体験者の視点で書かれた精神疾患の教科書のご紹介

本年4月号で当ネットワークのことを紹介いただいたメンタルヘルスマガジン「こころの元気+」を発行している認定NPO法人地域精神保健福祉機構(コンボ)では、精神疾患を経験した人たちだけで自分達の体験と感覚をベースに精神疾患について書いた「生きづらさをひも解く 私たちの精神疾患」(YPS横浜ピアスタッフ協会、NPO法人コンボ、薩山正子編著)を発行しました。精神疾患について書かれた本は、医師の視点で書かれたものがほとんどですが、この本は体験者の立場で精神疾患を総体的に捉えて論じたもので、多くの重要な気づきが得られる内容が含まれています。結果として現れる「症状」ではなく、その背景にある「生きづらさ」に目を向け、「いい感じの自分」でいられるよう自己決定していくことの意義を分かりやすく語っています。精神障害のある人たちは医療機関の雇用現場でも増えていますが、医療や福祉の側の視点ではなく、体験者の視点について知ることは、安定的な雇用を実現する上でも意味があるでしょう。

(本の紹介)「生きづらさをひも解く 私たちの精神疾患」