医療機関の障害者雇用に関するセミナーの開催

「医療機関の障害者雇用ネットワーク」と福岡障害者職業センターの共催による「医療機関の障害者雇用に関するセミナー〜医療機関の「働き方改革」に貢献する障害者雇用〜」が2024年3月13日に福岡市舞鶴庁舎で開催されました。会場には福岡県の内外から100名ほどの医療機関関係者が参加し、医療機関の皆さんの関心の高さが感じられました。
主催者を代表して当ネットワーク代表の依田から開催挨拶をした後に、福岡労働局の小野寺徳子局長から挨拶いただきました。小野寺さんは昨年まで厚生労働省の障害者雇用対策課長を務め、障害者雇用促進法の改正を担当されたことから、法改正の趣旨として障害者個人の能力を活かすことの大切さに触れられました。
プログラムの最初に、依田が「病院での障害者雇用の進め方〜働き方改革に資する障害者雇用〜」について基調講演を行い、続いて福岡市立障がい者就労支援センター所長の黒田小夜子さんが「医療機関における障がい者の就労支援」について特別講演を行い、支援機関の具体的なサポート内容について紹介いただきました。その後、パネルディスカッションに移り、最初に福岡障害者職業センターの小野寺十二主幹障害者職業カウンセラーから障害者職業センターの業務紹介をした後に、社会医療法人原土井病院法人本部事務部長の鈴木崇さんと特定医療法人財団博愛会博愛会病院地域サポート部次長の呼子修一さんのお二人から、病院での障害者雇用について事例発表していただきました。両法人とも健康経営優良法人の認定を取得されていて、人財投資として誰もが働きやすい職場づくりを進めており、障害者雇用もその一環として位置付けておられると感じました。
事例発表後には、小野寺さんの司会の下に、事前に提出された質問や会場からの質問に答える形で進行しました。質問で多かったのは、障害者雇用の業務の切り出し方や、院内でのサポート体制についてでした。
業務の切り出しについては、先行する他病院が障害者雇用で実施している様々な業務例を具体的に示した上で、院内アンケートで「やってもらうと助かる業務」を各部門から出してもらうと、多くの業務が出てくるので、その中から障害のあるスタッフが円滑に処理できるよう、地域の専門機関のアドバイスを受けると効果的であることを紹介しました。これらの支援機関は依頼があれば病院を訪問し、現場の業務を見ながら必要なアドバイスを無料でしてくれるので、活用しない手はないでしょう。
会場では、病棟から業務を切り出そうとしたが、看護補助者が自分の仕事を奪われると反対しており、どうしたら良いかといった質問もありました。看護補助者が行なう業務には、患者さんとのコミュニケーションが必要な対人サービスの他にも定型的な作業があるので、定型的な作業を障害のあるスタッフの業務として切り出し、看護補助者は対人サービスに重点を置くことで看護師の負担を軽減すれば、全体的なパフォーマンスが向上できる旨を説明すると良い旨をお伝えしました。今後は看護補助者の人材確保も難しくなるので、将来を見据えて、障害者雇用の職域を戦略的に広げていく意味があるでしょう。
サポート体制については、働く人の支援の必要度によって異なります。職場の上司がサポートする「分散配置」は、比較的支援の必要度が低い人を前提としています。これに対し、専任の支援者を配置した「集約型配置」では、専任の支援者が各人の適性に応じて仕事を割り振るので、支援が必要な人を幅広く受け入れることができます。専任の支援者の配置コストが伴うため、集約型配置の導入を躊躇する病院も多いですが、各部門の負担軽減による生産性向上の効果は少なくなく、コスト以上の効果がある場合があります。障害者雇用を進めることが「働き方改革」に繋がっている病院では、最初は3人〜4人の小さな規模で集約型を始め、現場から発注される仕事が増えるにつれ雇用数を拡大しているので、こうした例も参考にすると良いでしょう。

セミナーの最後には、共催者である福岡障害者職業センター所長の小島文浩さんが閉会挨拶を行いました。

開会挨拶

基調講演「病院での障害者雇用の進め方〜働き方改革に資する障害者雇用〜」

特別講演「医療機関における障がい者の就労支援について」

パネルディスカッション

福岡障害者職業センター「障害者の企業等での就労を支える支援機関の取組みについて」

社会医療法人原土井病院

特定医療法人財団博愛会