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「チーム医療」という言葉に代表されるように、医療機関は職種を超えた連携が求められる職場です。こうしたチーム連携は、病院現場から自然発生的に生まれてきますが、医療の質の向上や業務効率化を推進する観点から、モデル的な取り組みを表彰する病院も多いようです。

大阪市にあるJCHO大阪病院では、職員が主体的に行うチーム連携の取り組みを表彰する制度を設けています。その表彰式で、障害のあるスタッフをメンバーとする薬剤部の取り組みが表彰されました。「チーム薬助」と名付けられた取り組みは、3名の障害者を含む薬剤助手がチームを組んで、薬剤師の業務軽減を図るものです。3名のスタッフは、障害のためにできない作業もありますが、軽作業やデスクワークなどそれぞれの能力を発揮できる仕事を選択し、相互に補い役割分担することで、チーム全体で薬剤助手の能力を発揮できているそうです。

身体障害のあるスタッフは、輸液ケースなど重い物の運搬はできませんが、作業内容は正確で慎重なため、中止薬の整理や軽量薬品の搬送などの軽作業、統計などのパソコン入力等を担当しています。

身体障害のある別のスタッフは、長時間の立ち仕事はできませんが、座って行うパソコン作業には習熟しているため、資料作成や台帳更新等の事務作業、薬品払い出しの準備、お薬コーナーでの窓口対応などを担当しています。

知的障害のあるスタッフは、持久力があり俊敏に動けることに加え、単純反復作業は得意で、作業は几帳面で記憶力も良いことから、全病棟から返却される注射薬払出しカートやトレーの清拭・清浄化、返納医薬品の仕分けなどを担当しています。病棟から返納されるカート内のトレーを1日1,500枚も清拭しています。

彼ら3名を含む「チーム薬助」の活動のおかげで、薬剤師が病棟に出向く時間が捻出でき、服薬指導件数の増加にも貢献しているそうです。「院長賞」を受賞したことで、自分たちの仕事に対する自信も芽生え、毎日充実して働く姿が目に浮かぶようです。

平成29年9月26日に広島県尾道市総合福祉センターで開催された「尾三障害保健福祉圏域障害者就労支援ネットワーク研修会」において、「精神障害者の雇用が拓く新たな視点~精神科医療機関と連携した支援体制の構築~」と題した講演を行うとともに、グループワークに参加しました。研修会には、圏域内の自治体、ハローワークのほか、就労支援に関わる機関・施設等の皆さんが多数参加されました。講演では、精神障害者の雇用を進める上では医療機関を含めた関係機関の連携が不可欠なことから、連携を進めるための具体的な方法として、医療分野の地域連携クリティカルパスを参考に「地域連携就労支援パス」を策定することを提案しました。今回の講演では「地域連携就労支援パス」の作り方として、「地域にある社会資源の洗い出し」「それぞれに期待できる支援内容の確認」「一般就労に向けた『基本パス』の作成」「個別ケースのケーススタディによる検証」「実践での「個別パス」の作成と検証」の5つのステップを提案しました。グループワークでは、就労支援機関と精神科医療機関の連携を取るのが難しい実態が紹介される一方で、医療機関団体の研修会などで就労支援について取り上げてもらってはどうかなど、建設的な議論もされました。

○「地域連携就労支援パス」の作り方(5つのステップ)

(講演資料)

従業員の健康の保持増進に向けた取組を積極的に行う企業では、長期的に見ると経営のパフォーマンスも良好であるということが、最近の国内外の研究で明らかになってきました。こうした研究成果を受け、従業員の健康の保持増進に向けたコストを、企業の収益性等を高めるための投資と位置づけ、経営的視点から健康管理を戦略的に実践することの大切さが指摘されています。キーワードは「健康経営」であり、厚生労働省の推進する「データヘルス」と経済産業省が推進する「健康経営」を車の両輪として、国民の健康づくりを進める動きが活発化しています。平成27年7月には、経済団体、地方公共団体、医療団体、医療保険者等の幅広い関係者が結集して「日本健康会議」が設立され、「健康経営」に積極的に取り組む法人を「健康経営優良法人」として認定する制度もスタートしました。初年度となる健康経営優良法人2017は、大規模法人235社、中小規模法人318社が認定を受けましたが、健康経営優良法人2022の認定法人数は、大規模法人2,297 社、中小規模法人12,771社へと急増しています。

