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愛媛県の南予地域就労支援ネットワーク連絡会の主催で、「公的機関での障害者雇用についての交流会」がオンライン形式で2月18日に開催され、愛媛県知事部局(えひめチャレンジオフィスを含む)・教育委員会・公営企業管理局、市役所・市教育委員会・市病院局などを中心に40名ほどが参加されました。

愛媛労働局職業安定部職業対策課地方障害者雇用担当官の猪熊瑞枝さんの挨拶の後、話題提供として当ネットワーク代表の依田から「発達障害・業務切り出し」についてお話しし、発達障害の特性から生じる職場での苦労や、発達障害のある職員が能力を発揮しやすい工夫について説明するとともに、現場で生じることがある事例への対応について紹介しました。合わせて、事前に質問が出ていた公務部門での事務補助業務の切り出し事例や、公立病院での医療系の補助業務の切り出し事例について紹介しました。

その後の80分ほどの意見交換では、地方公共団体の各機関の皆さんから、障害者雇用の現状や課題についての報告があり、話題提供者や就労支援機関を交えた活発な意見が交わされました。2021年度からスタートした交流会も5年目となりましたが、この間に職場実習を取り入れたり、集合型の配置を行う機関も出てきました。こうした先行事例が先導する形で、地域の公的機関の障害者雇用が進んでいくことが期待されます。

(資料)「話題提供:発達障害・業務切り出し」

 

気象庁で毎年度開催している「障害に関する理解の促進・啓発のための研修会」が令和7年2月17日に開催され、「発達障害について学ぼう」をテーマにお話ししました。この研修会はオンラインで開催され、本庁のほか全国の管区気象台や地方気象台に勤務されている職員も受講されています。

発達障害のある人は、国の機関でも多く雇用されるようになってきましたが、外見では分かりくいため、どのように対応して良いかわからず、現場で対応に苦労されている話も伺います。そのため今回の研修では、発達障害とはどういう障害なのか、どのようにすれば職場で能力を発揮してもらえるのかについて、発達障害のある方自身の動画メッセージも紹介しながら、できるだけ分かりやすくお伝えするようにしました。

その際には、発達障害の特性というのは、実は、誰もが多かれ少なかれ持っていて、決して特別なものではないことを説明し、障害者雇用だけではなく、職員の皆さん自身の自己理解や家族や友人との関係を円滑にすることにも繋がることをお伝えしました。

研修の最後には、誰もが様々な特性や課題を有していて、そうした多様性に溢れたメンバーが、それぞれの強みを活かし、不足している部分は補い合うことで、職場全体のパフォーマンスが向上すること、そうすればメンバーそれぞれが自分の役割に自信を持ち、お互いに感謝し合う「健康的な職場」にしていけることを説明しました。

(講演資料)「発達障害について学ぼう」

都内にある公的病院では、地元の特別支援学校の普通科から知的障害のある生徒を複数名採用しています。勤務状態も大変真面目で、現場の師長さんたちからも「こつこつと続けていると間違わずにできるようになり、安心して仕事を任せることができる」と評価されているそうです。

良い人材を送り出してくれていることへのお礼も兼ねて、人事担当者とジョブコーチが学校を訪問した際、高等部の生徒達から「おはようございます」「こんにちは」「失礼します」と元気よく礼儀正しい挨拶が次々にありました。この姿を見て病院のジョブコーチは、「病院でも気持ちよく挨拶できているのは、学校でこうして指導してくれているからなのですね」と、感激した表情で案内してくれた進路担当の先生に伝えました。進路担当の先生によれば、「普通科の生徒は、素直で正直で、休まずに働けるのが強みです」とのことです。

学校に行くことを卒業生である職員に前もって伝えた際、恩師に会いたい気持ちを話しつつも、「でも僕は行けません、やっぱり仕事が優先ですから」とキッパリと言ったそうです。働く職業人としての自覚がしっかりと身についていることを感じ、ジョブコーチも頼もしく思ったそうです。

国の機関の職員に対する障害者の職場適応支援者養成セミナーの東京での令和6年度第2回目が、1月20日から4日間の予定でオンラインで開催されました。セミナーには、国の8機関から17名が参加されました。

