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第1話でも紹介した兵庫県にある公立病院は、NICUがある地域の小児医療の基幹病院なので、乳児も多く入院しています。ミルクは作り置きができず、授乳のたびに哺乳瓶を換える必要があるため、哺乳瓶の使用量も非常に多いそうです。

以前は哺乳瓶の洗浄を外注していましたが、機械洗浄のため、手作業による洗浄に比べて細かい部分まで十分洗浄しきれないといった問題もありました。手洗いは手間がかかる一方、定型的な作業であることから、障害のあるスタッフへの業務移行を試してみたところ、機械洗浄よりもきれいになることが確認されたため、業務を完全に移行しました。

業務開始に際しては、栄養管理室の技師長が作業の仕方を具体的に分かりやすく説明したこともあって、丁寧にテキパキと作業できているそうです。そのことで、病棟のスタッフからも大変喜ばれていますが。何よりスタッフ自身が、自分たちが病院運営に貢献できていることをとても喜んでいるそうです。

授乳は365日必要なため年末年始も休みはなく、現在は3人のスタッフがローテーションを組んで作業をしています。年末年始や大型連休の時などは、3人が自分たちで都合を調整してシフトを報告しているそうです。

都道府県教育委員会の障害者雇用については、法定雇用率が公的機関一般に比べて0.1ポイント低い2.5%に設定されていることに加え、教育事業には雇用必要数を計算するにあたり一部の職員を除く除外率制度が適用されるなど、緩和措置が講じられています。それにもかかわらず、法定雇用率を達成できていない教育委員会も多く、令和4年6月時点の都道府県教育委員会の実雇用率は2.26%で、47機関中21機関が法定雇用率未達成という状況です。

こうした厳しい状況の中、教育委員会に適用される法定雇用率は、令和6年4月に2.7%、令和8年7月には2.9%に引き上げられ、除外率も令和7年4月に10ポイント引き下げられることが決まりました。教育委員会は職員数が多いため、今回の見直しで新たに雇用が必要となる障害者の数は相当な規模になります。これまでの延長の対策では対応が難しいため、各教育委員会では対応に苦慮されています。

共通の悩みを抱える教育委委員会の皆さんが、障害者雇用に関する情報やノウハウを共有して、自らの取り組みに活かそうと、情報交換するためのネットワークもできています。現在、先進的な8都府県(埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、鳥取、愛媛、熊本)の教育委員会の皆さんが参加し、それぞれの取り組みを共有するとともに、相互に情報交換できるよう担当者の連絡先を共有(非公開)しています。

「都道府県教育委員会の障害者雇用事例」(7都府県の事例)

ネットワークに参加を希望される教育委員会の皆さんは、以下の「公務部門の障害者雇用情報サイト」のアドレスまでご連絡ください。みなさんの知恵を集めて「教職員の働き方改革に資する障害者雇用」を進めていきましょう。

(参加申込先)mediem.net@gmail.com

 

障害者欠格条項をなくす会事務局長の臼井久実子さんが編者の「障害のある人の欠格条項ってなんだろう?Q&A」(解放出版社・定価1,500円)が今月出版されることになりました。同書の執筆者には、医師、看護師、薬剤師、診療放射線技師、精神保健福祉士など様々な医療従事者も含まれ、医療現場で工夫しながら働かれている姿も伝わってきます。同書では、医師等の欠格条項が見直されてきた経緯とともに、障害がありながら働く事例情報として、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の運営する「障害者雇用事例リファレンスサービス」とともに、当ネットワークの関連サイトである「夢をつなぐDoctor’s Network」のホームページも紹介されました。医療職に関する欠格条項が見直されてきた背景や当事者の皆さんの思いを知る上でも、参考になる1冊です。

(チラシ)「障害のある人の欠格条項ってなんだろう?Q&A」

なお、5月29日に「障害のある人の欠格条項ってなんだろうQ&A 出版記念イベント」がZoomによるオンライン方式で開催されます(参加費無料)。申し込みは以下のチラシを参照ください。

(チラシ)「障害のある人の欠格条項ってなんだろうQ&A 出版記念イベント

 

「医療機関の障害者雇用ネットワーク」は平成27年4月に発足し、同年6月にはホームページを開設し、医療機関の皆さんが障害者雇用を進める上で役立てていただける情報の提供を開始しました。当時、いち早く当ネットワークの趣旨に賛同いただいた一般社団法人日本病院会では、会員各病院に対して当ネットワークのホームページをご紹介いただきました。

それから8年近く経ちましたが、今般、障害者雇用率制度が見直され、法定雇用率の引き上げと除外率の引き下げにより厳しい対応が迫られる医療機関も多い中、医療機関の皆さんに役立つ情報を提供している当ネットワークのホームページについて、改めて日本病院会のホームページで紹介いただきました。

