認定看護管理者教育課程サードレベル研修(2023年8月17日)

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が実施している、日本看護協会の認定看護管理者教育課程サードレベルの研修が開講され、JCHO病院16病院のほか国立病院、労災病院、大学病院、県立・私立病院、民間病院16病院から計33名が受講しました。本年の研修は、昨年に引き続きオンラインと対面の組み合わせで実施され、「組織デザインと組織経営」の単元では「働き方改革に資する障害者雇用」をテーマに3時間の講義をオンラインで行いました。

前半の講義では、最近企業の人事関係者の間で話題になっている「心理的安全性」について、提唱者であるハーバード大学のエイミー・エドモンドソンは、病院の優れたチームワークを持つチームの方がヒューマンエラーの発生率が高いという調査結果から、優れたチームほどオープンに情報を共有するためエラーを報告する回数も多いと捉え、この現象を「チームの心理的安全性」と呼んだことを紹介しました。「心理的安全性」の考え方が医療現場の研究から生まれたことからも、看護管理者の皆さんには「心理的安全性」の高い職場づくりに取り組んでいただければと思います。

後半のグループワークでは「『働き方改革に資する障害者雇用』自院で進めるとしたらどのような業務を切り出したいか」と「自閉症スペクトラム(ASD)傾向のある看護職の適性に合う仕事は何か」の2つのテーマについて、5つのグルーで意見交換してもらいました。テーマ1では、看護師の業務を看護補助者にタスクシフトするため、障害者雇用で看護補助者の業務から定型的なものを切り出し、看護補助者の負担を軽くしたいという意見が多く出ました。テーマ2では、新人看護師は病棟配置が基本だが、担当患者を一人から増やせなかったり、マルチタスクが必要な病棟業務は難しい新人もいるといった意見がありました。そうした中で、コミュニケーションに問題のある新人を手術室に配置したことで定着し、スキルアップにも積極的に取り組んでいる経験から、適性のある業務として手術室等もあるといった意見もありました。また、周りが困っていても本人に自覚がない場合は、別業務に異動させることが難しいといった意見に対し、本人のこだわりのあった診療科に関連する業務の中から、判断の必要が少ない業務に変えることで納得が得られたとの報告もありました。講評では、異動先を探す場合にはモチベーションが保てることが大切で、看護師でなくてもできる作業をさせるのではなく、国家資格が必要な業務でスキルアップを目指せるような業務が望ましいことを伝えました。

来年からの法定雇用率の引上げと除外率の引下げで、医療機関の障害者雇用への圧力は強まることが予想されますが、そうした中でも看護管理者の皆さんが障害者雇用を自分たちの「働き方改革」に資するものとして受け止め、この機会を生かしていかれることを期待しています。

(講義資料)「組織デザインと組織運営〜働き方改革に資する障害者雇用〜」