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当ネットワークメンバーである岡山弘美さんが障害者雇用推進マネージャーを務めている奈良県立医科大学附属病院での障害者雇用の取り組みが、NHK奈良放送局の9月13日の番組で紹介されました。同大学では、現在、知的障害や精神障害のあるスタッフが32人ほど雇用されています。この番組はNHK奈良放送局のホームページで2週間ほど閲覧できるそうですが、病院内で障害のあるスタッフが実際に働く姿を観れる機会ですので、是非期間内に以下からご覧ください。

2018年9月13日(木) 放送 「 “病院にも障害者が働く場を”病院の模索」(NHK奈良放送局)

 

平成30年度の愛媛県障がい者一般就労移行等促進事業として、南予地域就労支援ネットワーク連絡会と愛媛県の共催により西予市で開催された「精神障がい者就業・生活支援フォーラム」において、「精神科医療機関と連携した就労支援のネットワークづくり」と題した講演を行うとともに、ディスカッションの司会を行いました。講演の冒頭では、行政機関での障害者雇用の水増し問題について、拙速な数合わせ的な雇用を行うことは、働く障害者にも雇用する行政機関にも将来に大きな「負の遺産」を残しかねないことを指摘した上で、業務の切り出しや職場実習を通じて適切なマッチングを行い、本人の能力を発揮できる職場に受け入れることが大切であること、中央官庁の問題でも国の出先機関は全国にあるので、各地の就労支援機関に積極的に関わっていただきたいことをお願いしました。講演では「障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書の提案と精神障害者の雇用実態」「20時間未満の超短時間雇用という働き方」「医療機関と就労支援機関の連携と地域のネットワークづくり」「企業の抱える課題への対応 うつ病のリワークと自閉症スペクトラム」「健康づくりや障害者雇用に前向きな中小企業の認証」について、2時間ほどお話しました。

午後は、ハローワーク松山上席職業指導官の宮本吉康さん、宇和島病院医師の渡部亜矢子さん、株式会社グロップサンセリテ(グロップの特例子会社)統括部長の高田正吾さんからの事例報告があり、その後、障がい者就業・生活支援センターエール(新居浜市)の村尾勉さんも加えて、ディスカッションを行いました。フォーラムの参加者は60名ほどで、医療機関からは宇和島病院を含む県内5病院からの参加がありました。

(講演資料)

第1部(1) 第1部(2) 第2部  第3部(1) 第3部(2) 第4部  第5部

 

 

 

 

厚生労働省は、平成30年8月31日に平成31年度概算要求を財務省に提出しましたが、その中の障害者雇用施策関係の要求内容を取りまとめた資料も公表されています。

平成31年度予算概算要求においては、

① 障害者の雇用の質の向上を図るための就労環境の整備等の推進

② 法定雇用率の引き上げに対応した、障害者雇用ゼロ企業を含む中小企業に対する支援の推進

③ 精神障害者、発達障害者、難病患者等の多様な障害特性に対応した就労支援の強化

を主要な柱として、障害者に対する就労支援及び定着支援の充実・強化を図ることとしています。概算要求総額は31,580百万円です。

(資料)平成31年度障害者雇用施策関係概算要求のポイント

愛仁会リハビリテーション病院(大阪府高槻市)のリハビリテーション科に勤務されている藤井優子医師は、先天性の両下肢麻痺のため両下肢に長下肢装具を装着されています。この障害があるなかで、医師を志し、その夢を実現し、現在は2人のお子さんの母親としても忙しくも充実した毎日を送られています。藤井先生のお話からは、障害があっても夢を諦めずに挑戦することの大切さを感じさせられます。

 

 

 

(インタビュー)

Q 最初に、ご自身の障害についてお聞かせください。

 

藤井 先天性の両下肢の麻痺で、長下肢装具という太ももから下全体の装具を両足ともに着けていて、それがあれば歩けますが、外してしまうと全く立てない状態です。足には先天性の変形もあります。

