該支援機関に職場を見てもらった上で、具体的にアドバイスしてもらうことが可能です。支援機関がいない職員の場合には、ハローワークに相談してみると良いでしょう。公務部門の職場定着については、ハローワークにもサポートする役割があります。

留意いただきたいのは、採用後に業務を切り出すよりも、予め仕事を切り出してから仕事に合う人材を募集する方が、格段効果的ということです。再編特定された業務の内容を明示した上で採用募集を行い、職場実習を通じて適性を確認すれば、後になってから苦労することも減るでしょう。

 

Q13 自分の本来業務に加えて障害のある職員のサポートまで手が回らない。

 

障害のある職員が安定して適切に業務を実施できている場合は、職場適応支援者のサポートもあまり必要ないと思われますが、このような場合でも、業務を覚えて慣れるまでの期間は、頻繁で細かなサポートを必要とすることがあります。また、仕事の内容が変わったり、周囲の環境が変わったりした場合にも、改めて頻繁なサポートが必要となる場合があります。

こうしたことを通常の業務の合間に行うことは、かなり負担が大きいと言えます。物理的なバリアフリー環境さえ整えれば適切に仕事ができる者は、障害者枠で採用される職員の一部に過ぎません。精神障害や発達障害といった目に見えない障害の場合は、ハード面よりもソフト面の対策が必要なため、現場の職員が片手間にサポートする体制だと無理が生じる可能性があります。現場の負担を軽減するには、専任の担当者を総務部門等に配置して、各職場を巡回して障害のある職員と上司等の双方からヒアリングを行い、必要なサポートを行う体制を作る必要があります。手厚いサポートが必要な職員が複数いる職場では、専任の支援者を配置した上で特定の部門に集中して職員を配置する体制も考えられます。

 

Q14 障害のある職員を各職場に分散配置する方法と特定部門に集中配置する方法をどう使い分ければ良いのか。

 

公務部門で採用された障害のある職員の配置について、「公務部門の障害者雇用マニュアル」p74,p88〜89では2つの方法を示しています。本人の能力・適性に応じて複数の部署に分散して配置する「分散配置」と、特定の職務を選定して集めて職員を集中的に配置する「集中配置」です。

「分散配置」は、日常的な支援の必要性が少ない者を想定しており、ノーマライゼーションやインクルーシブの理念からは「分散配置」が望ましいと考えられます。一方で、「分散配置」には、①配置先の上司等が兼務で支援するため負担が大きい、②支援担当者が短期間で異動するためノウハウが蓄積されにくく就労が不安定になりやすい、③障害の特性と仕事のマッチングができていないと戦力にならない、④体調を崩して休むと仕事に穴が開いてしまう、⑤仕事が合わない場合は他職場への異動も必要となるといった課題があります。

これに対して「集中配置」は、日常的な支援が必要な者を想定していますが、①専従の支援体制が作れるので支援担当者の負担感が軽減できる、②支援担当者の長期的な配置が可能なのでノウハウを蓄積しやすい、③仕事の種類を多様にできるため障害の特性や体調に合わせて仕事を割り振れる、④体調を崩して休んでも他のメンバーが代替できる、⑤仕事が合わない場合はチーム内での調整が可能といったメリットがあると言われています。

実際にはほとんどの職場が「分散配置」であり、各職場の上司等が兼務で指導しています。支援がなくても戦力になれる者は「分散配置」が適切と考えられますが、「分散配置」だと能力が発揮できないが「集中配置」だと戦力になれる者がいることも事実です。二者択一ではなく、「分散配置」を基本としながらも、選択肢として「集中配置」の職場も用意しておくと、障害者雇用の受け入れ幅を広げられるとともに、職場への定着率が高まることが期待されます。

 

Q15 専任の支援者は配置した方が良いのか。

 

公務部門の障害者雇用の現場では、ほとんどの職場が「分散配置」であり、各職場の上司等が兼務で指導しています。この場合には、直属の上司や同じ課室内で本人の近くで働く同僚が支援担当者としての役割を担うことになります。

一方で、手厚い支援が必要な者には、専任の支援担当者が配置された「集中配置」という選択肢もあることから、「公務部門の障害者雇用マニュアル」p15では集中配置も視野に入れ、「各部局の人事担当課室や各府省の人事課等の内部に、職員(常勤・再任用・非常勤)をより専門性の高い個別支援者として育成して長期的に配置する方法」も考えられるとしています。

