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東京都福祉局が特定非営利活動法人WEL’Sに委託している「就労支援機関連携スキル向上事業」の「マッチングスキル等向上研修」のプログラムのうち、10月30日に練馬区立区民・産業プラザ(東京都練馬区)で行われた演習に企業トレーナーとして参加しました。この研修では、発達障害のある者が採用面接を受けるのに際し、就労支援機関が利用者と企業からアセスメントを行い、企業にどのように説明するかをロールプレイで試します。研修には、障害者就労移行支援事業所や区市町村障害者就労支援センターなどから20 人が受講者として参加したほか、就労支援機関等からは福祉トレーナーとして、特例子会社など障害者雇用企業からは企業トレーナーとして、延べ20人近くが参加しました。

研修の最後に行われた企業トレーナーの立場での総括として、マッチングは既存業務への適性を探るだけではなく、業務を実施しやすくするための再編成を含んでおり、その面では支援機関の役割が重要であることを伝えました。また、雇用する側としては同業種でどのような業務を障害者が実施しているのかも知りたいので、業種という視点での好事例を提供すると良いことを指摘しました。このような経験を通じて医療業に詳しい支援機関が出てくれば、医療機関の雇用環境も改善されることでしょう。

独立行政法人国立病院機構(NHO)では、全国に140ある国立病院の事務部長会議を令和7年10月24日にオンラインで開催し、各部門からの数多くの伝達事項に先立ち、障害者雇用についての特別講演が行われました。会議の冒頭で行われた副理事長の日原知己さんの挨拶の中では、障害者雇用にNHO全体として積極的に取り組む姿勢が示されるとともに、障害者雇用が病院経営にとってもメリットのあることに触れられました。その後、当ネットワーク代表の依田から「NHO病院における障害者雇用の進め方」をテーマに30分講演をさせていただきました。他の多くの病院と同様に、NHO病院でも「これまで身体障害者を中心に雇用してきた」「もっぱら事務部門で雇用しており医療部門の雇用が進んでいない」といった課題があります。障害者雇用を病院経営上のメリットにするためにも、診療報酬という収入を生み出す医療部門において、医療職のタスクシフトを障害者雇用が担う発想が必要です。HNO病院の中でも、まつもと医療センター(長野県松本市)のように、集中配置型で医療部門から仕事を受注し、医療職からも感謝されている事例も出てきました。こうしたグループ内の取り組みを共有するとともに、各病院の障害者雇用を進めやすくする環境整備を本部が進めていけば、NHOの障害者雇用は本格的なものになっていくことでしょう。

現在、医療機関は大変厳しい経営環境にあるため、本部から事務部長に伝達すべき重要事項は数多くあると思われますが、そうした中で障害者雇用についての特別講演の時間を捻出されたNHO本部の見識には、敬意を表させていただきます。

(講演資料)「NHO病院における障害者雇用の進め方」

静岡県東部発達障害者支援センターアスク(静岡県沼津市)では、静岡県及び東部地域の市町など行政機関(教育委員会含む)の人事総務担当者等を対象とした研修会を、令和7年10月15日に沼津市内のプラサヴェルデで開催しました。研修会には、静岡県ほか8市4町から19名が参加されたほか、地域の支援機関からも9名ほどが参加されました。研修会の冒頭では、静岡県労働局職業安定部職業対策課障害者雇用担当官の横地友貴さんが行政説明を行った後に、医療機関の障害者雇用ネットワーク代表で公務部門における障害者雇用情報サイト運営代表の依田が「地方自治体における障害者雇用の進め方」をテーマに1時間講演しました。その後、参加者は4つのグループに分かれて、それぞれの障害者雇用の取組について報告し合うとともに、雇用管理上の課題や職場内外の必要なサポートについてディスカッションが行われました。グループ内の議論を聞くと、採用募集しても応募者がない、現場は普通に仕事ができる人を求める、業務の切り出し方が分からない、現場も手一杯で障害者を支援する余裕はないといった現場ならではの悩みが多く語られ、それらについて熱心な意見交換が行われていました。公的機関では守秘義務の意識が高いため、民間の事業者と意見交換することは躊躇されがちですが、今回のように参加者が公的機関に限られていると、率直な意見交換もしやすいようでした。参加者の満足度も高かったようなので、今後ともこうした情報交換の機会が設けられることを期待したいです。

(資料)「地方自治体における障害者雇用の進め方」

令和7年10月7日放送のNHK NEWS「おはよう日本」で、国立病院機構の運営するまつもと医療センター(長野県松本市)の障害者雇用の取り組みが紹介されました。同病院では、令和6年5月に「業務サポートセンター」を設置し、現在では障害のある職員4名が看護部など院内から発注された20種類を超える業務を実施しており、専門職等からも評価されているとのことです。