 

Q そうした状態だと、子供の頃から色々と苦労されてきたと思いますが、学校にはどのように通われていたのですか。

 

藤井 保育園の頃に少しだけリハビリをしていて、バランスを取るのが上手かったようで、装具を着ければ杖をつかずに歩けるようになっていました。小学校からすべて普通学級で、体育や遠足もできる範囲で参加していましたし、他はほぼみんなと一緒に授業を受けていました。学校側にも色々と配慮いただいて、手すりをつけたり、階段の昇り降りが少ないように、教室も下の階にしてもらったりということがありました。

 

Q この病院に通うのに、通勤はどうされているのですか。

 

藤井 今は病院の隣のマンションに引っ越したので、通勤は特に問題はありません。以前別のところに住んでいた時は、病院まで手動式の車で通勤していました。

 

Q 電車通勤だと、どうしても階段の上り降りなどがあって、通勤するだけで疲れてしまいますよね。

 

藤井 そうですね。社会人になってからは、車を使うことが増えました。

 

Q ところで、医師を志されたのはいつ頃ですか。

 

藤井 具体的に医師になりたいと思ったのは、中学生頃だったと思います。

 

Q 何かきっかけがあったのですか。

 

藤井 もともと主治医の小児整形の先生が女医さんだったこともあり、格好いいなという漠然とした憧れがありました。中学生の時に阪神・淡路大震災があり、自分の将来のことを考えました。中学2年生の時に、少年の主張大会という作文コンクールがあって、担任の先生から自分のことを書いてみないかと言われ、自分の障害のこととか、周りの友人に凄く助けられて今まで生活を送れてきたことを振り返ってみて、将来何になりたいかということも書いたんです。今まで助けてもらった分、今度は人の役に立つような仕事がしたいということで、医師になりたいと書いたんです。多分そのことが、医師を目指そうというきっかけになったと思います。

 

Q 主治医の素敵な先生が小児の整形外科だったので、やはり整形外科がイメージとしてはあったのでしょうか。

 

藤井 ただ、自分は外科系はちょっと難しいのじゃないかという気持ちはあって、当時は子供の小児科とか震災があって心のケアが大事ということもあったので精神科とか、そういった方面にも興味はありました。

 

Q 医師を志して、次に大学を受験するという具体的な行動に移るとき、心配なことはありませんでしたか。

 

藤井 実際に障害を持って働いている医師がいるのかも分からなかったので、そこは不安でした。今のようにホームページ等で情報が得られていれば、そういう人もいるんだということで、挑戦しようという勇気を持てたと思いますが。医師は実習もハードだと聞いていましたし、勤めてからも体力的な面で大丈夫かなあ、という不安はありました。

 

Q 障害がありながら働いている医師がいることを知る機会は、大学に入るまではなかったということですか。

 

藤井 そうですね。

 

Q 大学に入ってからは、実習とかも大変だったでしょうね。大学には過去にそういう例はなかったのですか。

 

藤井 どうでしょうか。あまり聞いたことはなかったです。

 

Q 今は大学に障害学生支援室のようなものがありますが、藤井さんの学生の頃はまだなかったのでしょうか。

 

藤井 なかったと思います。ただ入試のときには、私の場合は特に配慮してもらうこともなかったので、相談することもありませんでした。

 

Q 大学に入ってからは、実習系のものでは苦労されましたか。

 

藤井 そうですね。その都度、担当の先生に相談しながらということでした。

 

Q 大学としても、道を拓きながらだったのでしょうね。

 

藤井 そうだったかもしれません。

 

Q 大学は6年で、そのあと初期研修が2年ですが、どちらの病院でしたか。

 

藤井 大学は大阪市立大学を出て、初期研修は済生会中津病院でした。6年生の実習の時に済生会中津病院に行く機会があり、病院の様子も見ていたので、そこで初期研修を受けることになりました。