認定を受けるメリットには、金融機関融資や公共調達での優遇なども一部ありますが、最大のメリットは法人のイメージアップで、実際に認定を受けた法人からは採用活動場面でのメリットが想像以上に大きかったという声が寄せられています。同業他社の認定が刺激となり、認定取得を目指す法人も増加しているので、これからは「健康経営」という言葉を聞く機会も増えてくるでしょう。ちなみに認定対象となる法人は、民間企業に限らず、医療法人や社会福祉法人等も含まれます。「健康経営」の概念が普及している米国では、全米病院協会が健康経営についての勧告を出しており、その中では病院が健康経営についてのコミュニティのロールモデルになるべきと呼びかけているほどです。

(資料)健康経営に関する全米病院協会報告書の勧告

「健康経営優良法人」の認定基準には、健康診査の受診率などとともに、メンタルヘルス関係の項目が多く含まれています。健康を損なうことによる損失として、医療費や病気休職(アブセンティーイズム)に伴う費用だけでなく、出勤はしても生産性が低下した状態(プレゼンティーイズム)にも目が向けられたことが背景にあります。メンタル面での不調が影響するプレゼンティーイズムが損失全体の4分の3を占めていることからも、職場のメンタルヘルス環境を改善することで、企業の生産性が向上し、企業の成長が実現するという「健康経営」の好循環が読み取れます。

障害者雇用の現場では、精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加わるなど、平成30年の制度改正の影響への関心が高まっていますが、これをコンプライアンス問題という受け身の対応に留めず、「健康経営」と関連付けてみる視点も必要でしょう。その参考となるものに、「精神障害者の雇用に係る企業側の課題とその解決方法に関する研究」(2016年3月:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター)があります。この調査では、メンタルヘルス不調により1か月以上継続して仕事を休んだ社員が職場に復帰しているかどうか、復帰した場合に安定的に働き続けられているかどうかを2,000社のデータで分析した結果、障害者を雇用している事業所ではメンタル不調の休職者が職場復帰後に安定的に働けている割合が高いことが確認されました。すなわち、障害者雇用を進めることにより、「健康経営」に重要な「職場のメンタルヘルス環境の改善」が実現できることが明らかになったわけです。

(資料)「精神障害者の雇用に係る企業側の課題とその解決方法に関する研究」(2016年3月)

残念ながら、現在の「健康経営優良法人」の認定基準には、障害者雇用について直接触れた部分はありませんが、障害者雇用を進めることで職場のメンタルヘルス環境が改善されることは、障害者雇用を進めた多くの事業所が実感されていることでしょう。

「元気な挨拶で職場が明るくなり、職場のコミュニケーションも改善し、風通しの良い職場となった」

「仕事に対する真面目な姿勢を見て、職場の同僚の働く姿勢も変わった」

「仕事の切り出しで業務の効率化も進み、役割分担ができて同僚の自己効力感も高まった」

「各人のできる部分に目が向くようになり、多様性を受け入れる文化が自然に形作れた」

といった声は、障害者雇用に取り組んでいる事業所から日常的に聴かれてきたことです。

障害者雇用を進めることで職場のメンタルヘルス環境が改善されることは、障害者雇用を進めた事業所の経験知とも言えるものです。そのことをエビデンスとして整理し、積極的に発信していくことは、障害者の就業支援を担う機関が果たすべき大切な役割の一つでしょう。

(資料)職場のメンタルヘルス環境を示す計測可能な指標について(経済産業省への提言)

(参考1)健康経営優良法人認定制度(経済産業省ホームページ)

(参考2)健康経営優良法人2022(大規模法人部門)認定法人一覧

(参考3)健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定法人一覧

(参考4)健康経営優良法人2022(大規模法人部門)認定要件

(参考5)健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定要件

 

 

 

 

