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ハローワークが窓口となり、実際の職場で作業について訓練を行うことにより、作業環境に適応することを容易にさせる目的で実施するもので、訓練終了後には訓練を行った事業所で雇用されることが期待されています。事業主には訓練費が支給され、訓練生には雇用保険の失業等給付が支給されます。

訓練期間は6か月以内(中小企業及び重度の障害者に係る訓練は1年以内)ですが、短期の職場適応訓練は2週間以内(重度の障害者に係る訓練4週間以内)となっています。

(参考)

職場適応訓練費(リンク)

障害者を新たに雇い入れたり、障害者の安定した雇用を維持するために、ハード面の環境改善をしたり、障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を実施するのに伴う経済的負担を軽減する観点から、障害者雇用納付金を財源とした助成金制度があります。助成金制度については、平成27年度から一部変更されましたが、納付金財政が厳しい状況にあるため、今後とも制度変更が続く可能性があります。

(参考)

障害者雇用に関する助成措置

障害者雇用納付金制度に基づく助成金(リンク)

障害者相談窓口担当者の配置助成(2018年~)

医療機関での切出し業務一覧に整理した事例のうち、医療機関のホームページや他機関のホームページに掲載されている事例で医療機関から紹介いただいたものは以下の通りです(病院名をクリックすると外部のページの画面になります)。

国立がん研究センター中央病院

国立がん研究センター東病院

聖マリアンナ医科大学病院

鈴鹿中央総合病院等(特例子会社「三厚連ウイズ」)

埼玉県立循環器・心臓病センター

駒木野病院

医療機関において切出して実施されている業務(概要)
(1)医療系の業務
分類 業務項目
病棟での看護補助的業務 ベッド清掃・ベッドメイク
布団の交換
看護補助的な業務
医療用器具等の洗浄・清掃 内視鏡の洗浄
点滴台の清掃
車椅子の清掃
松葉杖の清掃・点検
薬剤カートの清掃
ドアノブや床等の消毒
病棟等の清掃 手術室の清掃
ラウンジの清掃
ラウンジの管理
医療材料の準備 各種テープのカット
シート等の折りたたみ
各種パックの切り離し
薬品シール貼り
作業療法の準備
病棟への物品の搬送と回収 薬剤カートの搬送
クリーニングの配達・回収
病棟からの廃棄物の回収
廃棄物の分別
物品管理 診療材料の中央管理
専門的サービス 精神保健福祉士
ピアサポート相談員
訪問看護・往診の同行
(2)事務系の業務
分類 業務項目
郵便物の仕分け・配達・発送 郵便物の仕分け・配達
郵便物の発送
宅配物の配達
文書等の搬送 病棟・外来と事務部門の文書搬送
事務部門間の書類回付
日用雑貨・文具の搬送
DPC用紙等の配付
文書の作成等 データ入力
バーコードスキャン
システム開発
デイケアや研修用の教材等の作成
名刺の作成
資料のコピー等 会議資料のコピー・セット
封筒への封入
掲示物資料等の加工
身分証明用写真撮影
部署印の押印
文書の廃棄 シュレッダー処理
廃棄文書の回収
庶務業務 書類の編纂
薬剤部の伝票整理
処方箋の整理
カルテ庫の文書整理
職員の弁当注文
患者サービス 入院患者の買い物代行
病棟へのお茶運び
病棟等の飾りつけ
ブックカバーづくり
事務処理 医療クラーク
受付業務 見舞客等の入館受付
宿舎等管理人の休憩時の事務代行
建物等の管理・清掃 会議室の設営と清掃
訪問看護車両の洗浄
病院敷地内の植栽の手入れ
病院敷地内外の清掃

障害者雇用は、すべての産業分野に求められているものです。しかしながら、例えば同じ製造業でも、企業や工場により生産する製品は異なるため、A社にある仕事がB社にもあるわけではありません。これに対して医療機関の仕事は。患者に対する治療等の医療系の業務と診療報酬請求等の事務系の業務という点において、A病院とB病院とで基本的な違いはありません。このため、A病院で障害のあるスタッフが力を発揮できた業務は、B病院でも切出し可能です。このことは、他の産業分野とは異なる医療業の特徴であり、成功事例の情報共有が求められる所以です。

一般的な業務ラインの中で仕事の指示・指導を受けて働いている障害のあるスタッフもたくさんいますが、一方で、指示・指導をする一般の職員にとっては、自分自身の業務を行いながら、こうした指示・指導をすることが過度な負担と感じる場合もあります。こうした無理が重なると、結果的には障害のあるスタッフが安定的に働くことが困難になります。

このため、知的障害や精神障害のあるスタッフをある程度まとまって雇用する病院では、指示・指導を担当する専任の支援職員を配置していることが多いです。具体的な業務内容としては、関係部門から発注してもらう仕事を開拓し、作業工程を整理して分かりやすく指示し、作業の出来栄えを確認するといった作業です。こうした専任の支援職員は、ジョブサポーター、ジョブコーチ、支援員等の名称で配置されており、新たに外部から非常勤職員として採用したり、高齢者の再雇用人材の中から適任者を充てたりしています。支援職員の配置については、障害者雇用に伴うコストを軽減する助成措置として、一定の要件に該当すれば、障害者雇用安定奨励金が活用できます。この奨励金を受けるためには、支援職員が厚生労働大臣の定めるジョブコーチ研修(企業在籍型職場適応援助者養成研修)を修了していることが必要です。