「集中配置」には専任の支援担当者が必要となり、マニュアルでは外部からの採用・委嘱についても触れていますが、公務部門のことを理解しない者が職場に入ることには現場の不安もあります。民間では職場や業務に精通した定年再雇用者を支援担当者に当てる例がありますが、公務部門でも非常勤の定年再任用者を支援担当者として活用すれば、こうした不安も解消できるでしょう。職員の希望と適性を踏まえ、定年退職前から支援スキルを習得する研修を受講させることで、適任者を確保していくのも現実的でしょう。

 

Q16 仕事以外のサポートまで行う必要はあるのか。

 

障害のある職員を採用する事業主には、過重な負担とならない範囲での「合理的配慮」の提供が義務付けられています。一般職の国家公務員については、国家公務員法第71条(能率の根本基準)等により、職員の能率の発揮及び促進、職員の健康の保持増進及び安全の確保を図ることとされていることから、国等にも合理的配慮の提供義務があるとされています。その上で、一般職の国家公務員については、人事院事務総局職員福祉局長・人材局長通知「職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針」(平成30年12月27日)が発出されています。

同指針の「基本的な考え方」では、合理的配慮について「障害者である職員について、障害者でない職員との均等な待遇の確保又は障害者である職員の能率の発揮及び増進の支障となっている事情を改善するため、障害者である職員の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない」ことが記載されています。

こうした合理的配慮が必要な範囲は、障害のある職員の業務との関係で決まるものであって、仕事以外の部分のサポートは原則として合理的配慮の対象外となります。もっとも、職場内での移動や勤務中にも利用するトイレなどの施設については、業務そのものではないものの、合理的配慮の対象になると解されます。

なお、合理的配慮として提供されている具体的な事例として、各府省の事例については「国の行政機関における障害者である職員等への合理的配慮の事例集」(令和2年1月:人事院職員福祉局・人材局)があり、地方公共団体等の事例については「公的機関における障害者への合理的配慮事例集【第四版】」があるので、参考にすると良いでしょう。

 

Q17 モチベーションが低下している者にどう対応したら良いのか。

 

採用された障害者が職場に定着するためには、モチベーションの問題はとても重要です。モチベーションが低いと相談されるケースで多いのは、障害特性と仕事とのマッチングができていない場合です。計算が苦手な者に経理の仕事をさせたり、コミュニケーションが苦手な者に窓口や電話対応をさせたり、感覚過敏な者を騒々しい職場に配置したり、短期記憶が苦手な者に口頭だけで指示したりすれば、本人が能力を発揮できず、仕事へのモチベーションが低下するのは無理もないことです。一方で、障害者雇用枠で採用された職員に一律に軽微な作業を割り当てたことで、やる気を失わせている事例も一部には見られます。精神障害や発達障害のある者の中には、高いスキルを有する者もいるため、そうしたスキルを活かす機会が与えられないことは、モチベーションの低下につながります。障害の特性を踏まえた仕事を割り当て、障害特性を踏まえた指示をすることで、個人の能力が十分発揮できて周囲からも評価されれば、仕事のモチベーションも高まるでしょう。

このことに関連して、「公務部門における障害者雇用マニュアル【資料編】」の16に掲載されている内閣官房内閣人事局人事政策統括官の各府省庁等官房長等あて通知「障害者の雇用促進を担当する職員の人事評価について(依頼)」(令和元年9月6日閣人人第285号)を確認しておく必要があります。この通知の中では、障害のある職員の上司の評価を行う際には、障害のある職員の障害の種類、程度、特性等を把握して、これらを踏まえた職務の調整、指導を行うなど、障害を有する職員に対して配慮し、その能力が十分に引き出されるよう工夫していたか等の取組状況を考慮することが示されています。

モチベーションには、障害のある職員の働きぶりに対して適切な評価が行われているかどうかも影響します。内閣官房内閣人事局人事政策統括官通知「障害を有する職員の人事評価について(依頼)」(平成30年12月21日閣人人第285号)には、具体的な留意点が示されているので、参考にする必要があります。適切な評価を行った上で、非常勤職員の賃金単価を引き上げたり、常勤職員へのステップアップを認めるなど、頑張った者が処遇面でも報われるようにすることは、モチベーションを高める効果があります。

 

Q18 周囲から差別されているという訴えにどう対応すれば良いか。

 