医療機関で障害者雇用を進めようとする際には、まず障害のあるスタッフにどのような仕事を担ってもらうか検討する必要があります。知的障害や精神障害のあるスタッフの場合、作業工程が単純で明確な作業だと能力を発揮できることが多いため、そのような作業を現場の仕事の中から切り出していくことになります。

先日開催された看護職トップリーダーを対象とした研修会のグループワークで、この問題について話合われた際、ある看護職幹部の方から、障害があるスタッフが担う仕事を「雑務」と呼ぶべきではないとの指摘がありました。確かに「雑務」という言葉には「本来の仕事とは直接関わらない雑多な仕事」といったイメージがあります。重要でない、面倒臭い、厄介といった否定的なニュアンスが伴うようにも思われます。「雑務」という言葉を使うことで、障害のあるスタッフに面倒くさい仕事を押し付けるといった、誤ったイメージが持たれかねないことを懸念されたのだと思います。国家資格がなくてもできる仕事であっても、病院を運営する上で欠くことのできない仕事という点では、何ら変わりがありません。医療機関の業務に欠くことのできない大切な仕事という基本を押さえたうえで、国家資格がなくてもできる仕事については、その仕事に強みを持つ人達に集中して担ってもらうことで、業務の質も高まるし、看護職も助かるという視点こそ、しっかり伝えるべきことなのでしょう。

こうした指摘には、周りの看護職への意識啓発だけでなく、この仕事に従事する障害のあるスタッフのモチベーションへの配慮も感じられ、さすが看護職のトップリーダーになる人達の意識は高いと、改めて感心させられました。障害のあるなしに関わらず、自分が医療機関のスタッフの一員として医療に貢献していることを、毎日の仕事の中で実感できることは大切なことです。周りの職員から「いつもありがとう」「ご苦労さま」といった感謝の声掛けやメッセージが日常的に届くことは、障害のあるスタッフの働く意欲にも繋がります。先進事例の医療現場で開拓された仕事を参考に、やりがいのある業務を上手に切り出していかれることを期待しています。

厚生労働省は8月31日に平成30年度概算要求を財務省に提出しました。その中に盛り込まれた障害者雇用施策関係概算要求額は31,804百万円(前年度3.1%増)であり、既存施策の充実とともに、以下の新規施策の実施が含まれています。

○障害者雇用ゼロ企業等に対する提言型「チーム支援」の実施(要求額446百万円)

障害者雇用ゼロ企業等に対して、企業ごとのニーズに沿って支援計画を作成し、採用前から採用後の定着支援までを一貫して支援する提言型「チーム支援」を実施するため、「就職支援コーディネーター」を新たに配置する。

○障害者雇用に知見のある企業OBの紹介・派遣等(要求額127百万円)

障害者雇用を進める上で労務管理等に課題を抱える企業に対し、企業のニーズに応じて、障害者雇用に知見のある企業OBや特例子会社の経営経験者等を紹介・派遣し、具体的な改善実施の提言・援助等を行う。

○職業能力開発校(一般校)における精神障害者受入モデル事業の実施(要求額246百万円)

職業能力開発校(一般校)において精神障害者を対象とした職業訓練をモデル事業として実施し、精神障害者の受入強化を図る。

 

なお、段階的に拡大してきた「精神科医療機関とハローワークの連携による就労支援モデル事業」については、平成30年度には全労働局で実施する内容としています。

 

(資料)「障害者に対する就労支援の推進~平成30年度障害者雇用施策関係概算要求のポイント~」

 

先日、JC-NETのジョブコーチ研修会を受講させていただいた際、小川先生から貴団体のことをご紹介いただきました。 私自身は、過去に在職した施設でクローズの発達障害と思われる正職員たちの相談を産業医として受けていて、本人も去ることながら、周囲のスタッフのストレスも看過出来ないと感じ、自分ながらに勉強していた対処法をアドバイスしていましたが、きちんとした体系的な勉強をしていなかったため、今回ジョブコーチ研修会を自己研鑽のために受講しました。まだ、具体的に今後私がどのように活動していくのかは未定ですが、おそらく多くの日赤関連組織の従業員7万人のなかに必ずいるクローズの発達障害の職員の対応でストレスを抱えている管理職達への教育や啓蒙活動など、私の立場だから出来ることをやっていきたいと思っています。  よろしくお願い致します。