研修の志望動機を伺うと、すでに障害のある職員の支援担当をされている中で実践的なスキルを身につけたいという方や、今後、障害者の就労支援に当たることが予想されるため必要な知識・対応方法などを習得したいという方など、様々です。また、多くの職員を研修に送り出している機関がある一方で、ほとんど研修に参加していない機関もあるなど、国の機関の取り組みにも差があるのは気になります。4日間という豊富な内容の研修であり、今年度からはオンラインで受講できるように利便性も向上したので、できるだけ多くの職員が参加されるよう、国機関にも配慮いただければと思います。

(講演資料)

「公的部門における職場適応支援者の役割①~働き方改革に資する障害者雇用の進め方~」「公的部門における職場適応支援者の役割②~公務部門での障害者雇用事例に学ぶ~」

東京都福祉局が特定非営利活動法人WEL’Sに委託している就労支援機関連携スキル向上事業の「マッチングスキル等向上研修【実践コース】」の演習に、1月7日と14日の2日間、企業トレーナーとして参加しました。

この研修では、発達障害のある者が採用面接を受けるのに際し、就労支援機関が利用者と企業からアセスメントを行い、企業にどのように説明するかをロールプレイで試します。演習は5人ほどのグループに分かれ、それぞれに福祉トレーナーと企業トレーナーが配置され、福祉トレーナーは自己理解の乏しい発達障害のある利用者役、企業トレーナーは障害者雇用経験の少ない企業の人事担当者役を演じます。

演習後の講評では、できないことを補う配慮(例えば、障害特性のためPC入力や封入のダブルチェックが必要なこと)を企業に求めるのではなく、強みを発揮できる業務を企業見学や企業担当者との会話の中から見出し、それを実習で確認してもらうよう提案することが、企業側に受け入れやすいことを指摘しました。

一方で、実習前にできると言われたことが実習でできないと、正直に問題を伝えてくれなかったと信頼感を損なう結果にもなりますが、実習前に「訓練ではできているが、指導体制や環境が異なる現実の職場でもできるか実習で確認してもらいたい」と説明されていれば、仮にできない場合でも納得感が得やすいことを伝えました。

さらに、企業が想定している業務以外にも、能力を発揮しやすい業務を実習業務に追加しておくと、想定業務ができなかった場合にも受け入れ可能な業務が見出せる可能性があることを指摘しました。障害者雇用の人材確保が難しい中、企業側で想定した業務ではなくても、適性がマッチする業務を実習で確認できれば、採用につながる可能性が高いからです。

求人内容と結果的に異なる業務であっても、障害特性とマッチする業務を切り出して提案する力(求人内容を作り変える力)を支援機関の担当者に身につけてもらうことが、企業トレーナーとして参加する意味だと改めて感じました。

政府は2024年12月27日に令和7年度予算案を閣議決定しました。同予算案に盛り込まれた障害者雇用関係の事項は前年度予算とほぼ同内容となっています。

(資料)令和7年度予算案における障害者雇用関係の概要

 

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が2024年11月13日〜14日に開催した第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会において、当ネットワークでも度々紹介してきた奈良県立医科大学附属病院の障害者雇用の取組が発表されました。当日の特別講演等の発表動画が障害者職業総合センター(NIVR)のホームページで公開されましたので、ご案内します。

(掲載先URL)
https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/32kaisai.html

 

 

 

障害者欠格条項をなくす会、視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)、聴覚障害をもつ医療従事者の会、DPI日本会議の共催で11月27日に開催された、オンラインセミナー「障害者の免許全件交付を受けて」の当日の録画が公開された旨のお知らせをいただきましたので、ご案内します。このセミナーには、視覚障害のある精神科医の守田稔さん、聴覚障害のある医学部5年生の荒巻修治さん、発達障害のある看護師のまめこさん等が出演されています。