これまで周囲から否定的な言われ方をしてきた経験があると、周囲の目に敏感になっていることがあります。指摘された状況が認められない場合でも、「思い過ごしではないか」と否定するのではなく、どういう場面で「周囲から差別されている」と感じるのか、面談で具体的に聞くことが大切です。本人がそう感じる理由に根拠があるのか本人と一緒に考える中で、周囲の対応で改善すべき点や本人の受け止め方の問題が把握できれば、それに応じた対応も検討できるでしょう。本人の受け止め方の問題については、外部の就労支援機関のサポートを受けている者の場合は、支援機関の側とも情報を共有して、支援機関からもアドバイスをしてもらうと効果的でしょう。

 

Q19 仕事が分からなくても聞きに来ない者にどう対応すれば良いのか。

 

仕事のミスを繰り返す背景には、仕事の内容が障害特性とミスマッチを生じていることも考えられます。作業工程を更に細分化したり、仕事の指示の方法を見直すことが必要かもしれません。口頭での指示だけだと十分理解できなくても、文書や図で示すと効果的な場合があります。仕事の正確さよりもスピードを優先している場合もあるので、最初はゆっくりで良いので正確に行うことが必要であるなど、何を基準に仕事が評価されるか適切に伝えておくことも大切です。

分からない時には「分からない」とはっきり伝えてもらえば良いのですが、コミュニケーションに障害のある者の場合、自分から伝えることが難しい場合があります。「分からない時は聞くように」と言われても、どの部分が分かっていないのか自分でも説明できなかったり、どのタイミングで聞けば良いのか分からなかったりして、聞きそびれてしまうこともあります。こうしたことを避けるには、指示内容が理解できているかどうか、復唱させるなどして確認する方法があります。また、1日の作業の中に定期的な面談時間を設けることで、相談するタイミングに悩まずに相談できる機会を作ることも効果的です。

以上のような配慮をしても、相談しないままにミスを繰り返す者に対しては、割り当てる業務を変更することも考える必要があるでしょう。

 

Q20 勤務が安定せず出社できない者にどう対応したら良いか。

 

ラッシュ時の通勤に困難がある場合や長時間勤務が難しい場合には、職場の制度の範囲内で、時差出勤や短時間勤務による対応をすることも考えられます。仕事の内容によっては、テレワークによる対応が可能な職場もあるでしょう。

出社できないという背景には、職場のストレスが問題になっている可能性もあるので、職場の面談や就労支援機関の面談を通じて、何か問題となっていることがないか丁寧に確認し、可能な対策を検討する必要があります。

こうした点に配慮しても、疾病の症状により勤務することができず、それが一時的なものではなく継続する場合は、事業所に雇用されて賃金を得て働くのが難しい状態とも考えられます。このような場合には、就労支援機関やハローワークとも相談して、いったん離職して状態が改善するのを待ってから、改めて就労支援機関等により一般事業所で働くための支援を受けることを勧めてもらうことも考えられます。

 

Q21 予想以上に働いて評価も高かった者が突然調子を崩したが、どのような原因が考えられるか。

 

障害の特性と仕事とのマッチングが上手くいけば、高い評価を受けることもありますが、頑張りすぎて調子を崩してしまうこともあるので、注意が必要です。

当初割り当てられた仕事が想定以上にできると、こんな仕事もできるのではないかと、仕事の量が増えたり、仕事のレベルが上がったりすることがあります。それに対して、本人も積極的に応えて成果を出していき、周りからの評価も高まり、上手く進んでいると安心していた矢先に、突然調子を崩してしまうことがあります。このような場合では、周囲からの期待に応えようとして、周りが想像する以上の努力をして、疲れ切ってしまったことが原因となっていることがあります。そこまでの状況にあることに気付いてあげられず、どうしようもない状況になってから顕在化することになります。こうならないためには、上手くいっていると思われる時期にも、見守りとともに定期的な面談を行い、無理が生じていないか常に把握しておくことが必要です。

 

Q22 面談で不調の要因を把握したいが、面談自体が負担になると言われて対応できない。

 

障害の特性を踏まえた合理的配慮をしていくには、定期的な面談を通じて、何か問題が生じていないか早めに把握することが必要ですが、発達障害のある人の中には、面談での口頭のやりとりが想像以上に負担になる人もいます。口頭のコミュニケーションが苦手な者でも、文書でのやりとりは比較的うまくできる場合もあります。口頭での面談という形にこだわらず、毎日の状況を日誌に記載して提出してもらうことで、口頭でのやりとりでは気づかない気持ちを知ることもできます。精神障害者や発達障害者などでは、その日の気分のような主観的なことも日誌に記載してもらうと、調子を崩す予兆も把握しやすくなり、早めに対策を講じることができます。