認定NPO法人地域精神保健福祉機構(コンボ)が毎月発行している「こころの元気+」は、統合失調症、うつ病、双極性障害、発達障害などをもつ方(ご本人)・ご家族・支援者・医療関係者向けの情報誌で、2007年の創刊以来、信頼できる情報を幅広く提供しているメンタルヘルスマガジンです。精神科のクリニックの待合室などに置かれていることもあるので、ご覧になった方もいるかと思います。

「こころの元気+」では、毎月の特集を組んでいますが、2023年4月号では「働くことのハテナ」を特集として取り上げ、編集部からの依頼で「医療機関の障害者雇用ネットワークって何?」という記事を執筆しました。

(掲載記事)「医療機関の障害者雇用ネットワークって何?」

障害者の雇用率制度が見直され、法定雇用率は現行の2.3%から令和6年4月には2.5%に引き上げられ、更に令和8年7月には2.7%に引き上げられることになりました。一方、医療機関に適用されている除外率は、令和7年4月に現行の30%から20%に引き下げられることになりました。医療機関とっては、法定雇用率の引上げと除外率の引き下げというダブルパンチの影響で、今後3年間は大変厳しい状況に置かれます。

法定雇用率の達成は法的義務であるため、未達成の場合はハローワークからの指導を受けることになります。実際に病院で障害者雇用を進めるにあたっては、事務職だけで進めようとするのではなく、医療職を含む院内職員が障害者雇用を進めることの意義を理解することが必要です。その際には、法的な義務というコンプライアンスの観点よりも、医療職の「働き方改革」に資するという視点が受け入れやすい面があります。

職員向けに説明を行う際には、当ネットワークが医療機関向けの研修等で使用している資料が参考になると思いますので、ご紹介します。

(説明資料)「病院での障害者雇用の進め方〜働き方改革に資する障害者雇用〜」

「障害の社会モデル」は、「障害」は、社会(モノ、環境、人的環境等)と心身機能の障害があいまってつくりだされるものと理解し、個人の側に特別な努力を求めるのではなく、ハード・ソフトの環境を整えることにより、個人の能力を十分発揮できるようにすることを目指す考え方です。

「障害の社会モデル」の考え方は、2006 年 に国連総会において採択された「障害者の権利に関する条約」で示され、日本も 2014 年にこの条約を批准しています。2016 年 4 月から施行された「障害者差別解消法」や改正後の「障害者雇用促進法」でも、この考え方に基づき、国・ 地方公共団体・事業者に対して、不当な差別的扱いの禁止や合理的配慮の提供を求めています。

「障害の社会モデル」について理解するのには、知識として学ぶだけでなく「少数派」の体験をすることが効果的だと思われます。少数派の体験をすることで、多数派の発想で作られている製品・サービス・制度といった「環境」の側の問題が見えてくるからです。

こうしたことを目指す取組の一つとして、公益財団法人日本ケアフィット共育機構では「バリアフルレストラン」の体験プログラムを実施していますが、2023年3月24日〜25日の2日間、川崎市主催のイベントが川崎アゼリアで開催される機会に体験してきました。

川崎市ホームページでの紹介記事

「バリアフルレストラン」は、車いすユーザーが多数派となる架空社会にあるレストランに「二足歩行者」という障害を有する者が客として来店することで感じる違和感から、「障害」とは何かについて考えるきっかけが得られるものです。1組6人による30分の体験プログラムですが、レストラン内は車いすユーザーに最適化されており、天井は低く、椅子も置かれていない中で、「二足歩行者=障害者」が頭をぶつけたり腰を痛めたりしないように、行政の補助で僅かな数のヘルメットや椅子が用意されています。

「二足歩行者も使えるように最初から天井を高くすれば良いのに」と感じさせる中で、「多数派」という同じ価値観の人たちだけで決めた仕組みに少数派を適応させるような配慮ではなく、多様な人の参加で誰もが取り残されない仕組みを最初から作ることの大切さの理解に誘うプログラムでした。車いすユーザーの皆さんの演技も真実味があり、日頃感じていることを伝えてくれようとする細部の表現は、とても心に響く内容でした。

「バリアフルレストラン」の開催は、現在は自治体のイベントなどでの不定期の開催ですが、こうした体感の機会が増えれば、共生社会に向けた取組も進むと思います。

川崎市の「かわさきパラムーブメント」のホームページでは、「バリアフルレストラン」のイメージの動画を公開していますので、ご覧いただければと思います。川崎市のような取り組みが、他の自治体にも広まっていくことを期待しています。

「ようこそ、バリアCAFEへ〜二足歩行者ウォーカーの体験」