 

Q リハビリテーション科に進もうと思ったのは、いつですか。

 

藤井 大学に入ってからです。それまではリハビリテーション科の医師がいること自体も知りませんでした。関西にはリハビリテーション科の講座もあまりないのですが、大学に入ってからリハビリテーション科の講義があり、装具の勉強もありました。自分が着けているのに自分の装具のこともあまり知らないのだなあとか、障害者医療に携わる医師という道もあるのかということで、興味を持ちました。済生会中津病院にはリハビリテーション科があって、そこで勉強してから将来を決めたいと思って、志望しました。

 

Q 初期研修の後は、どうされたのですか。

 

藤井 初期研修2年目の時に、リハビリテーション科で実習をさせていただきました。研修医でリハビリテーション科を回る人は少なくて、私が初めてだったそうです。そこで進路をリハビリテーション科に決め、先生の紹介で大阪医科大学に新しくリハビリテーション科の講座ができたので、そちらで後期研修を受けることになりました。

 

Q こちらの病院に移られたのは、いつ頃ですか。

 

藤井 後期研修の1年目は大阪医科大学の付属病院で、その後2年間は大阪府立の急性期医療センターのリハビリテーション科に行きました。その当時、こちらの病院は古い建物でエレベーターも1台しかなかったのですが、建て替え後の2012年からこちらに移りました。

 

Q 建て替え後ですから、環境的には大変恵まれていましたね。

 

藤井 はい、本当にハード面では全く困ることがありません。

 

Q 今、医師として働いている上で、ご自身で何か工夫されている点はありますか。移動以外には、それほど苦労されていることはないでしょうか。

 

藤井 そうですね。私はリハビリテーション科の医師ではありますが、実際に体を触ってリハビリを行うのは、理学療法士だったり、作業療法士だったり、言語聴覚士なので、チームをまとめるような役割になるんですね。そのほかにも、嚥下内視鏡といって喉を見る内視鏡の検査とか、注射などの手技はあるので、姿勢を取るのに難しいときには、ちょっとベッドの高さを変えてもらったりとか、スタッフの皆さんに助けてもらいながらというところです。

 

Q そうした際には椅子に座ってするのですか。

 

藤井 椅子に座ってする時もありますし、立ってする時もありますが、一応手技もできています。

 

Q 立っているのが大変な時には座ることもあるし、過重な負担がかからなければ立って作業することもできるということですね。

 

藤井 長時間でなければ可能です。初期研修の時にも、外科系の研修の際には手術に入ることもありました。長時間立っているのはしんどいので、当時は若くて体力もあったので「3時間は立っていることができます」と指導の先生にはお伝えしました。3時間限定で手術に入らせていただき、3時間経ったらちょっと休憩させてもらうことで、研修させてもらいました。

 

Q リハビリテーション科でもいろいろな分野があるようですが、この病院ではどのような分野をされているのですか。

 

藤井 この病院には、回復期リハビリテーション病棟と障害者病棟があります。基本的には、脳卒中の患者さんとか、脊髄損傷の患者さん、大腿骨骨折されて手術後の患者さんとか、そういった患者さんを中心に、急性期治療が終わった後の回復期のリハビリを入院で行っています。

 

Q そうした患者さんに対してチームで行う医療の治療計画を示したり、検査や手技をやられているのですね。

 

藤井 合併症の管理などもやっています。

 

Q リハビリテーション科というのは、比較的移動に困難があってもやりやすい診療科なのでしょうか。

 

藤井 そうだと思います。

 

Q 藤井さんの身体の動作のことを考えた時に、比較的やりやすい診療科には、他にどのような診療科がありますか。例えば、内科はどうでしょうか。

 

藤井 内科も、循環器だとカテーテル検査とか手術とかがありますが、内科も分野によってできることはたくさんあると思います。

 

Q その他、先ほど言われた精神科でしょうか。逆に、外科系はちょっと難しいですかね。

 

