新着情報

厚生労働省が12月22日に発表した「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」によれば、法定雇用率2.5%が適用される教育委員会の実雇用率は2.34%となり、昨年の2.27%より0.07ポイント上昇しました。内訳を見ると、都道府県教育委員会は2.34%で作年より0.08ポイント上昇し、市町村教育委員会は2.35%で昨年より0.02ポイント上昇しています。法定雇用率が未達成なのは、都道府県教育委員会では16機関(全体の34.0%)、市町村教育委員会では15機関(全体の31.2%)で、前年に比べ都道府県教育委員会では5機関、市町村教育委員会では1機関減少しました。

都道府県等教育委員会の障害者雇用状況(令和5年 障害者雇用状況の集計結果)

都道府県教育委員会で法定雇用率が未達成な16機関を不足数の多い順に見ると、愛知県(288.0人)、東京都(274.5人)、兵庫県(203.0人)、大阪府(130.5人)、福岡県(119.0人)、沖縄県(81.0人)、静岡県(71.0人)、京都府(70.0人)、福島県(54.5人)、奈良県(44.5人)、長崎県(33.0人)、新潟県(29.0人)、宮崎県(23.5人)、青森県(21.5人)、北海道(11.0人)、島根県(1.0人)となっています。この16機関の前年からの不足数の増減を見ると、愛知県(−56.5人)、東京都(−48.0人)、兵庫県(−22.0人)、大阪府(−19.0人)、福岡県(−1.0人)、沖縄県(−3.5人)、静岡県(−36.0人)、京都府(−6.0人)、福島県(−21.0人)、奈良県(−10.5人)、長崎県(−3.0人)、新潟県(+1.0人)、宮崎県(+8.5人)、青森県(−18.0人)、北海道(−15.0人)島根県(−2.0人)となっており、障害者雇用数を増やす取組みにはかなりの温度差が見られます。

今後、令和6年4月と令和8年7月に法定雇用率が引き上げられ、教育事業に適用されている除外率も令和7年4月に引き下げられるため、教育委員会が雇用する必要がある障害者数は急速に増加していくことが見込まれ、現時点で法定雇用率を達成している教育委員会も含め、早急な対策が必要となっています。当ネットワークでは、11都府県市の教育委員会のご協力を得て「都道府県等教育委員会の障害者雇用事例」(令和5年10月)を取りまとめ公表していますので、こうした情報も参考にしていただければと思います。

「都道府県等教育委員会の障害者雇用事例」(令和5年10月)

 

 

 

厚生労働省は、令和5年12月22日に民間企業や公的機関などにおける、令和5年の「障害者雇用状況」集計結果を取りまとめ、公表しました。障害者雇用促進法では、事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇うことを義務付けています。今回の集計結果は、同法に基づき、毎年6月1日現在の身体障害者、知的障害者、精神障害者の雇用状況について、障害者の雇用義務のある事業主などに報告を求め、それを集計したものです。

【公的機関】(法定雇用率2.6%、都道府県などの教育委員会は2.5%)

○雇用障害者数、実雇用率ともに対前年で上回る。※( )は前年の値
・  国  :雇用障害者数 9,940.0人(9,703.0人)、実雇用率 2.92%(2.85%)
・都 道 府 県:雇用障害者数 1万627.5人(1万409.0人)、実雇用率 2.96%(2.86%)
・市 町   村:雇用障害者数 3万5,611.5人(3万4,535.5人)、実雇用率2.63%(2.57%)
・教育委員会:雇用障害者数 1万6,999.0人(1万6,501.0人)、実雇用率2.34%(2.27%)

【独立行政法人など】(法定雇用率2.6%)

○雇用障害者数、実雇用率ともに対前年で上回る。※( )は前年の値
・雇用障害者数 1万2,879.5人(1万2,420.5人)、実雇用率 2.76%(2.72%)

(資料)令和5年障害者雇用状況調査の集計結果

当ネットワークの岡山弘美さんが所属されていた奈良県立医科大学の障害者雇用の取り組みについて、東洋経済ONLINEで紹介されました。

「障害者雇用「5人→10年で33人」奈良医大の大改革」

奈々県立医科大学の取り組みは、これまでも当ホームページでも度々紹介してきましたが、中心となって活躍されてきた岡山さんは、2022年からは同大学のベンチャー認定企業MBTジョブレオーネの代表取締役に就任され、以来、大学から業務委託を受けているそうです。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の発行する月刊誌「働く広場」の2023年12月号の「職場ルポ」において、当ネットワークメンバーの呼子修一さんと仲西千絵さんの所属されている特定医療法人財団博愛会の取り組みが「医療・介護の現場を支える“ケアメイト”」と題して紹介されました。

「働く広場」2023年12月号

博愛会の運営する博愛会病院の取組みは、これまでも何度か当ネットワークホームページで紹介してきましたが、これまでの経緯を含む障害者雇用の取組みの全体像が理解できる記事となっていますので、是非、ご覧いただければと思います。

なお、令和6年3月13日には、博愛会の皆様のご協力の下に、当ネットワークと福岡障害者職業センターの共催で医療機関の障害者雇用に関するセミナーを福岡市で開催する予定です。博愛会病院の取り組みについても紹介いただきますので、是非、多くの医療機関の皆さんに参加いただければと思います。詳細は1月にこのホームページでご案内します。なお、参加費は無料です。

