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「医療機関の良かったこと調査」で指摘された具体的な配慮事例の中から、「薬局」に関するものを紹介します。

 

(呼び出し)

・順番が来たら教えに来てくれる。【聴覚障害】

・電光掲示板があるので順番が来たのが分かりやすい。【聴覚障害】

 

(受け渡し)

・座っている所に来て薬を手渡しして説明してくれる。【視覚障害】

 

(薬の包装)

・複数の薬を処方される場合に、材質の違う袋に入れたり、袋に目印の輪ゴムを付けたり、凹凸の付いたシールを貼るなど、どの薬の袋か区別できるようにしてくれる。【視覚障害】

・朝、昼、夜に飲む分の薬を別々の袋に入れて、袋の端に付けたホチキスの数で区別できるようにしてくれる。【視覚障害】

・1回に飲む複数の薬をまとめて1包化してくれる。【視覚障害】

 

(薬の説明)

・錠剤の形や大きさなど、手を取って触らせながら説明してくれる。【視覚障害】

・薬の名前や飲み方などを薬の袋に大きくマジックで書いてくれる。【視覚障害】

・薬の飲み方や注意事項を口頭で詳しく説明してくれる。【視覚障害】

・写真の付いた説明書を指さしながら説明してくれる。【聴覚障害】

・口元が見えるようマスクを外して説明してくれる。【聴覚障害】

・筆談で説明してくれる。【聴覚障害】

労働政策審議会障害者雇用分科会が平成29年12月22日に開催され、精神障害者である短時間労働者の実雇用率のカウント方法を見直すことが諮問されました。

具体的には、精神障害者である短時間労働者(週20時間以上30時間未満)であって、「新規雇入れから3年以内の者」又は「精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の者」に係る実雇用率のカウントにおいて、平成35年3月31日までに雇入れられた者等については、現行の0.5人から1人へと変更するものです(平成30年4月1日施行)。

障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案の概要

短時間雇用の「0.5カウント」から「1カウント」への引き上げについては、「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」の関係団体からのヒアリングにおいて、6団体(全国精神保健福祉会連合会、全国就業支援ネットワーク、全国重度障害者雇用事業所協会、就労継続支援A 型事業所全国協議会、障害者雇用企業支援協会、日本経団連)から要望されていました。

今回の見直しは、こうした要望にも応えるものですが、雇入れ等から「3年以内」としている点については、精神障害者の職場定着率が他の障害に比べ全体的に低いものの、3年を超えると比較的定着する傾向があることを踏まえたものと思われます。

平成30年4月から法定雇用率が0.2ポイント引き上げ(民間事業所では2.0%→2.2%)られるなかで、今回の措置が追い風となり、精神障害者の雇用にチャレンジする事業所が増えることが期待されます。

 

 

 

「精神科医療機関とハローワークの連携モデル事業」について、宮崎労働局分が発表され、平成29年度実施の労働局の拠点ハローワークと連携先の医療機関が出揃いました。同事業は、平成29年度までに38労働局で実施されており、残りの労働局でも平成30年度には実施される見通しです。

「精神科医療機関とハローワークの連携モデル事業」の拠点ハローワークと連携先医療機関一覧(平成29年度)

 

平成30年4月より、法定雇用率の算定基礎に精神障害者が加えられるのに伴い、法定雇用率の引き上げが行われることになりました。現行の法定雇用率が2.0%である民間事業所の場合、従来の算定方法だと「2.42%」へと大きく上昇するため、5年後の次回見直し時期までは「2.3%」とすることとした上で、更に3年間は「2.2%」の引き上げにとどめることになりました。法定雇用率を達成できていない事業所が未だ半数以上ある中で、今後とも法定雇用率が上昇を続けていくことには、事業者の側からは不安の声も上がっています、

このため、厚生労働省では、労使、障害者関係団体等の関係者から成る研究会を開催し、障害者雇用促進制度の中心的役割を果たす障害者雇用納付金制度や雇用率制度のほか、各種支援策について、今後の在り方の検討を行うこととなりました。

「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」(概要)