NHK ONEで1週間はご覧いただけますので、視聴される方はお早めにご覧ください。

大阪労働局が実施した「医療機関向け 障害者雇用の進め方セミナー」において、当ネットワーク代表の依田が行った講演の動画配信については、7月1日から9月30日までの期間限定での公開となっていましたが、3か月間で700件を超える視聴があるなど、多くの医療機関の皆さんに関心を持っていただけたようです。このため、大阪労働局では公開期間を令和8年3月31日まで延長することになりましたので、改めてお知らせします。動画を院内で視聴することで、事務部門だけでなく経営幹部や医療職の理解を深めることができますので、是非、ご活用ください。お知り合いの医療機関にもお伝えいただければと思います。
■視聴方法  ・ 事前申込は不要です。
     ・ 動画視聴は下記のアドレスまたは二次元バーコードからご覧下さい。
     ・ 動画スライド資料は、YouTubeの概要欄のリンク先からダウンロードできます
■視聴期間 令和7年10月1日(水)~令和8年3月31日(火)まで
■YouTubeチャンネル(大阪労働局)
(講演スライド)
(医療機関向け案内チラシ)

病院での障害者雇用の状況を見ると、事務部門の業務にしか従事させていない病院も多いようです。しかしながら、事務部門の業務だけだと業務量にも限界があるため、障害者の雇用数を増やしていくには、医療部門に業務を広げていくことが不可避となります。医療部門には障害者雇用に適した定型的な業務が豊富にあり、それらの業務をタスクシフトすることで医療職の皆さんも助かることから、医療部門への業務拡大を前向きに考える病院も増えてきました。

一方で、医療部門への業務拡大に抵抗感を持たれる現場も少なからずあります。理由として言われるのは、「患者さんに何かあったらどうするのか」「障害者に任せられる仕事はない」「常に側についている余裕はない」など様々ですが、根底にあるのは障害者のことを知らないことから生じる「不安感」のようです。

関東地方にある公的病院グループでは、こうした状況を打開する一つの方策として、特別支援学校の現場実習(インターンシップ)を病院に勧めています。高等部2年生の実習は採用を前提としていないこともあり、病院の社会貢献の一環という説明だと、現場も受け入れやすいようです。実際に実習を受け入れてみると、障害のある生徒が真面目に働く姿を見て、「こういう人なら一緒に働いてもらっても良いのでは」と、むしろ前向きに考えてくれる医療職も多いようです。

職場実習には、採用の可否を判断するために職場や仕事とのマッチングを確認するという面がありますが、それに加えて、医療現場の職員の障害者雇用に対するイメージ改善にも活用できることが分かります。

 

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が実施している、日本看護協会の認定看護管理者教育課程サードレベルの研修が開講され、JCHO病院16病院のほか労災病院、大学病院、県立・市立病院、民間病院、訪問看護リハビリステーション6病院等から計25名が受講しました。研修は対面とオンラインの組み合わせで実施され、「組織デザインと組織経営」の単元では「働き方改革に資する障害者雇用」をテーマに3時間の講義が令和7年9月9日にオンラインで行われました。

前半の講義では「健康経営」と「ストレスチェック」の切り口から、看護管理者として「働きやすい職場づくり」に目を向ける視点に焦点を当てました。自らの職場の健康経営に看護職がどう係るか、ストレスチェックの集団分析の見方など、看護管理者として認識しておくべき点を説明しました。講義の中では、自閉症スペクトラム(ASD)の特性のある当事者のメッセージ動画を放映し、障害の特性と合理的配慮について説明しました。

後半のグループワークでは「『働き方改革に資する障害者雇用』を看護部門で進めるとしたらどのような業務を切り出せば、看護職が助かるか」と「自閉症スペクトラム(ASD)傾向のある看護職の適性に合う仕事は何か」の2つのテーマについて、5つのグルーで意見交換しました。

テーマ1では、自院で障害のあるスタッフが担当している業務を中心に情報共有がされ、事務部門のみで看護部門では事例がない病院も多い印象でした。現状では、1人で仕事を任せられない、支援者とセットで働かないと難しいといった意見もありました。こうしたことは、採用の方法にもよるもので、業務を先に切り出してから、その業務への適性を職場実習で確認できた者を採用すれば、現状の問題の多くは避けられた可能性が高いこともお話ししました。

テーマ2では、発達障害の診断の有無に関わらず対応に悩まれた経験は、受講者の皆さんも多かれ少なかれあるようでした。看護師としての通常の業務が難しい人の対応について検討した結果、急性期病棟から慢性期病棟に異動して安定して働けている事例や、手術室、内視鏡室、透析室、化学療法室など、患者さんとのコミュニケーションが少なく、決まった手順で行われる業務であって、周囲に他のスタッフがいて、専門性が高くモチベーションが維持できる職場だと、比較的安定して働けているという認識が共有されました。