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が実施している、日本看護協会の認定看護管理者教育課程サードレベルの研修において、当ネットワークから講師として参加し、3時間の講義を行いました。3年目となる今年度の講義では、最初に「健康経営」を取り上げました。「健康経営」は、平成27年7月に経済界、自治体、保険者、医療界(日本医師会、日本看護協会等)等が参加して発足した「日本健康会議」が国民運動としての普及に努めているものです。従業員の健康に投資することにより、従業員の医療費や生産性低下などの損失が減り、長期的に事業も発展するという考え方であり、「医療勤務環境改善」の好循環モデルとも共通するものですが、医療職への認知度は低い状況です。全米病院協会では、健康経営について病院がコミュニティのロールモデルになるべきと勧告しており、もっと関心が持たれるべき問題でしょう。この健康経営を実現する上では、職場のメンタルヘルス環境の改善が不可欠ですが、その具体的な方法として、障害者雇用が効果的であることを説明しました。講義の後半では、昨年度と同様、自分の病院で障害者雇用を進めることになり看護部内で責任者となった場合、(1)障害者雇用を進める意義について現場の職員にどのように説明し、(2)障害者の担当する業務としてどのような業務を切り出すか、についてグループワークを行いました。看護部門のトップリーダーを目指す受講者だけあって、意識の高い意見が交わされ、大変有意義なグループワークとなりました。研修には、各病院から看護部長・副看護部長・看護師長クラスの看護師28名が参加し、JCHO病院のほか、国立病院、自治体病院、大学病院、済生会病院、厚生連病院からも参加がありました。

(講義資料)

病院の病棟では、有資格の看護職員に加え、看護補助者がベッドメイク等の補助的業務に従事しています。急性期病院で病棟に一定数以上の看護補助者を配置している病院では、診療報酬の「急性期看護補助体制加算」(1日につき160点~80点)が算定できます。

関東地方にある公的病院では、これまで「急性期看護補助体制加算」を算定してきましたが、年々看護補助者の応募が減り、「急性期看護補助体制加算」の施設要件である患者数対比での看護補助者数の確保が困難になってきました。加算がなくなれば年間数千万円の収入減となり、経営にも大きな影響を与えます。病院側は人材募集に努めましたが、景気回復の影響もあり、見通しは厳しくなるばかりでした。

こうした状況を救ったのが、障害のあるスタッフ達でした。病棟のラウンジ清掃やベッドメイクなど、以前は看護補助者が担ってきた仕事を障害のあるスタッフが担っていたからです。彼らが従事している仕事の中から、病棟関係の仕事を抜き出してみると、年間数千時間にもなりました。

これらの実績が施設要件の計算上カウントされていなかったのは、彼らの所属が事務部門だったからです。このため、看護部門と事務部門とで協議し、看護部に所属を移すことにしました。その結果、病棟の仕事に従事している時間数がカウントされ、「急性期看護補助体制」の施設要件を満たす目途が立ったそうです。

この病院では、障害のあるスタッフが担う病棟の仕事を今後も拡大していくそうです。障害のあるスタッフの働きが診療報酬で適切に評価され、病院経営にも貢献することの理解が広まれば、職域拡大の機会も一層広がることでしょう。

平成29年度の愛媛県障がい者就労支援ネットワーク強化・充実事業として、南予地域就労支援ネットワーク連絡会と愛媛県の共催により宇和島市で開催された「精神障がい者就業・生活支援フォーラム」において、「平成30年度にむけて 精神障がい者施策の動向~障害者雇用で近づく「企業の健康経営」~」と題した講演を行うとともに、パネルディスカッションに参加しました。講演では、「健康経営優良法人認定制度」や「ストレスチェック制度」のスタートで、企業の側にメンタルヘルスへの関心が高まっている中、障害者雇用を進めることで企業のメンタルヘルス環境が改善される視点を取り上げるとともに、一般就労に向けた関係機関の連携を進める方策として「地域連携就労支援パス」策定を提案しました。パネルディスカッションでは、パネラーに愛媛県労働局、障害者就業・生活支援センター、精神科医療機関、社会福祉協議会、地域活動支援センターと幅広い関係者が参加し、それぞれの役割を「見える化」することの意味とともに、地域住民や企業を巻き込みインフォーマルなサービスを作り出していく実例などが語られました。