藤井 やはり、長時間の手術となると難しいと思います。

 

Q 今は、医師として勤務する上で困っていることは、それほどないでしょうか。

 

藤井 今はそれほど感じずに、仕事ができています。

 

Q 周りの方に何か配慮いただいていることはありますか。

 

藤井 リハビリテーション科は、あまり患者さんの急変はないのですが、何か病棟で急変が起きたときに、階段を降りて駆けつけるのは難しいので、そうした場合は他の先生にお願いしなければいけないとは思います。回診もありますが、私はエレベーターを使って移動させてもらっていますし、それ以外はそれほど困難を感じずに働けています。

 

Q これまでのお話は病院の中でのことですが、医師として活動する上では学会で発表したりすることもあるかと思います。少し広がりを持って考えたときに、もう少しこうなれば良いと思われていることはありますか。

 

藤井 学会発表で登壇するのに階段を昇らなければならない時は、ちょっと介助してもらわなければならないことがあります。横に壁があったり、手すりがあれば、ゆっくりでも自分で昇れるのですが、何もない所に段だけあることが、これまでも何回かありました。同じ病院から誰か一緒に行っていれば手伝ってもらえますが、誰もいない場合は学会のスタッフに介助をその場でお願いしなければなりません。会場の状況が事前には分からないので、その時にその場にいる方に介助をお願いすることになってしまいます。その辺がバリアフリーになったら嬉しいなというのはありますね。

 

Q あらかじめこちらから伝えて、何かしておいてもらうのは、ハードルが高いのでしょうか。

 

藤井 そうですね。

 

Q 向こうから聞いてきてくれれば、答えやすいのでしょうね。

 

藤井 事前にお伝えしたらよかったのでしょうが、そこまでなかなか思いが至らなかったところがあります。

 

Q 今でもそういう状況は変わっていませんよね。

 

藤井 そうですね。事前に聞いていただければ、こういうことですと具体的にお伝えできるかと思います。

 

Q 他に、病院の中でも外でも、こうなったら良いと思うことはありますか。

 

藤井 私自身、医師になってからは、頸損でも働いている医師がいるなど、障害があっても働いている方が結構いることが分かったのですが、そういった方の話をもっと聞いてみたいですね。

 

Q 医師で障害のある方に出会ったり、話をされるような機会はありますか。他病院のリハビリテーション科には、車椅子を使われている医師もおられるようですが、学会などでお見かけすることはありますか。

 

藤井 学会でお見かけすることはありますが、人もたくさんいるので、会場で話しかけてお話しするのは難しいです。もっと色々な方のお話を読むなり、直接お話しできれば良いとは思います。

 

Q 当ネットワークには、障害のある医師の方も参加いただいていますが、脳卒中などの中途障害の方では、医師として働き続ける上での情報を知りたいようです。障害のある当事者の情報なら医師でない人からでも聞けますし、障害の種別ごとの当事者のネットワークもありますが、そういうものとは別に、医療職という同じ立場の方の話が聞きたいというニーズもあるようです。

 

藤井 私自身は、入学前に知ることができたら凄く良かったなと思います。医師が実際にどういう仕事をしているのか、私の身体でやっていけるのかというところが、全くわからなかったので。精神科なら立ったままということはなさそうだし、できそうかなとか、そういうイメージでしか分からなかったので。実際に車椅子でも診療されている医師がおられたら、どういう工夫をされているのかとか、そういったことを知ることができたら、大丈夫だなという安心材料にはなったと思います。

 

Q 相当不安があったということですね。その不安のために、医師になるのを諦めてる人もいるかもしれない、ということですか。

 

藤井 そうだと思います。

 

Q 医師に限らず、いろいろな職業で活躍されている方がいることが分かれば、将来の職業の選択肢として意識できるでしょうね。藤井さんがこうやって働いているということを、どういう世代に伝えたいですか。

 