令和5年12月22日に「令和6年度予算政府案」が閣議決定されました。このうち職業安定局の「障害者の就労促進」関係の予算概要は以下のとおりです。

令和6年度厚生労働省所管予算案(障害者の収録促進)

国の機関の職員に対する障害者の職場適応支援者養成セミナーの大阪での令和5年度第2回目が、11月28日から4日間の予定でドーンセンター(大阪市)で開催されました。セミナーには、国の7機関から8名が参加されました。今回も受講者は少数でしたが、初日の午前中の講義で4名から質問が出るなど、研修に前向きに取り組む姿勢が感じられました。定型的な業務を障害者の業務とすることの適否、障害のことを職場でどこまで共有すべきか、職場実習受入れと守秘義務との関係、テレワークを進める際の注意事項など、実際に障害者雇用を進める中で検討が必要になってきた質問が増えている印象です。平成30年夏の公務部門の雇用率不適切算定問題から5年が経過し、国機関での障害者雇用の経験も年数を重ねてきましたが、そこから得られる経験知を雇用の質の向上に繋げていくことを期待しています。

(講演資料)

「公的部門における職場適応支援者の役割①~働き方改革に資する障害者雇用の進め方~」「公的部門における職場適応支援者の役割②~公務部門での障害者雇用事例に学ぶ~」

「文部科学省サポートオフィス」

東京都福祉局が特定非営利活動法人WEL’Sに委託している「就労支援機関連携スキル向上事業」の「マッチングスキル等向上研修」のプログラムのうち、11月24日と27日に行われた演習に企業トレーナーとして参加しました。この研修では、発達障害のある者が採用面接を受けるのに際し、就労支援機関が利用者と企業からアセスメントを行い、企業にどのように説明するかをロールプレイで試します。演習は4〜5人のグループに分かれ、それぞれに福祉トレーナーと企業トレーナーが配置され、福祉トレーナーは自己理解の乏しい発達障害のある利用者役、企業トレーナーは障害者雇用経験の少ない企業の人事担当者役を演じます。採用面接のロールプレイでは、企業側が何を求めているかのニーズを踏まえ、利用者の強みや合理的配慮の説明、職域提案を行い、それに対してトレーナーからフィードバックを行うことで、マッチングスキルの向上を目指します。受講者の中には企業の人事担当者と話す機会の少なかった者も多く、企業側の視点は新鮮に感じられたようです。企業としても、支援機関に企業の視点を知ってもらうことは大変意味があると考えているので、こうした研修が全国に広がることを期待しています。

本年4月号で当ネットワークのことを紹介いただいたメンタルヘルスマガジン「こころの元気+」を発行している認定NPO法人地域精神保健福祉機構(コンボ)では、精神疾患を経験した人たちだけで自分達の体験と感覚をベースに精神疾患について書いた「生きづらさをひも解く 私たちの精神疾患」(YPS横浜ピアスタッフ協会、NPO法人コンボ、薩山正子編著)を発行しました。精神疾患について書かれた本は、医師の視点で書かれたものがほとんどですが、この本は体験者の立場で精神疾患を総体的に捉えて論じたもので、多くの重要な気づきが得られる内容が含まれています。結果として現れる「症状」ではなく、その背景にある「生きづらさ」に目を向け、「いい感じの自分」でいられるよう自己決定していくことの意義を分かりやすく語っています。精神障害のある人たちは医療機関の雇用現場でも増えていますが、医療や福祉の側の視点ではなく、体験者の視点について知ることは、安定的な雇用を実現する上でも意味があるでしょう。

(本の紹介)「生きづらさをひも解く 私たちの精神疾患」

都道府県等の教育委員会の障害者雇用担当者の皆さんから伺った内容を整理した「都道府県等教育委員会の障害者雇用事例」について、東京都教育委員会から各道府県教育委員会事務局の障害者雇用担当課長宛に情報提供いただきました。

「都道府県等教育委員会の障害者雇用事例」

雇用事例としては、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、鳥取県、高知県、熊本県、札幌市、川崎市、大阪市の11都府県市の障害者雇用事例が紹介されています。

教育委員会では、来年度からの法定雇用率の引上げと教育事業の除外率の引下げを直前に控え、障害者雇用の充実を図ることが急務となっています。教育委員会という業務の共通性が高い職場での雇用事例は、他の教育委員会でも具体的な業務内容をイメージできるため、障害者雇用の促進につながりやすいと思われます。

作成に協力いただくとともに、情報提供にご理解いただいた教育委員会の皆様には心から感謝いたします。

「医療機関の障害者雇用ネットワーク」では、これまで病院の経営者や看護部門向けに障害者雇用の啓発資料を提供してきましたが、最近では薬剤部門での障害者雇用の職域開発が進んできたことを踏まえ、新たに薬剤業務での障害者雇用の職域例や障害者雇用のメリットなどについて紹介する資料を作成しました。

是非、薬剤部長にもご覧いただき、新たな障害者雇用の可能性について院内で検討いただければ幸いです。

「薬剤業務での障害者雇用〜タスクシフトで効率アップ〜」