法定雇用率の引上げに加え、特に本年4月の除外率の引下げにより、これまで法定雇用率を満たしていた病院でも、雇用率が未達成になるところもあるでしょう。法人本部から病院に対して、障害者雇用の受け入れを求める機会も増えることでしょう。その際、看護管理者が障害者雇用を自分たちの「働き方改革」の機会と前向きに考えれば、「働きやすい職づくり」に繋がっていくことでしょう。こうした視点を、研修受講者がそれぞれの病院に持ち帰っていただくことを期待しています。

(資料)「組織デザインと組織経営」

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)は全国で57病院を運営していますが、本部が主導する形で各病院の障害者雇用を進める取り組みを進めています。その一環として、令和7年9月3日(水)には、全国の57病院を対象にした「障害者雇用に関するオンライン研修会」が開催されました。研修会の冒頭では、JCHO理事の衣笠秀一さんから研修会の趣旨について説明があり、その後に当ネットワーク代表の依田から「JCHOにおける障害者雇用の進め方」をテーマに約40分講演を行いました。講演では、JCHO本部が病院を対象に行ったアンケート調査で寄せられた、障害者雇用を進める上での課題を中心に、基本的な考え方や具体的な対応策について説明しました。また、障害者雇用が医療職の「働き方改革」に貢献することについて、実際に病院で障害者が従事している多様な業務例をもとに紹介するとともに、障害者雇用を本格的に進める際には院内ジョブコーチの配置が効果的であることを伝えました。

講演の受講者は事務部門が中心でしたが、病院によっては院長、看護部長、薬剤部長などの医療職も受講されたようです。病院を訪問して病院幹部にお話をすると、特に医療職の皆さんから「目からうろこだった。これからは自分の部署でも障害者雇用を前向きに考えてみたい」といったご意見を多く伺います。今回の講演は録画されてアーカイブ配信されるので、院内で医療職の幹部で視聴する機会を作っていただくことを、講演の最後にお勧めしました。

講演後には、JCHO本部人事課長の関和彦さんから、JCHOにおける障害者雇用の現状と、JCHO病院の現場の課題と対応策等について説明がありました。病院現場のアンケートを踏まえ、病院の抱える課題に対し本部として丁寧に応えていこうとされている姿勢が伺え、今後のJCHO病院の障害者雇用の進展が期待される内容でした。

(講演資料)「JCHOにおける障害者雇用の進め方」

「都道府県等教育委員会の障害者雇用事例」の令和7年度版を公開しました。この事例集は、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・大阪府・鳥取県・高知県・熊本県・札幌市・川崎市・大阪市の11県市の教育委員会のご協力を得て、教育委員会の障害者雇用の取り組みについてご紹介しているものです。教育委員会では、法定雇用率の引き上げと合わせて、除外率の引き下げもあり、雇用不足数が増加しているところも多く、他の教育委員会での取り組みを参考にしたいとの意見をいただいています。そうした中で、自らの取り組みを開示いただいた教育委員会には感謝いたします。公務部門は情報共有があまり進んでいないのが現状ですが、それぞれの取り組みの工夫事例を共有して、障害者雇用の質を向上させていく上でも、こうした情報共有の機会は貴重なものと言えます。

「都道府県等教育委員会の障害者雇用事例」(令和7年8月)

千葉県にある船橋市立リハビリテーション病院には、事務部で事務職として働いている精神障害者のほか、ケアワーカー部門で「アテンダント」として働いている精神障害者が3人います。アテンダントの業務の切り出しや業務指示は、ケアワーカー部門の部門長が行なっています。部門長は他の業務も抱えているため、アテンダントとは日常的にはピッチ(院内携帯電話)でやり取りをしているほか、業務内容を予め印刷してある「デイリースケジュール」を毎日アテンダントから提出してもらうことで、部門長からコメントを返したり、必要に応じて面談を行なうようにしています。アテンダントの業務としては、入浴介助時にスタッフが着用する入浴着の洗濯や入院患者ごとのオムツの定数補充など多岐に渡る様々な業務を院内から切り出しており、3人のアテンダントが得意な業務を中心に分担しています。3人のうち誰かが急に休んだ際には、仕事に穴を開けないような工夫もしています。具体的には、自分の担当業務以外もできるように予め練習しておくとともに、各人の担当業務の中に「期限が特にない業務」を組み込むことで、手持ち無沙汰にならないようにするとともに、急な代行業務にも対応できるようにしています。精神障害者の雇用では、就労の不安定さから「当てにならない」と評価されることもありますが、こうした工夫をすることにより、院内スタッフから期待を寄せられることも多く、就労の安定性が確保できているようです。