藤井 高校生ぐらいですかね。進路を考える時期だと思うので。

 

Q とても大事なことですね。

 

藤井 医療業界も男性中心の社会ということで、当時はまだ女医さんも少なかったので、障害もあって更に女性でやっていけるのかという不安はありました。ただ、医師になってから分かったことですが、医師免許があれば働くところは、病院以外にも企業とか行政とかもあって、凄く幅広いのですね。リハビリ科も、私のように最初からリハビリ科を選ぶ人はまだ少なくて、内科や整形外科や脳外科から転科して来られる方も結構おられます。医師になってからも道を変えるのは十分できるということも、医師になってから分かりました。

 

Q 医師という仕事は、他の仕事に比べてかなり勉強しなければならないので、大変だとは思いますが。

 

藤井 リハビリテーション科も扱う疾患がかなり幅広いので、勉強は大変だとは思います。

 

Q 実際に働かれてみて、リハビリテーション科はどうでした、

 

藤井 そうですね、やりがいはとてもありますね。手術などに比べて、自分がこうして良くなったということはなかなかないところですが、総合して治療することで患者さんが社会に復帰して生活していけるようになる、良くなられて退院されて、仕事にも復帰されたという話を聞くと、凄くやりがいを感じますね。

 

Q 藤井さんが、例えばタイムマシンに乗って高校生の時の藤井さんに会って、医師になれるのかどうか悩んでいるのを見たとしら、その時の自分にどういう言葉をかけてあげたいですか。

 

藤井 「諦めなくても、自分の進みたい道に挑戦したらいいよ、大丈夫だよ」ということですかね。私の場合は、高校生の時は成績自体が足りていなくて、医学部は難しいよと先生にも言われていたんですけれど、やっぱり挑戦しないと後悔するなと思って。一年浪人はしたんですが、予備校に通って、もう一度挑戦しようと思って勉強しました。それ以前に、私には無理じゃないかと諦めてしまう人がいるとすれば、「諦めないで挑戦してみたら。工夫次第でできることもあるから」と。もし、医師になりたいと思ってる方がいれば、その道に向かって進んでいただきたいなと思います。

 

Q そういう意味で、若い人から相談に乗ってくれますかと言われたら、どうされますか。

 

藤井 もうそれは是非。一人一人障害も違うので、私だけの経験では参考になるものもならないものもあるとは思いますが、お話は是非。障害を持っていても、医療現場で働く方がどんどん増えてくれれば、嬉しいなと思います。ヤマト福祉財団の奨学金をもらっている学生さんの中にも、医学部の方が増えてきているとお聞きして、とても嬉しく感じました。

 

Q ヤマト福祉財団の奨学生で医学部の学生というのは、藤井さんが第1号だったと聞いています。

 

藤井 当時は、財団の方も医学部が6年制だとご存知なかったようで、色々とご苦労をおかけしましたが、本当に有難かったです。

 

Q 後に続いた方々とお話しされる機会はないのですか。

 

藤井 直接はないですね。財団のニュースで拝見することがありましたけれども。

 

Q 財団ニュースで藤井さんのことが紹介されたので、こういう道もあるんだと思ってもらえたでしょうね。

 

藤井 思ってもらえたら、凄く嬉しいですね。

 

Q 医療の道に進む人が増えてきて、みんなで情報交換して、さらに若い人たちに「諦めなくていいんだよ、みんなが色々工夫してきたこともあるよ」というメッセージを伝えていければいいですね。

 

藤井 医療って1人ですることではなく、本当にチームでいろんなスタッフが関わってやっているので、自分のできないところはカバーしてもらったり、「こういうところはできます、こういうところはちょっと難しいです」ということを伝えれば、チームでやっていくことが十分できると思います。

 

Q そうですね。1人で全てをやるわけではないですよね。ブラックジャックのようなスーパーマンが1人で全部やるのではなく、チームでやっている、そういうことも意外と知られていないかもしれませんね。