なお、支援員の確保については、新規採用や再雇用のほか、アウトソーシング化した業務の従事者を充てるなど、医療機関の事情により様々な形態があるかと思います。いずれの場合でも、雇用支援業務の開始前に障害者理解に係る一定の知識を習得させるとともに、なるべく早く障害者職業生活相談員資格認定講習やジョブコーチ研修(企業在籍型職場適応援助者養成研修)等の外部研修を受講させるなど、支援業務に必要な知識・技術を習得できるようにし、安心して雇用支援業務に従事できるようにする必要があります。事前の障害者理解については、地域の障害者職業センターや地域の就労支援機関の協力を得ることができます。また、障害者職業生活相談員資格認定講習や企業在籍型職場適応援助者養成研修については、障害者職業センターに確認すると良いでしょう。

医療機関での障害者雇用の成功事例を見ると、共通点が浮かび上がってきます。それは、障害者雇用を事務部門だけで考えるのではなく、院内最大の組織である看護部門をしっかり巻き込むことであり、それこそが障害者雇用の成否の鍵となっています。障害のあるスタッフが院内で担当する仕事を切り出す企画段階から、看護部長等に加わってもらい、病棟や外来等で看護師の業務負担を軽減するためにして欲しい業務を提案してもらい、それを障害のあるスタッフの仕事としていけば、「職員に歓迎される障害者雇用」が実現します。仕事の出来栄えを見て評価してもらえば、院内から新たな業務が次々に提案されてきます。障害のあるスタッフが行える仕事は、医療機関内には限りなく存在するというのが、障害者雇用の進んでいる先行病院の皆さんの共通した声です。

法定雇用率が引き上げられてきた中で、医療分野以外では大手企業も積極的に障害者雇用を進めてきたため、障害者の労働市場は今や「売り手市場」となっています。障害の種別でも過去10年ほどで大きな変化が生じており、ハローワークを通じた新規就職者の障害別では、既に精神障害が身体障害を上回る状況となっています。こうした状況の下では、身体障害しか考慮に入れていないと、障害者雇用の人材確保は極めて厳しくなります。障害の種別を広げて、知的障害や精神障害(発達障害を含む)も視野に入れた人材確保を行うことで、法定雇用率の達成も現実味を帯びてきます。その際、障害特性を踏まえた業務の切り出し、仕事の指示方法、環境上の配慮などにおいて、医療機関内にはノウハウがない場合が大半でしょうから、外部の公的な就業支援機関を活用することが有効です。

(参考)障害種別の就職件数(平成27年度)

「うちの病院には障害者ができる仕事がない」と考えている医療機関の経営者も多いと思います。このように言われるときには、障害者に対してどのようなイメージを持っておられるのでしょうか。上下肢の障害、聴覚や視覚の障害、内部障害、知的障害や精神障害など、障害にもさまざまな種類があり、仕事をする上で抱えている困難さも一律ではありません。

車椅子の使用者にはハード面の環境整備が効果的であるなど、障害に配慮した対応をすることで、障害のない場合と同様に能力を発揮できることがあります。こうした障害別の配慮については、既に他の産業分野での膨大なノウハウの蓄積に基づいて、様々な障害者雇用マニュアル等が作成されています。これらを活用することで、障害のあるスタッフが医療機関の中で担う仕事を見出すことも可能です。

「清掃、洗濯、厨房の食器洗いといった仕事は、既に外注しているので」という声もよく聞きます。これは知的障害や精神障害のある方を雇用される場合を想定された意見のようです。確かに、知的障害や精神障害のある方が、これらの業務に従事してきた例は多いかと思います。しかしながら、医療機関の中には、これ以外に知的障害や精神障害のある方ができる仕事がたくさんあります。その中には、「職員に歓迎される仕事」が数多く含まれています。こうした職域を開拓するためには、作業の工程を整理して、障害のある職員でも無理なく確実に実施できるよう業務を切り出す作業が必要です。

障害のあるスタッフに行わせるために外注済みの仕事を内製化しても、職員は誰も歓迎しないでしょう。現在、職員が片手間的に行っている作業を障害のあるスタッフの仕事として再編するからこそ、負担から解放される職員に歓迎される障害者雇用が実現できるのです。

採用前に職場実習で確認していても、必ずしも十分な評価ができるとは限りません。雇用した医療機関の側が努力して、本人も頑張っても、その職場で働き続けることが本人のためにならない場合もあります。

そのような場合には、いったん職場を離職して、本人の状況に適した先に移ることが適切です。移る先が他の職場でもデイケアでも、本人にとって望ましい場所につなげるという視点で対応することが必要です。こうした役割は、雇用の当事者である医療機関では担うことはできません。地域の就業支援機関が継続的に支援を行うなかで対応するからこそ、円滑な離職・転職も可能になります。