紙ベースの日報を発展させたものとして、WEBを活用した日報システムも実用化されていて、厚生労働省作成の「国の機関の障害者雇用の事例集」では内閣官房人事局によるWEB日報システムSPIS(エスピス)の活用事例が紹介されています。WEBを活用することで、全国に散在する出先機関で働く障害者の状況を本省の人事部門がリアルタイムで把握することも可能になります。こうした先進的な取り組みを活用することにより、現場の負担感を軽減していくことも検討してみると良いでしょう。

 

Q23 仕事が簡単過ぎると言われたが、難易度の高い仕事ができるとも思われない。

 

障害のある職員に担当させる業務として、定型的な軽作業等の単純業務が割り振られる場合があります。知的障害者や精神障害者の中には、定型的な単純業務を望む者も多いですが、逆にこうした業務だとモチベーションが下がってしまう者もいます。障害の種類が同じでも、個人ごとに特性は異なるので、一律的に考えることは適当ではなく、それぞれの障害特性や希望も踏まえて担当業務を検討する必要があります。一旦定めた担当業務についても、実際の仕事ぶりを見ながら適宜見直しをしていくことが必要です。

一方で、本人がより難易度の高い業務を希望しても、ミスが多い、必要なスキルが伴わない等の理由から、任せることが難しい場合があります。自己理解が乏しいために実力に見合わない業務にこだわる者に対しては、業務を行う上での必要条件を明確に示した上で、試験的に業務の一部を行わせてみて、どの程度できるかを本人と一緒に確認し、現状での課題を共有すると良いでしょう。本人が正しく自己理解できない場合は、就労支援機関等の協力を得ることも効果的です。

 

Q24 コミュニケーションの仕方がストレートで周囲から敬遠されている者に対し、どのように指導したら良いか。

 

障害のある職員の職場内でのコミュニケーションの仕方について、周囲の職員が違和感を感じることがあります。多少の違和感があっても、仕事そのものに影響がなければ、時間の経過とともに周囲が慣れることで問題が解決することもあります。しかしながら、本人の言動により職場の生産性が落ちるような場合は、職場の秩序として一定のコミュニケーションルールを示す必要があります。この場合、どのような表現が周囲の職員に嫌な思いをさせるか、できるだけ具体的に伝える必要があります。使うことが適当でない言葉や表現については、その理由を含めて説明するとともに、そのことを文書化していつでも自分で再確認できるようにしておくと良いでしょう。その上で、定期的な面談の機会を通じて、周囲のコメントも含めて振り返りを行うと効果的でしょう。

 

Q25 障害のある職員が受診している医療機関と連携するにはどうすれば良いか。

 

障害の原因となる疾病の治療が継続している者の場合、勤務状態が疾病の症状に影響したり、逆に疾病の状態が勤務に影響したりすることがあります。精神障害者の場合には、服薬中で通院を継続している者も多く、働くことが症状に影響することもあるため、特に主治医との連携が必要とされています。

事業主は職員に対する安全配慮義務を負っているため、安全配慮のために必要な情報を得る必要があります。病気や怪我などで業務制限が必要な者については、本人から提出される主治医の意見書を踏まえて、業務内容が検討されますが、本人の了解が得られる場合には、医療機関の受診に同行して主治医から直接話を聞くことも可能です。このほか、主治医に情報提供を依頼する文書を本人から主治医に提出してもらう方法もあります。その際には、医療機関の定める意見書作成料を負担することになります。

 

Q26 支援担当者の異動時に不調になるのを防ぐ方法はあるか。

 

支援担当者の支援を受けている職員が、支援担当者の異動後に調子を崩してしまうことがあります。このタイミングで調子が悪くなる主たる原因は、職場の側にあると考えて良いでしょう。

安定的な支援を継続するには、前任の支援担当者から後任に適切な引き継ぎを行うことが必要です。適切な引き継ぎのためには、支援対象者の特性や配慮について、前任者がきちんと整理して情報を伝える必要があります。その際に参考としたいのが「就労パスポート」です。「就労パスポート」は、障害のある者が働く上での自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮などを支援機関とともに整理し、職場や支援機関と必要な支援について話し合うために活用できる情報ツールです。就職段階で作成されるだけではなく、就職後にも職場の上司・同僚と内容を共有することで、本人や職場の側で活用することが期待されています。「就労パスポート」の作成・改訂には、就労支援機関も関わることが望ましいとされています。日頃から就労支援機関のサポートを受けながら、仕事や職場の状況も踏まえて「就労パスポート」を最新の状態にしておけば、支援担当者の異動時にも安心して情報を引き継ぐぎことができます。