(講演資料)

「地域連携クリティカルパス」とは、急性期病院から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるような診療計画を作成し、治療を受ける全ての医療機関で共有して用いるものとして作成されます。診療にあたる複数の医療機関が、役割分担を含め、予め診療内容を患者に提示・説明することにより、患者が安心して医療を受けることができるようにするものです。対象とする傷病は、脳卒中、大腿骨頸部骨折、がんなどで、施設ごとの診療内容と治療経過、最終ゴール等を診療計画として明示します。回復期病院では、患者がどのような状態で転院してくるかを把握できるため、改めて状態を観察することなく、転院早々からリハビリを開始できるなど、医療連携体制に基づく地域完結型医療を具体的に実現するものです。

この「地域連携クリティカルパス」を参考に、「地域連携就労支援パス」を作るとどうなるでしょうか。「特別支援学校卒業時に一般就労できなかった者」や「精神科医療機関の利用者で直ちに一般就労を目指すのが難しい者」等が地域の就労支援機関を経て早期に一般就労できるような支援計画を作成し、支援に関わる全ての支援機関で共有して用いるものとなります。支援に関わる支援機関(就労支援、特別支援学校、医療機関等)が役割分担を含め、予め支援内容を利用者に提示・説明することにより、安心して一般就労に向けて取り組めるようにするものでしょう。内容としては、支援機関ごとの支援内容と支援経過、最終ゴール等を支援計画として明示します。これにより、地域で一般就労に向けた支援に関わる機関が明確となり、各機関が連携して対応することで、一般就労に着実に繋げる体制が構築されることになります。

こうした「地域連携就労支援パス」は、どのようにすれば作ることができるでしょうか。これまでネットワークづくりに取り組んできた地域の事例を見ると、以下の5つのステップで取り組むのが現実的だと思われます。

ステップ1:地域にある社会資源の洗い出し

就労支援機関(ハローワーク、就業・生活支援センター、就労移行支援・就労継続支援事業所等)だけでなく、働く障害者を支える生活支援機関(生活支援センター、グループホーム、社会福祉協議会等)、教育機関(特別支援学校等)、医療機関(精神科デイケア、保健所等)も含め、幅広く地域の状況を把握します。

ステップ2:それぞれに期待できる支援内容の確認

一般就労の支援について関心のある機関で集まり、制度上の位置づけに限らず、現実に提供できる支援内容を出し合い、参加機関全体で共有します。

ステップ3:一般就労に向けた「基本パス」の作成

上記を踏まえ、典型的なケースを想定して、一般就労に向けた流れに沿った各支援機関の役割、標準支援期間等を明記した「基本パス」を作成します。

(想定ケース例)

・特別支援学校卒業時点で就職できず訓練してからの就職を目指すケース

・一般就労を退職した者の再就職を目指すケース

・休職中で職場復帰を目指すケース

ステップ4:個別ケースのケーススタディによる検証

「基本パス」を参考に、個別のケースについてケーススタディを行い、各支援機関の役割の可能性と限界を確認し、「基本パス」を補足します。

ステップ5:実践での「個別パス」の作成と検証

一般就労に向けた実際のケースに即した「個別パス」を作成し、個別的な支援の運用を通じて問題点を把握・検証し、現実に即した効果的な支援方法を検討し、その経験を全体のノウハウとして蓄積していきます。この過程では、ニーズに即して新たなサービスやサービス提供者の開拓を図ります。

(個別パスに盛り込む事項例)

・一般就労に就職に向けた支援を担う機関と想定支援期間(複数の支援機関が同時に変わる場合は分担する役割を明示。経過とともに支援機関が変わる場合は移行のタイミングも明示)

・生活支援を担う機関(複数の支援機関が変わる場合は分担する役割を明示)

・支援機関の連携の機会(ケース会議等の開催)

(参考)「地域連携就労支援パス」の作り方