昨年10月に公開した「都道府県等教育委員会の障害者雇用事例」について、各教育委員会のご協力をいただき、令和6年度の状況に内容を更新しました。掲載に協力いただいた教育委員会は、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、鳥取県、高知県、熊本県、札幌市、川崎市、大阪市の11都府県市の教育委員会です。
なお、公務部門の障害者雇用事例については、「公務部門の障害者雇用情報サイト」の「公務部門の障害者雇用事例」に掲載されています。
昨年10月に公開した「都道府県等教育委員会の障害者雇用事例」について、各教育委員会のご協力をいただき、令和6年度の状況に内容を更新しました。掲載に協力いただいた教育委員会は、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、鳥取県、高知県、熊本県、札幌市、川崎市、大阪市の11都府県市の教育委員会です。
なお、公務部門の障害者雇用事例については、「公務部門の障害者雇用情報サイト」の「公務部門の障害者雇用事例」に掲載されています。
障害者欠格条項をなくす会、視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)、聴覚障害をもつ医療従事者の会、DPI日本会議の共催で、オンラインセミナー「障害者の免許全件交付を受けて」が11月27日(水)13時半から開催されます。障害者の欠格条項は、絶対的欠格条項から相対的欠格条項に変更されたものの、相対的欠格条項の下でどの程度の方が免許を交付されているか分からず、資格取得を目指す方には不安がありました。実態調査の結果、免許交付を申請した人は全て免許を交付されていることが分かったことから、欠格条項の存在によって資格取得を諦める必要はないことを知ってもらうため、今回のセミナーを開催することとしたそうです。
国立研究開発法人国立がん研究センターは、障害者雇用に本格的に取り組み始めてから13年ほどですが、中央病院(東京都中央区)では現在30名近いスタッフが働いています。同病院の障害者雇用の状況についてまとめた資料(2024年9月版)を提供いただいたので、「先進事例に学ぶ」で紹介させていただきます。
医療法人芳越会が運営するホウエツ病院(徳島県美馬市)では、障害のあるスタッフが円滑に業務できるよう、業務の種類ごとに作業工程を細かく写真入りで説明したマニュアルを作成していますが、このマニュアルは業務の際に持ち歩けるよう、カード化されています。こうしたカード式マニュアルは、現在約40種類あります。作成しているのは事務局長の岩脇美和さんで、岩脇さんは社会医療法人化に向けて事務局長の業務が大変多忙な中でも、ホウエツ病院での障害者雇用を中心となって支えてきました。
今回、ホウエツ病院のご厚意で、カード式マニュアルの実例と作成方法の情報を提供いただきましたので、皆さんにご紹介します。
【データ作成】
A4ファイル1枚に4枚分のマニュアルを記載する
(記載例)
○ ゴミ捨て作業
○ 新聞束作り作業
【カード作成】
① A4で印刷
② 1/4に切りラミネート
③ ラミネートしたカード式のものの端を丸く切る(ラミネートの門で手が切れないようにするため)
④ 左上か右上に穴をあける
⑤ 穴にリングをとりつける
なお、カード作成作業のうち、印刷したものを4つに裁断する作業やラミネート加工する作業については、障害のあるスタッフが行なっているそうです。
(参考)
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が2024年11月13日〜14日に東京ビックサイトで開催する第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会(参加費無料)において、当ネットワークでも度々紹介してきた奈良県立医科大学附属病院の障害者雇用の取組が発表されます。11月13日(水)に「障害者を中心にした障害者雇用体制の構築 〜職場、家庭、地域の就労支援ネットワークによる支援とともに〜」をテーマに特別講演される岡山弘美さんは、同病院の障害者雇用を中心となって支えてきましたが、現在は、奈良県立医科大学発ベンチャー認定企業の株式会社MBTジョブレオーネの代表取締役に就任しています。今回の講演では、病院で働いている障害のあるスタッフも登壇されるそうです。今回の「特別講演」及び「パネルディスカッション」は、12月下旬目処にJEEDのホームページに掲載予定なので、当日参加できない方もご覧いただくことが可能です。
徳島労働局の主催により、県や市町村等の公務部門を対象とした障害者雇用セミナーが2024年8月30日にオンラインで開催されました。セミナーには徳島県や徳島県教育委員会のほか、県内のすべての市町から参加申し込みがあるなど、障害者雇用に対する関心の高さが窺われました。セミナーでは、徳島労働局職業安定部長の森広茂さんの挨拶に続き、地方障害者雇用担当官の堤智恵さんから「徳島県の障害者雇用の現状」について説明がありました。続いて、障害者就業・生活支援センターわーくわく主任就職支援ワーカーの佐野和明さんから「支援機関との連携について」説明がありました。その後、当ネットワークの依田から「地方公共団体における障害者雇用の進め方〜成功への道筋〜」について60分講演をしました。