今回の法定雇用率の引き上げは、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えたことに伴うものですが、各事業所が法定雇用率の達成のために新たに障害者を雇用する場合、障害の種別は精神障害者でも身体障害者や知的障害者でも構いません。しかしながら、ハローワークから紹介される障害者の多くを精神障害者が占めている現状では、各事業所が法定雇用率を達成できるかどうかは、精神障害者の雇用にどれだけ取り組めるかにかかっていると言えます。このため、研究会では精神障害者の雇用に関する議論が多くを占めています。

平成29年9月20日に第1回の研究会が開催された後、第2回(10月23日)、第3回(10月30日)、第4回(11月7日)、第5回(11月24日)と関係団体からのヒアリングが4回にわたり行われました。その中では、長時間の勤務が難しいとされる精神障害の特性を踏まえ、精神障害者の短時間雇用のカウントについて、以下のような意見が出ています。

(1)30時間未満20時間以上の短時間雇用の「0.5カウント」から「1カウント」への引き上げ

(全国精神保健福祉会連合会、全国就業支援ネットワーク、全国重度障害者雇用事業所協会、就労継続支援A 型事業所全国協議会、障害者雇用企業支援協会、日本経団連)

(2)20時間未満10時間以上の短時間雇用のカウント

(全国精神保健福祉会連合会、全国就業支援ネットワーク、全国就労移行支援事業所連絡協議会、全国重度障害者雇用事業所協会、就労継続支援A 型事業所全国協議会、障害者雇用企業支援協会)

(3)累積カウント制度又はショートタイムワーク制度の創設(20時間未満の複数人の雇用時間を累積してカウント)

(全国手をつなぐ育成会連合会、全国重度障害者雇用事業所協会)

 

【関係団体からのヒアリング(リンク)】

関係者ヒアリングにおいて関係者及び委員から出された意見等の整理

 

 

 

 

 

東京精神科病院協会(東精協)では、平成27年に精神障害者雇用促進員会を設置し、医療機関自らの障害者雇用の問題や一般就労に向けた就労支援の問題に積極的に取り組まれています。その一環として、本年度は「精神障害者の社会参加支援研修会~精神障害者雇用の新たなステージに向けて~」が開催されました。第1部の講演会では、島根県浜田市の社会医療法人清和会西川病院の林輝男副院長から「精神障がい者の『働きたい』を支援するために~IPS就労プログラムの理念と活用~」、当ネットワークから「医療機関の障害者雇用戦略~雇用率の改定を受けて~」をテーマに講演が行われました。第2部のトークセッションでは、東精協の精神障害者雇用促進委員会の新井山克徳さん(駒木野病院)により障害者雇用に関するアンケート調査結果の報告があり、その後、講演者、新井山さん、当ネットワークメンバーでもある中原さとみさん(桜ヶ丘記念病院)の4名で会場からの質問を踏まえた意見交換が行われました。平成30年4月の法定雇用率の引き上げを目前に控え、精神障害者の雇用に対する関心が高まってきている中で、精神科医療機関が地域の就労支援ネットワークの一員としての役割を果たしていくことが期待されています。こうした支援を効果的に行うためにも、自らが精神障害者を雇用し、事業所側の視点を学んでいくことの意義も指摘されました。

(講演資料)

 

(平成30年11月1日現在)

 

北海道労働局:ハローワーク札幌【大通公園メンタルクリニック(27年度~)、札幌なかまの杜クリニック(27年度~)、さっぽろ駅前クリニック、札幌太田病院、幹メンタルクリニック、札幌こころの診療所、南平岸内科クリニック】

