認定看護管理者教育課程サードレベル研修(令和元年10月2日)

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が実施している、日本看護協会の認定看護管理者教育課程サードレベルの研修において、当ネットワークから講師として参加し、3時間の講義を行いました。研修には、JCHO病院を中心に大学病院や公立病院、民間病院22病院から23名の受講がありました。前半の講義では、医療機関が障害者雇用に取り組む意義を説明するとともに、実際に障害者が医療部門で働く状況について、国立がん研究センター中央病院の例を観ていただきました。後半ではグループワークを行い、(1)看護職の負担軽減のために知的障害や精神障害のあるスタッフ4~5人のチームに仕事を発注するとしたら、どのような仕事をお願いしたいか、(2)職場でコミュニケーション等に問題のある自閉症スペクトラム(ASD)の看護職がいた場合、どのような仕事なら頑張ってもらえそうか、という2つのテーマで意見交換をしてもらいました。

(1)のテーマについては、講義資料に掲載されている業務のほか、薬剤部から病棟に届く患者ごとの1週間分の薬剤を各回分に分ける作業のほか、定数管理している病棟の備品数の確認、病棟での薬剤等の期限切れの確認など、現場で助かる業務について様々な意見が続出しました。前半の講義で解説した、業務の切り出しが看護師の「働き方改革」につながるという趣旨が理解され、自分たちの問題として前向きに意見が交わされる姿が印象的でした。

(2)のテーマについては、手術室、透析室、放射線室、内視鏡室なら、コミュニケーションが苦手でも働けて、専門資格も取得できるためモチベーションが持てるといった意見がありました。一方で、中央材料部門やME室などで看護師でなくてもできるような業務だと、周りの看護職から「同じ給料をもらっているのにおかしい」という批判が出るとの指摘がありました。看護部長室に配属して事務補助業務をさせることにも、同様の問題があるとの意見がありました。こうした意見に対して、一般的な看護業務のほかにも、感染制御や医療安全など看護職の専門性が不可欠な業務もあり、そうした業務を集めて1人分の仕事を作り出すことも可能でないかとの意見が出て、受講者の皆さんも賛同されました。このように看護職としての一纏めの仕事を作り上げ、周りの看護職にきちんと説明して理解を求めることも、看護管理職の大事な役割だという結論になりました。このやり取りを聞いていて、障害者雇用のノウハウが、現職の看護職の抱える問題の解決にもつながることを、改めて感じさせられました。

講義資料