こうした情報の引き継ぎと合わせて、後任者には速やかに職場適応支援者養成研修等の研修を通じてもらい、支援スキルを身につけることが望まれます。こうしたことは、支援担当者異動に際してのルールとして、障害者活躍推進計画にも明記しておくと良いでしょう。

 

 

○平成30年度障害者雇用実態調査の結果(令和元年6月25日)

厚生労働省では、民営事業所における障害者の雇用の実態を把握し、今後の障害者の雇用施策の検討や立案に役立てることを目的に、5年ごとに「障害者雇用実態調査」を実施しています。平成30(2018)年6月に実施された調査結果について、令和元年6月25日に「平成30年度障害者雇用実態調査結果」が厚生労働省から発表されました。
調査は、常用労働者5人以上を雇用する民営事業所のうち、無作為に抽出した約9,200事業所が対象となっており、回収数は、6,181事業所(回収率67.2%)でした。

過去の調査では、複数の種類の障害がある者については、いずれかの障害に寄せて計上していましたが、今回の調査ではそれぞれの障害に重複して計上しています。また、発達障害の扱いについても、見直しがされています。前回調査では、発達障害者のうち精神保健福祉手帳を有する者が精神障害者として計上されていましたが、今回の調査では精神障害保健福祉手帳を有しない者でも精神科医の診断で発達障害が確認された者は調査対象としています。このため、発達障害者についても、精神障害との重複障害の有無に関わらず、雇用の実態が把握できることになりました。

「平成30年度障害者雇用実態調査結果の主なポイント」

「平成30年度障害者雇用実態調査結果」

○国の行政機関の障害者の採用・定着状況等特別調査の集計結果(令和元年8月28日)

厚生労働省は「国の行政機関の障害者の採用・定着状況等特別調査」の集計結果を取りまとめ、令和元年8月28日に公表しました。この集計結果においては、平成30年10月23日から令和元年6月1日までに国の行政機関に採用された障害者について、令和元年6月1日現在の定着状況等が明らかにされています。

この間の採用者は、常勤・非常勤合わせて3,131人(実数)で、その7割以上が非常勤職員としての採用でした。3,131人のうち161人(非常勤職員が159人)が既に離職していました。定着率は94.9%となり、この数字だけを見ると安定して働けているようにも見えますが、実際の雇用現場からは、障害に関する自己理解の乏しい者など職業準備性の低い者が多く雇用されている、仕事を任せられず職場の重荷となっている、どう指導して良いか分からないなど、切実な状況も聞こえてきます。これには、採用に当たって職場実習を行うケースがほとんどないことも関係していると思われます。正規職員である常勤職員の採用には職場実習を組み込むことは難しいですが、弾力的な採用手続が可能な非常勤職員についても職場実習が行われていない実態からは、職場実習を通じて障害特性の確認や仕事との適性を確認するという障害者雇用の常識が、身体障害者以外の雇用実績が少ない公務部門では未だ理解されていない状況にあることが伺われます。

障害特性と仕事とのマッチングがされず、職場で戦力になることができないまま、任期切れまでいるだけという状態は、本人の仕事へのモチベーションが持てないだけでなく、周りの職員にも負担が大きいことから、早急な改善が求められるところです。

「国の行政機関の障害者の採用・定着状況等特別調査の集計結果」

○令和3年度障害者雇用施策関係予算案のポイント

令和3年度予算政府案が令和元年12月21日に閣議決定され、厚生労働省は障害者雇用施策関係予算案を「障害者に対する就労支援の推進~令和3年度障害者雇用施策関係予算案のポイント~」に取りまとめ、公表しました。

内容的には

1 中小企業をはじめとした障害者の雇入れ支援等の強化

2 精神障害者、発達障害者、難病患者等の多様な障害特性に対応した就労支援の強化

3 障害者の雇用を促進するためのテレワークの推進

4 公務部門における障害者の雇用促進・定着支援の推進

を主要な柱として、障害者に対する就労支援及び定着支援の充実・強化を図ることとしています。

(資料)障害者に対する就労支援の推進~令和3年度障害者雇用施策関係予算案のポイント〜

 