青森労働局:ハローワーク八戸【湊病院、青南病院、松平病院、八戸マナクリニック】

岩手労働局:ハローワーク盛岡【盛岡市立病院、未来の風せいね病院、平和台病院、もりおか心のクリニック】

宮城労働局:ハローワーク仙台【原クリニック、国見台病院、青葉病院】

秋田労働局:ハローワーク秋田【秋田緑ヶ丘病院、こころのクリニック】

山形労働局:ハローワーク山形【山形さくら町病院、かみのやま病院】

福島労働局:ハローワーク福島【福島県立医科大学付属病院、医療法人湖山荘】

茨城労働局:ハローワーク水戸【石崎病院、栗田病院、水戸メンタルクリニック】

栃木労働局:ハローワーク宇都宮【さくら・ら心療内科(27年度~)、アイ・こころのクリニック、宇都宮こころのクリニック】

群馬労働局:ハローワーク高崎【サンピエール病院、群馬病院】

埼玉労働局:ハローワーク浦和【埼玉精神神経センター、聖みどり病院、白峰クリニック】

千葉労働局:ハローワーク松戸【ひだクリニック(27年度~)、柏クリニック、なかやまクリニック】

東京労働局: ハローワーク池袋【慈雲堂病院、帝京大学医学部附属病院、大泉病院】

ハローワーク八王子【駒木野病院、恩方病院、平川病院、永生クリニック】

神奈川労働局:ハローワーク相模原【北里大学東病院、橋本こころのクリニック】

新潟労働局:ハローワーク新潟【新潟信愛病院、南浜病院、河渡病院、佐潟荘、松浜病院、まことクリニック】

富山労働局:非公表

石川労働局:ハローワーク金沢【松原病院】

福井労働局:ハローワーク福井【福井厚生病院】

山梨労働局:ハローワーク甲府【住吉病院】

長野労働局:ハローワーク上田【千曲荘病院】

岐阜労働局:ハローワーク岐阜【岐阜病院】

静岡労働局:ハローワーク浜松【メンタルクリニックだんだん、ダダ第2クリニック、ぴあクリニック、神経科浜松病院、朝山病院、三方原病院】

愛知労働局:ハローワーク名古屋南【桶狭間病院、藤田こころケアセンター、藤田メンタルケアサテライト徳重北、藤田メンタルケアサテライト前後駅前、鳴海ひまわりクリニック】

三重労働局:ハローワーク四日市【総合心療センターひるが】

滋賀労働局:ハローワーク草津【滋賀県立精神医療センター(デイケア)】

京都労働局:ハローワーク京都七条【長岡記念病院(27年度~)、まるいクリニック、京都市こころの健康増進センター】

大阪労働局:ハローワーク枚方【三家クリニック、関西記念病院、ねや川サナトリウム、長尾会クリニック、東香里病院、東香里第二病院】

兵庫労働局:ハローワーク神戸【福島神経科クリニック、湊川病院】

奈良労働局:ハローワーク奈良【五条山病院、きたまちクリニック】

和歌山労働局:ハローワーク和歌山【紀の川病院、田村病院、宮本病院、和歌浦病院】

鳥取労働局:非公表

島根労働局:ハローワーク松江【松江青葉病院、八雲病院、小松クリニック】

岡山労働局:ハローワーク岡山【岡山県精神科医療センター、慈圭病院】

広島労働局:ハローワーク広島【草津病院、松田病院、瀬野川病院、中山心療クリニック、比治山病院、己斐ヶ丘病院、浅田病院】

山口労働局:ハローワーク下関【下関病院】

徳島労働局:ハローワーク徳島【城西病院】

香川労働局:ハローワーク高松【いわき病院、馬場病院】

愛媛労働局:ハローワーク松山【味酒診療所】

高知労働局:ハローワーク高知【細木ユニティ病院、近森病院】

福岡労働局:ハローワーク福岡中央【油山病院、可也病院、伊都の丘病院】

佐賀労働局:ハローワーク鳥栖【光風会病院、大島病院】

長崎労働局:ハローワーク長崎【西脇病院、道ノ尾病院、三和中央病院、田川療養所】

熊本労働局:ハローワーク熊本【桜が丘病院、弓削病院、熊本心身医療クリニック】

大分労働局:ハローワーク大分【大分丘の上病院】

宮崎労働局:ハローワーク宮崎【井上病院】

鹿児島労働局:ハローワーク鹿児島【森口病院、三州脇田丘病院】

沖縄労働局:ハローワーク那覇【平安病院、天久台病院】

障害者雇用を支援する関係機関や施設は急速に増えてきましたが、それらがバラバラに機能するのではなく、相互に役割分担して地域の障害者雇用を効果的に支えていくには、ネットワークが必要だと言われています。しかしながら、ネットワークを目的とした様々な会議ができてきましたが、言葉だけが先行して具体的な動きに繋がっていない地域が多いようです。