今日は、とても良いお話を伺うことができました。最後に、藤井さん自身の夢を語っていただければと思います。

 

藤井 リハビリテーション科の専門医は取得したのですが、リハビリ科もかなり幅広いので、その中でどういう分野を専門にしていくかを考えています。うちの病院は脊髄損傷の患者さんが多いので、脊髄損傷の勉強を中心にしていますが、さらに専門性を持って診療をしていきたいことと、できるだけ長く働いていけたらと思っています。ただ、今は育休から復帰したてで、時間も制限して勤務させていただいているところです。

 

Q お子さんは何人ですか。

 

藤井 2人です。4歳の娘と1歳の息子がいます。

 

Q まだ小さいので大変ですね。

 

藤井 そうです、大変です(笑)。

 

Q 是非、将来の夢に向けて頑張っていただければと思います。そして、その姿を色々な機会に若い人達にも知っていただけると良いと思います。

本日は、有難うございました。

 

(聞き手:依田  2018年8月)

平成29年9月から開催されてきた「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」は、障害者団体や支援者、労使等の広範な関係団体からヒアリングを行い、提示された課題や施策のアイデア等を踏まえて議論を進めてきましたが、今後進めていくことが望ましいと考えられる政策の方向性について議論を取りまとめ、7月30日に報告書を発表しました。

報告書の中では、

・週所定労働時間20時間未満の障害者の雇用に対する支援措置として、障害者雇用納付金財源を活用した特例的な給付金による負担調整の仕組みの創設

・企業や支援機関等で支援対象者の障害特性等についての情報を共有し、適切な支援や配慮を講じていくための情報共有のフォーマット(就労パスポート)の整備

・障害者雇用の質の向上に向けた事業主の取組に対する支援措置の創設

・障害者が働きやすい環境を整備する中小企業の認証制度の創設

等、様々な提言がされています。

報告書の内容は、今後、労働政策審議会(障害者雇用分科会)に報告され、議論される予定です。

(報告書)

「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書」(平成30年7月30日)

(ヒアリング結果)

「関係者ヒアリングにおいて関係者及び委員から出された意見等の整理」

(研究会の事務局説明資料)

第1回研究会

第7回研究会

第8回研究会

第9回研究会

第10回研究会

第11回研究会

第12回研究会

第13回研究会

 

奈良県の公的病院では、特別支援学校の現場実習の受け入れが各病院で始まっており、知的障害のある生徒が専門職の補助的な業務を中心とした実習を経て、病院に雇用されるケースが増えています。こうした動きの背景には、NPO法人ならチャレンジドが特別支援学校の現場実習先として病院に焦点を当て、看護部長さん達に直接的に障害者雇用の意義を説明し、その理解を得ることで、看護補助業務を中心とした職域を開拓していることがあります。

こうした活動の成果については、ならチャレンジドニュースで適宜紹介されています。その中では、知的障害のある生徒を受け入れた病院の看護幹部職員や、実習を受けた生徒自身の意見も紹介されています。これまで特別支援学校から実習の受け入れをされていない病院の皆さんにとって、現場実習の具体的なイメージが持てる貴重な資料であるため、NPO法人ならチャレンジドのご協力のもとに、関係部分を転載させていただきました。

ならチャレンジドニュース(2017年7月10日号)

市立奈良病院、国保中央病院等の事例を紹介

ならチャレンジドニュース(2018年7月10日号)

奈良県総合医療センター等の事例を紹介

 

奈良県立医科大学附属病院(奈良県橿原市)では、障害のあるスタッフ30人が看護補助業務や事務補助など院内の様々な仕事に従事しており、その様子は当ホームページの「先進事例に学ぶ」コーナーでも紹介されています。

