徳島県にあるホウエツ病院では、障害のある職員に新たな業務を担当してもらう際には、ジョブコーチを兼ねた事務局長がその業務を実際に行なった上で、障害のある職員にも理解しやすいよう、作業工程ごとのポイントを示したマニュアルを作成しています。当初は文字だけのマニュアルでしたが、分かりやすくするために、次第に写真を多く入れていきました。そのうちに、障害のある職員の側から、「これを作業する時にいつも持って行くことができれば、その場で見てちゃんとできているか自分で確認できる」と提案があったそうです。この提案を受けた事務局長は、持ち運びに便利なようにマニュアルを何枚かのカードに分割してリングで閉じ、首から下げた紐に付けることで、常に携帯できるようにしました。今では、障害のある職員が従事する全ての業務(約30種類)について、それぞれカード式のマニュアルが作成されていて、作業に行く際にはそれを受け取って首から吊り下げ、作業が終わって戻ってきた時に返却してもらうようにしています。マニュアルを見なくても仕事が確実にできるようになった段階で、マニュアルは使われなくなりますが、手順が曖昧になった時には再び利用されることもあります。こうしたマニュアルがあると、職場実習を受け入れる際や新たな職員が採用された際にも、とても役立っているようです。