講演後には、受講者の皆さんからの質問に佐野さんと二人でお答えしました。質問内容をお聞きすると、民間企業と共通する悩みも多く、民間企業に対する支援を通じて蓄積されてきた支援機関のノウハウが活用できることを、改めて感じさせられました。この点について、公的機関の利用に制約があった障害者就業・生活支援センターのサービスについても、制度の運用が見直され利用しやすくなったことが、佐野さんから紹介されました。
一方で、公務部門特有の問題についても質問がありました。国が作成した「公務部門の障害者雇用マニュアル」等でも推奨されている職場実習について、特定の機関から実習を受け入れることに問題はないのかという質問です。公務員の採用に係る「平等取り扱い原則」とも関連するテーマですが、この点については「職場実習を公募する」ことでクリアできると考えられます。実習を公募するという情報を、教育委員会から近隣の学校に伝えたり、障害者就業・生活支援センターから近隣の就労支援事業所に情報提供することで、特定の機関に限らず広い範囲から応募してもらい、その中から実習生を選考している公務部門の職場もあります。その際には、事前に地元のハローワークに相談いただくのが良いでしょう。
今回のような公務部門を対象としたセミナーは、現場のニーズは相当高いと感じますが、未だ実施している地域は極めて少ない状況です。障害者職業センターの公務部門への関わりが制限されているだけに、労働局が中心となって公務部門への情報提供をしていく必要性は高いでしょう。その意味でも、今回のような取組が全国に広がっていくことを期待されます。
令和6年3月13日に福岡市で開催した「医療機関の障害者雇用に関するセミナー」及び7月26日に東京障害者職業センター多摩支所の主催で開催した医療機関を対象とした雇用サポート講習会などで、医療機関の皆さんから寄せられた質問について、Q&Aに整理して「医療機関の障害者雇用Q&A」に15問追加し、第3版として令和6年8月28日に公開しましたので、ご活用いただければ幸いです。
(追加質問)
Q10 集中配置の場合には、そこで勤務する障害者の所属はどこにすれば良いのか。
Q13 院内ジョブコーチはどのようにして探せば良いのか。
Q14 院内ジョブコーチの人材を院内から探したいが、適性を見るポイントは何か。
Q15 院内ジョブコーチを外部から採用する場合、処遇はどのようにすれば良いか。
Q17 院内ジョブコーチの配置には特別なコストが必要だが、その財源についてどう考えるのか。
Q18 法人として複数の病院や診療所を経営しているが、法人全体の障害者雇用を進めるために、本部としてどのようなことを行うと良いか。
Q34 障害のある職員が担当している業務だけでは手空き時間が生じてしまうが、どうすれば良いか。
Q35 担当業務が同時期に重なってしまう場合があるが、どのように対応するのか。
Q38 病棟では夜勤などの交代勤務があるが、病棟で働く障害者のサポート体制はどうすれば良いか。
Q41 出勤が不安定で業務に穴が空いてしまうことがあるが、どうすれば良いか。
Q42 障害のある職員の執務環境について配慮すべきことはあるか。
Q44 仕事以外のトラブルに対し、職場はどこまで関われば良いのか。
Q55 患者さんとうまく接することができない者には、どのような業務を担当してもらえば良いか。
Q57 長期間休んでしまった者に対して、どのように扱えば良いか。
Q63 医療機関の職員向け研修について、どのような受講上の配慮をすれば良いか。
独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が実施している、日本看護協会の認定看護管理者教育課程サードレベルの研修が開講され、JCHO病院15病院のほか国立病院、労災病院、大学病院、県立・市立病院、民間病院12病院から計27名が受講しました。本年の研修も、昨年に引き続きオンラインと対面の組み合わせで実施され、「組織デザインと組織経営」の単元では「働き方改革に資する障害者雇用」をテーマに3時間の講義が令和6年8月27日にオンラインで行われました。
本講義では、看護管理者として、人を生かすことで組織のパフォーマンスを高める視点を学ぶことを目的とし、前半の講義では「健康経営」と「多様性」という切り口で、広く職員全体の状況に目を向ける視点に焦点を当てました。健康経営に関しては、自らの職場の健康経営に看護職がどう係るか、ストレスチェックの集団分析をどう活用するかなど、看護管理者として認識しておくべき点を説明しました。「多様性」については、様々な課題を抱えた人材が共に働く職場において、個人の側に特別な努力を求めたり、できないことを理由に切り捨てるのではなく、職場の環境を変えることで個人の能力を十分発揮させ、戦力にしていくことの大切さを伝えました。