奈良県立医科大学附属病院における障害者雇用

こうした先進的な取り組みを全国に向けて発信するため、本年9月1日(土)に、奈良県立医科大学と奈良県立高等養護学校、NPO法人ならチャレンジドの共催で、「医療現場で活躍する特別支援学校生徒、卒業生たち」をテーマにしたフォーラムを開催することになりました。

フォーラムでは、障害のあるスタッフ30人が登場するほか、当ネットワークメンバーでもある障害者雇用推進マネージャーの岡山弘美さん、副院長・看護部長の高橋美雪さんなどが登壇し、院内各部門から切り出した障害者雇用の業務の具体例を紹介するとともに、看護部から見た障害者雇用の役割についてもお話が伺える貴重な機会となっています。

奈良県では、公的病院の看護部長さんの間に障害者雇用への理解が広がり、看護補助業務中心に病院での障害者雇用が進んできているようですが、そうした背景についてもお話が伺えるのではないでしょうか。

医療機関、就労支援機関、特別支援学校など、それぞれの立場の皆さんにとって、医療機関での障害者雇用を進める上での具体的なヒントが得られる機会になると思います。

○フォーラムの案内(9月1日)

○フォーラム参加申し込み書

公益社団法人日本精神神経科診療所協会では、平成27年度から厚生労働省の委託により、就労支援に取り組んでいる精神科診療所の事例を取材し、インタビュー結果を毎年度冊子にして公表しています。

平成29年度においても、厚生労働省から受託した「医療機関に対する就労支援プログラムのノウハウ普及・導入支援事業」により、精神科診療所8カ所にインタビューした内容を「就労支援を担う精神科診療所~医療が精神障害者の“働く”を支援する~」にまとめ、同協会のホームページ上で公表しています。

(参考)「就労支援を担う精神科診療所~医療が精神障害者の“働く”を支援する~」(リンク)

 

 

医療機関には、日々様々な方が来院します。病気や怪我などで一時的に心身機能が低下している方のほか、障害のために日常的に心身機能が低下している状態の方もいます。「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」により、事業者には「合理的配慮」の提供が求められていますが、心身機能の低下した利用者が多く利用される医療機関には、「合理的配慮」のモデル的な取り組みが期待されると言えるでしょう。

新しい医療機関には段差はほとんどなく、車いす用のトイレも整備されています。段差がないという意味でバリアフリーをとらえれば、医療機関は申し分のないバリアフリーな空間でしょう。しかしながら、「合理的配慮」が狭い意味でのバリアフリーにとどまらないことは、十分理解する必要があります。身体機能の障害には、歩行障害以外にも上肢の障害、視覚障害、聴覚障害、内部障害といったものがあり、更には知的障害、発達障害、精神障害など身体機能以外の障害もあります。障害の種類や程度によって、不自由を感じることにも違いがあり、どのような「合理的配慮」が求められるのかも個人によって様々で、何か一つの配慮があれば足りるというものではありません。

勿論、できるだけ多くの方が利用しやすいよう、予め様々な方の利用を想定した配慮を組み込んだ製品やサービスを用意する「ユニバーサルデザイン」の発想は大切ですが、「合理的配慮」として何が求められるかは、結局は本人から教えていただく視点が必要でしょう。

一方で、「合理的配慮」について説明する障害のある方の側にも、自分が知らない配慮は伝えられないという制約があります。こうした状況を少しでも改善するためには、「合理的配慮」に関する事例を広く収集し、障害のある方と事業者側が共有することが効果的だと考えられます。

公益財団法人共用品推進機構が平成27年に実施した「医療機関の良かったこと調査」は、障害のある方等が医療機関を利用した際に「良かった」と感じた配慮について、利用者の視点で取りまとめたものです。調査報告書では、医療機関を利用した際の外来と入院の場面別に、人的対応と設備面に分けて、一人一人の具体的な意見が記載されているので、医療機関の皆さんが「合理的な配慮」について考える上でも、大変参考になるでしょう。この報告書の中から、幾つかの場面別にヒントとなる事例について、順次紹介していきます。

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