YouTubeで公開された動画は、手話通訳と字幕付きで、以下から視聴できます。

■各プログラムの開始時間

  • 00:00 開始、大熊由紀子さんの冒頭あいさつおよび瀬戸山陽子さんの趣旨説明について
  • 00:15 スペシャルゲスト挨拶・田門浩さん(次期国連障害者権利委員会委員 弁護士 ろう者)
  • 05:10 導入説明 臼井久実子(障害者欠格条項をなくす会事務局長)
  • 17:00 体験談 医師 守田稔さん(視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)代表かわたペインクリニック勤務)
  • 34:52 体験談 医学生 荒巻修治さん ビデオメッセージ(秋田大学医学部5年 聴覚障害者)
  • 47:05 体験談 看護師 まめこさん(発達障害をもちながら働く看護師)
  • 1:03:19 体験談 社会福祉士 木村由美さん (社会福祉士 肢体・視覚・言語・てんかんの重複障害者)原稿代読:東奈央さん(弁護士)
  • 1:15:18 メッセージ・障害者欠格条項をなくす会共同代表 福島智さん
  • 1:20:07 書籍『障害のある人の欠格条項ってなんだろう?Q&A』紹介、寄贈及び応募の受付について 瀬山紀子さん(埼玉大学教員、障害者欠格条項をなくす会事務局)
  • 1:58:58 閉会の挨拶(障害者欠格条項をなくす会共同代表 大熊由紀子)

 

厚生労働省は、令和6年12月20日に民間企業や公的機関などにおける、令和6年 障害者雇用状況集計結果」を取りまとめ、公表しました。障害者雇用促進法では、事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇うことを義務付けています。今回の集計結果は、同法に基づき、令和6年6月1日現在の身体障害者、知的障害者、精神障害者の雇用状況について、障害者の雇用義務のある事業主などに報告を求め、それを集計したものです。

【公的機関】法定雇用率2.8%、都道府県などの教育委員会は2.7%

○雇用障害者数、実雇用率ともに対前年で上回る。※( )は前年の値
・  国  :雇用障害者数 1万 428.0 人(9,940.0人)、実雇用率 3.07%(2.92%)
・都 道 府 県:雇用障害者数 1万 1,030.5 人(1万627.5人)、実雇用率 3.05%(2.96%)
・市 町   村:雇用障害者数 3万 7,433.5人(3万5,611.5人)、実雇用率2.75%(2.63%)
・教育委員会:雇用障害者数 1万 7,719.0 人(1万6,999.0人)、実雇用率2.43%(2.34%)

【独立行政法人など】法定雇用率2.8%

○雇用障害者数、実雇用率ともに対前年で上回る。※( )は前年の値
・雇用障害者数 1万 3,419人(1万2,879.5人)、実雇用率2.85%( 2.76%)

(資料)令和6年障害者雇用状況調査の集計結果

西日本にある県立病院では、障害者が環境整備、看護補助、事務補助の3部門で働いています。この病院は、病院単体で見ると、現時点では法定雇用率を満たしていますが、今後予定される法定雇用率の引き上げと除外率の引き下げを考えると、更に雇用数を増やす必要があります。

看護補助業務に従事している2名の知的障害者は、それぞれ病棟に配置され、看護師長の指示の下に業務に従事しています。コミュニケーションに課題はあるものの、周囲の理解もあって、今では病棟の貴重な戦力になっています。こうした経験を踏まえ、看護部長としては、新たに障害者を雇用する場合には、特定の病棟に配置するだけでなく、病棟を巡回して医療資材の補充を行うなど、病棟全体の負担軽減に役立つ業務を担ってもらえると助かると考えていました。現状では法定雇用率を満たしているため、事務部に話はしていませんでしたが、更に雇用数を増やす必要があることを知り、「特別なサポートがなくても看護部で受け入れるので、是非、新たな人材を雇用してほしい」と事務部に提案されたそうです。

背景には、障害者雇用の経験を通じて、指示の仕方や対応について看護部内での理解が進んだことがあるのでしょう。看護部が障害者雇用を前向きに考えていることを知り、事務部も心強く感じたことと思います。ハローワークや法人本部から障害者雇用について指導を受ける事務部では、院内にどうお願いすれば良いか悩むことが多いものですが、医療現場で戦力となっている先例ができると、現場から障害者の担う業務の提案があるなど、障害者雇用を活用したいという流れが自然に出てくることを、この病院の事例からも学ぶことができます。