○令和2年度障害者雇用施策関係予算案のポイント(令和元年12月20日)

令和2年度予算政府案が令和元年12月20日に閣議決定され、厚生労働省は障害者雇用施策関係予算案を「障害者に対する就労支援の推進~令和2年度障害者雇用施策関係予算案のポイント~」に取りまとめ、公表しました。

令和2年度予算案においては、① 公務部門における障害者の雇用促進・定着支援の強化、② 中小企業をはじめとした障害者の雇入れ支援等の強化、③ 精神障害者・発達障害者・難病患者等の多様な特性に対応した就労支援の強化、を主要な柱として、障害者に対する就労支援及び定着支援の充実・強化を図ることとしています。

(資料)「障害者に対する就労支援の推進~令和2年度障害者雇用施策関係予算案のポイント~」

 

 

○「令和2年障害者雇用状況の集計結果」に見る公務部門の障害者の在籍状況

毎年6月1日時点の民間事業所及び公務部門の障害者雇用の状況については、「障害者雇用状況集計結果」として取りまとめられており、令和2年の集計結果は令和3年1月15日に厚生労働省から発表されました。

○令和2年障害者雇用状況の集計結果

6月1日時点での在職者の調査は、事業所ごとの実雇用率を把握するために行われることから、障害者の在職者数は重度障害者をダブルカウントしていますが、ここではダブルカウントする前の「実人数」で見てみます。

上段は令和元年、下段は令和2年の在籍者数で、( )は在職障害者に占める割合を示しています。

国の機関

身体障害者   知的障害者   精神障害者      計

3,511人(53.3)     241人(3.9)    2,485人(39.8)    6,237人

4,159人(56.3)  255人(3.3)   3,393人(43.5)     7,807人

都道府県の機関

身体障害者    知的障害者     精神障害者    計

5,880人(85.9)     214人(3.1)      753人(11.0)     6,847人

6,063人(81.2)     257人(3.4)     1,145人(15.3)   7,465人

都道府県教育委員会

身体障害者    知的障害者   精神障害者     計

7,093人(81.1)     388人(4.4)    1,265人(14.5)    8,746人

7,486人(78.7)     539人(5.7)    1,943人(20.4)   9,510人

市町村の機関

身体障害者    知的障害者     精神障害者     計

18,315人(83.3)   974人(4.4)   2,692人(12.2)  21,981人

19,110人(79.5)  1,146人(4.8)  3,780人(15.7)  24,036人

市町村教育委員会

身体障害者    知的障害者   精神障害者     計

1,074人(80.4)      97人(7.3)     165人(12.4)     1,336人

1,064人(74.8)     107人(7.5)     251人(17.7)     1,422人

このデータから分かることをまとめてみましょう。

(1)いずれの機関でも身体障害者の割合が減少し、精神障害者の割合が増加しています。法定雇用率を満たすために新たに障害者が雇用される際に、精神障害者が多く雇用されたことが影響していると思われます。

(2)都道府県・市町村の機関や教育委員会では身体障害者の割合が8割程度なのに対し、国の機関では身体障害者の割合が5割程度で精神障害者の割合が4割程度と高くなっています。

(3)いずれの機関でも知的障害者の割合が1割未満となっており、特に国の機関と都道府県の機関では3%程度と低くなっています。労務系の仕事がある市町村の機関や教育委員会とは異なり、労務系の仕事が少ないこともあり、知的障害者の雇用が念頭に置かれてこなかったことも影響していると思われます。

(4)都道府県・市町村の機関及び教育委員会では知的障害者の在職者数も雇用割合も増加しているのに対し、国の機関では知的障害者の在職者数は微増ですが、割合は減少しています。国の機関では知的障害者の職域が開発されておらず、また、採用に当たり職場実習が行われることもほとんどなかったことから、知的障害者の雇用に対して消極的な傾向があります。このことは、知的障害者の職域開発、職場実習、雇用管理のノウハウの普及によって、国の機関の障害者雇用に伸び代があることを示しています。

 

