第45話 経営計画に障害者雇用を位置付ける

このコーナーでも度々紹介してきた国立研究開発法人国立がん研究センター(中央病院:東京都中央区、東病院:千葉県柏市)では、院内からさまざまな業務を切り出し障害のあるスタッフが従事することで、「医療職の働き方改革」にも貢献しています。

国立がん研究センターでは、毎年度の事業計画に加え、6年間の中長期計画を策定しています。そこでは、業務運営に関する重要事項の一つとして「人事の最適化」が掲げられ、タスク・シフティングと障害者雇用について以下のような記載がされています。

イ 女性の働きやすい環境を整備するとともに、医師の本来の役割が発揮できるよう、医師とその他医療従事者との役割分担を見直し、タスク・シフティングを推進し、職員にとって魅力的で働きやすい職場環境の整備を行うことにより離職防止に努める。

ウ 障がい者が、その能力と適正に応じた雇用の場に就き、地域で自律できる社会の実現に貢献するため、障がい者の雇用を推進するとともに、サポート要員の確保など働きやすい環境の整備にも取り組む。

さらに、毎年度の事業計画の中では、「医師以外の職種についてもタスクシフトについて検討を行う」とともに、「障害者支援施設と協力し、引き続き障害者の雇用を推進する」「ジョブコーチを確保、教育し、障害者の働きやすい環境の整備に取り組む」ことが明記されています。

こうした計画の記載からは、タスク・シフティングと障害者雇用とは密接に関連すると認識されていることが窺われます。国立がん研究センターのような高度専門医療機関において、経営計画の中に障害者雇用が記載され、それが医療職のタスク・シフティングにも貢献するものと位置付けられていることは、他病院の皆さんにも大いに参考になることでしょう。