一方、医療の分野に目を向けると、地域の医療機関が連携して取り組むため、関係機関が共有する治療計画として「地域連携クリティカルパス」が普及してきました。障害者の就労支援に関するネットワークづくりを進める上で、この「地域連携クリティカルパス」を参考に「地域連携就労支援パス」の策定について提案してみました。

「地域連携就労支援パス」の提案

もっとも、脳卒中や大腿骨頸部骨折等の典型的な経過をたどる傷病と比べ、就労支援の対象となる障害は個別性も高い面もあるため、必ずしも共通には論じられない面もあるでしょう。このため、広く皆様からのご意見をいただくことで、より現場に即した内容にしたいと思います。皆様からのご意見は、以下のアドレスまでお願いいたします。

mediem.net@gmail.com

「チーム医療」という言葉に代表されるように、医療機関は職種を超えた連携が求められる職場です。こうしたチーム連携は、病院現場から自然発生的に生まれてきますが、医療の質の向上や業務効率化を推進する観点から、モデル的な取り組みを表彰する病院も多いようです。

大阪市にあるJCHO大阪病院では、職員が主体的に行うチーム連携の取り組みを表彰する制度を設けています。その表彰式で、障害のあるスタッフをメンバーとする薬剤部の取り組みが表彰されました。「チーム薬助」と名付けられた取り組みは、3名の障害者を含む薬剤助手がチームを組んで、薬剤師の業務軽減を図るものです。3名のスタッフは、障害のためにできない作業もありますが、軽作業やデスクワークなどそれぞれの能力を発揮できる仕事を選択し、相互に補い役割分担することで、チーム全体で薬剤助手の能力を発揮できているそうです。

身体障害のあるスタッフは、輸液ケースなど重い物の運搬はできませんが、作業内容は正確で慎重なため、中止薬の整理や軽量薬品の搬送などの軽作業、統計などのパソコン入力等を担当しています。

身体障害のある別のスタッフは、長時間の立ち仕事はできませんが、座って行うパソコン作業には習熟しているため、資料作成や台帳更新等の事務作業、薬品払い出しの準備、お薬コーナーでの窓口対応などを担当しています。

知的障害のあるスタッフは、持久力があり俊敏に動けることに加え、単純反復作業は得意で、作業は几帳面で記憶力も良いことから、全病棟から返却される注射薬払出しカートやトレーの清拭・清浄化、返納医薬品の仕分けなどを担当しています。病棟から返納されるカート内のトレーを1日1,500枚も清拭しています。

彼ら3名を含む「チーム薬助」の活動のおかげで、薬剤師が病棟に出向く時間が捻出でき、服薬指導件数の増加にも貢献しているそうです。「院長賞」を受賞したことで、自分たちの仕事に対する自信も芽生え、毎日充実して働く姿が目に浮かぶようです。

平成29年9月26日に広島県尾道市総合福祉センターで開催された「尾三障害保健福祉圏域障害者就労支援ネットワーク研修会」において、「精神障害者の雇用が拓く新たな視点~精神科医療機関と連携した支援体制の構築~」と題した講演を行うとともに、グループワークに参加しました。研修会には、圏域内の自治体、ハローワークのほか、就労支援に関わる機関・施設等の皆さんが多数参加されました。講演では、精神障害者の雇用を進める上では医療機関を含めた関係機関の連携が不可欠なことから、連携を進めるための具体的な方法として、医療分野の地域連携クリティカルパスを参考に「地域連携就労支援パス」を策定することを提案しました。今回の講演では「地域連携就労支援パス」の作り方として、「地域にある社会資源の洗い出し」「それぞれに期待できる支援内容の確認」「一般就労に向けた『基本パス』の作成」「個別ケースのケーススタディによる検証」「実践での「個別パス」の作成と検証」の5つのステップを提案しました。グループワークでは、就労支援機関と精神科医療機関の連携を取るのが難しい実態が紹介される一方で、医療機関団体の研修会などで就労支援について取り上げてもらってはどうかなど、建設的な議論もされました。

○「地域連携就労支援パス」の作り方(5つのステップ)

(講演資料)