○「令和元年 障害者雇用状況の集計結果」に見る公立病院の雇用状況

厚生労働省は、令和元年12月25日付けで「令和元年 障害者雇用状況の集計結果」を公表しました。

(資料)「令和元年 障害者雇用状況の集計結果」

このうち、医療機関の運営を主とする法人の状況を見ると、国レベルの機関では国立がん研究センター(2.72%)、国立国際医療研究センター(2.69%)、国立循環器病研究センター(2.61%)、国立成育医療研究センター(2.58%)、国立精神・神経医療研究センター(2.57%)、国立長寿医療研究センター(2.58%)、国立病院機構(2.66%)、地域医療機能推進機構(2.64%)、労働者健康安全機構(2.86%)となり、いずれも法定雇用率(2.5%)を上回る結果でした。これに対して、医科系の国立大学では旭川医科大学(2.5%)、東京医科歯科大学(2.28%)、浜松医科大学(2.31%)、滋賀医科大学(2.59%)と法定雇用率を下回る大学が2大学ありましたが、東京医科歯科大学は12月3日時点、浜松医科大学は10月1日時点で不足数はゼロになっています。

一方、都道府県の病院局では、北海道道立病院局(1.52%)、青森県病院局(1.50%)、岩手県病院局(2.55%)、福島県病院局1.57%)、茨城県病院局(2.83%)、群馬県病院局(2.56%)、埼玉県病院局(2.77%)、千葉県病院局(2.84%)、新潟県病院局(3.39%)、静岡県がんセンター局(2.73%)愛知県病院事業庁(2.78%)、三重県病院事業庁(3.38%)、兵庫県病院局(1.87%)、南和広域医療企業団(2.30%)、鳥取県病院局(2.52%)、島根県病院局(0.94%)、徳島県病院局(3.11%)、長崎県病院企業団(2.80%)、熊本県病院局(4.20%)、大分県病院局(3.11%)、宮崎県病院局(1.68%)、鹿児島県県立病院局(1.73%)、沖縄県病院事業局(0.66%)と昨年同様に法人によって大きな差があります。

昨年不足数の多かった病院局について本年の集計結果を見ると、沖縄県病院事業局(44.0人→41.0人)、兵庫県病院局(27.5人→24.0人)、島根県病院局(9.0人→8.0人)、鹿児島県県立病院局(9.0人→4.0人)、茨城県病院局(7.0人→0人)、北海道立病院局(6.0人→4.0人)、宮崎県病院局(6.0人→8.0人)となっています。不足数を解消した病院局がある一方で、大幅な不足数がある病院局で取り組みが進んでいない状況もあります。当ネットワークが提案するように、医療機関の「働き方改革」に資する障害者雇用という視点で、前向きに取り組まれることが期待されるところです。

○令和元年障害者雇用状況の集計結果(公務部門)

厚生労働省は、令和元年12月25日に民間企業や公的機関などにおける、令和元年の「障害者雇用状況」集計結果を取りまとめ、公表しました。障害者雇用促進法では、事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇うことを義務付けています。今回の集計結果は、同法に基づき、毎年6月1日現在の身体障害者、知的障害者、精神障害者の雇用状況について、障害者の雇用義務のある事業主などに報告を求め、それを集計したものです。

【公的機関】(法定雇用率2.5%、都道府県などの教育委員会は2.4%)

雇用障害者数はいずれも対前年で上回る。※( )は前年の値

・  国  :雇用障害者数 7,577.0人(3,902.5人)、実雇用率 2.31%(1.22%)
・都 道 府 県:雇用障害者数 9,033.0人(8,244.5人)、実雇用率 2.61%(2.44%)
・市 町   村:雇用障害者数 2万8,978.0人(2万7,145.5人)、実雇用率2.41%(2.38%)
・教育委員会:雇用障害者数 1万3,477.5人(1万2,607.5人)、実雇用率1.89%(1.90%)

【独立行政法人など】(法定雇用率2.5%)
雇用障害者数及び実雇用率のいずれも対前年で上回る。※( )は前年の値
・雇用障害者数 1万1,612.0人(1万1,010.0人)、実雇用率 2.63%(2.54%)

(資料)令和元年障害者雇用状況の集計結果

 

○「平成30年国の機関等における障害者雇用状況の集計結果」から見る公的医療部門の障害者雇用状況

厚生労働省は、平成30年12月25日付けで「平成30年 国の機関等における障害者雇用状況の集計結果」を公表しました。例年この時期に公表されるのは、6月1日現在の民間企業と国の機関等の雇用状況の数値ですが、今回は国の機関等の集計結果のみで、民間企業における雇用状況については「データ入力のための作業ツールの不具合により、平成31年3月末までに公表する予定」とのことです。