後半のグループワークでは「『働き方改革に資する障害者雇用』を看護部門で進めるとしたらどのような業務を切り出せば、看護職が助かるか」と「自閉症スペクトラム(ASD)傾向のある看護職の適性に合う仕事は何か」の2つのテーマについて、4つのグルーで意見交換しました。テーマ1では、看護補助者の業務も多忙なので、看護補助者の業務から定型的な業務を切り出せば、看護補助者が看護職の業務を分担しやすくなるといった意見がありました。テーマ2では、発達障害の診断の有無に関わらず対応に悩まれた経験は、受講者の皆さんも多かれ少なかれあるようでした。夜勤が伴う病棟勤務が難しく、配置先に苦労されている中で、比較的定着している職場として、手術室、内視鏡室、透析室の事例が報告されました。業務は定型的でも専門性が求められ、専門性を高めることでモチベーションが保てることに加え、単独で働くのではなく周囲の職員の目配りもしやすい点で、これらの職場には共通点があります。自閉症スペクトラム(ASD)傾向のある看護職にとって、働きやすい環境のヒントが見出せるようです。このほか、記憶力が優れている人を記憶力が活かせる職場に配置したところ、看護師や医師からも頼りにされて頑張っているという事例や、健康管理センターの採血業務に従事している事例も紹介されました。
法定雇用率の引上げや除外率の引下げで、医療機関の障害者雇用への圧力は今後も強まりますが、法令遵守だから仕方なくという受け身の姿勢ではなく、看護職の職場環境を改善する「働き方改革」に障害者雇用を活用するという積極的な視点を、それぞれの病院に持ち帰っていただくことを受講者の皆さんに期待しています。
第51回日本職業リハビリテーション学会島根大会が2024年8月23日、24日に松江テルサ(島根県松江市)で開催され、24日午後には「公務部門における障害者雇用の取り組みー今後、求められる支援者像ー」をテーマにした自主ワークショプが行われました。このワークショップは、岡山県職場定着支援トータルアドバイザーの宇野京子さんが企画したもので、指定討論者である一般社団法人職業リハビリテーション協会代表の松為信雄さんの司会で進行しました。最初に宇野さんから企画趣旨の説明があり、続いて話題提供者として、内閣官房内閣総務官室上席障害者雇用専門支援員の加藤公一さんが内閣官房における障害者雇用の取り組み、宇野さんが岡山県知事部局における障害者雇用の取り組みについて、それぞれ報告しました。その後、公務部門の障害者雇用情報サイトの管理者である依田が指定討論者として、「公務部門における障害者雇用の取り組み」について補足説明をしました。補足説明では最初に「公務部門の障害者雇用マニュアル」(内閣官房内閣人事局・厚生労働省・人事院)について紹介しました。
「公務部門の障害者雇用マニュアル」(内閣官房内閣人事局、厚生労働省、人事院:令和6年1月改訂)
公務部門で障害者雇用を進める上で、活用できる制度や推奨される取り組みを詳細に解説した内容の充実したマニュアルが既に各省庁に対して示され、地方公共団体にも総務省から情報提供されているのですが、現場であまり認識されず活用されていないのは、大変残念なことです。今後は、こうしたマニュアルも活用しながら、省庁や地方公共団体の枠を超えて、公務部門での雇用事例やノウハウの共有が図られていく必要があります。
公務部門の障害者雇用の推進体制については、対外的に発表されることはほとんどなく、他省庁や他の地方公共団体の取り組みを知る機会もありませんでした。今回のワークショップでは、話題提供者のお二人が組織との間で時間をかけて信頼関係を築いてきたことで、組織内の取り組みについて発表いただ区ことができましたが、これを機会に公務部門の障害者雇用に対する関心が高まるとともに、情報共有や情報交換の機会が増えていくことが期待されます。
(資料)
「公務部門における障害者雇用の取り組み」(指定討論者:依田)
(参考資料)
「公務部門の職場の特性と障害者雇用の課題」(職業リハビリテーション第34巻No1)
今年3月に福岡市で開催した「医療機関の障害者雇用に関するセミナー」をきっかけに、福岡市内の医療機関では情報交換を望む声が高まりを見せているそうです。こうした中で、セミナーにも登壇された黒田小夜子さんの所属する福岡市立障がい者就労支援センターの主催により、「同業種(医療)交流会」が3回シリーズで開催されることになり、その第1回が8月20日に福岡市舞鶴庁舎(福岡市)で開催されました。シリーズでは、毎回、話題提供者からの説明後に、参加者がグループに分かれて意見交流会を行います。今回は、福岡市教育委員会福岡市発達教育センター所長の松本学さんから、「特別支援学校での就労に向けた取り組み」について話題提供があり、その後、11病院16名の参加者が4グループに分かれて意見交換・情報交流を行いました。1回目で初めは多少緊張もあったようですが、さすが同業者だけあって話題には事欠かず、すぐに打ち解けられたようで、「また次回も参加したい」という声が聞かれるなど、とても有意義な交流会となったそうです。次回の開催は9月20日が予定されています。
(参考)「同業種(医療)交流会」開催案内