(資料)「平成30年 国の機関等における障害者雇用状況の集計結果」

昨年夏以来、公務部門における障害者雇用率の算定について不適切な問題が指摘され、平成29年6月1日現在の障害者雇用状況の数値が大幅に下方修正されたことから、今回新たに取りまとめられた平成30年6月1日の数字も同様に低いものとなっています。

このうち、医療機関の運営を主とする法人の状況を見ると、国レベルの機関では国立がん研究センター(2.63%)、国立国際医療研究センター(2.59%)、国立循環器病研究センター(2.65%)、国立成育医療研究センター(2.58%)、国立精神・神経医療研究センター(2.51%)、国立長寿医療研究センター(2.75%)、国立病院機構(2.49%)、地域医療機能推進機構(2.69%)、労働者健康安全機構(2.91%)となり、国立病院機構(不足数5名は既に解消)を除けば法定雇用率を上回る結果でした。これに対して、医科系の国立大学では旭川医科大学(2.27%)、東京医科歯科大学(2.38%)、浜松医科大学(2.42%)、滋賀医科大学(2.31%)といずれも法定雇用率を下回る結果でした。

一方、都道府県の病院局では、北海道立病院局(1.05%)、青森県病院局(2.61%)、岩手県病院局(2.53%)、福島県病院局(3.23%)、茨城県病院局(1.31%)、群馬県病院局(2.65%)、埼玉県病院局(2.57%)、千葉県病院局(2.32%)、新潟県病院局(3.19%)、静岡県がんセンター局(2.49%)愛知県病院事業庁(2.80%)、三重県病院事業庁(3.97%)、兵庫県病院局(1.79%)、南和広域医療企業団(1.97%)、鳥取県病院局(2.51%)、島根県病院局(0.58%)、徳島県病院局(3.14%)、長崎県病院企業団(2.53%)、熊本県病院局(1.53%)、大分県病院局(4.22%)、宮崎県病院局(1.43%)、鹿児島県県立病院局(0.60%)と法人によって大きな差があります。

特に不足数の多い沖縄県病院局(44.0人)、兵庫県病院局(27.5人)、島根県病院局(9.0人)、鹿児島県県立病院局(9.0人)、茨城県病院局(7人)、北海道立病院局(6.0人)、宮崎県病院局(6.0人)では、ジョブコーチを配置したチーム就労の体制を作ることが効果的と思われます。その意味では、地域の就労支援機関から積極的に働きかけを行うなど、地域での総合的かつ継続的なサポート体制の構築が期待されます。

 

 

東京大学大学院経済学研究科客員研究員の栗原房江さんから「聴覚障害をもつ医療従事者の会2020年(第3回)就労実態調査・研究」への協力依頼がありました。
調査・研究の目的は以下となります。
1)医療従事関連国家資格を有する聴覚障害者に関して,次の点について実態と課題を明らかにする
・就労状況(雇用形態や就労年数)
・就労における障壁
・相談支援環境
2)就労経験に基づく工夫や知恵を当事者間で共有し,支援者及び雇用者には合理的配慮や支援に活用可能な情報を提供する
3)相対的欠格事由撤廃や具体的な就労支援策を含む関係法規の施行に向けた政策提言につなげるための学術的な資料を作成する

更なる詳しい情報は、以下のサイトをご参照ください。
https://sites.google.com/jndhhmp.org/rsrch2020

こうした調査は他に行われておらず、医療機関での聴覚障害者の雇用機会を拡げることに役立つことから、少しでも多くの医療従事関連国家資格を有する聴覚障害者の方に参加いただき、内容の充実した調査となることが期待されます。医療従事関連国家資格を有する聴覚障害者が身近におられる方には、この記事をご紹介いただきますようお願いします。

ご協力いただける場合のご連絡先

なお、栗原さんの活動については、以下を参照ください。

(参考)http://www.reddy.e.u-tokyo.ac.jp/act/essay_serial/kurihara.html

一般社団法人ダイバーシティ就労支援機構は、日本財団からダイバーシティ就労支援研究プラットフォームを委託され事業を進めており、働きづらさを抱える方々に向けて保護就労から一般就労に至る多様な就労をサポートする活動を展開しています。活動の一環として、ホームページ上で「明るい話題」のコーナーを設けており、その記念すべき第1回に「医療機関の障害者雇用ネットワーク」の記事が掲載されました。

明るい話題「医療機関は仕事の宝庫です」