新着情報

障害者欠格条項をなくす会事務局長の臼井久実子さんが編者の「障害のある人の欠格条項ってなんだろう?Q&A」(解放出版社・定価1,500円)が今月出版されることになりました。同書の執筆者には、医師、看護師、薬剤師、診療放射線技師、精神保健福祉士など様々な医療従事者も含まれ、医療現場で工夫しながら働かれている姿も伝わってきます。同書では、医師等の欠格条項が見直されてきた経緯とともに、障害がありながら働く事例情報として、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の運営する「障害者雇用事例リファレンスサービス」とともに、当ネットワークの関連サイトである「夢をつなぐDoctor’s Network」のホームページも紹介されました。医療職に関する欠格条項が見直されてきた背景や当事者の皆さんの思いを知る上でも、参考になる1冊です。

(チラシ)「障害のある人の欠格条項ってなんだろう?Q&A」

なお、5月29日に「障害のある人の欠格条項ってなんだろうQ&A 出版記念イベント」がZoomによるオンライン方式で開催されます(参加費無料)。申し込みは以下のチラシを参照ください。

(チラシ)「障害のある人の欠格条項ってなんだろうQ&A 出版記念イベント

 

「医療機関の障害者雇用ネットワーク」は平成27年4月に発足し、同年6月にはホームページを開設し、医療機関の皆さんが障害者雇用を進める上で役立てていただける情報の提供を開始しました。当時、いち早く当ネットワークの趣旨に賛同いただいた一般社団法人日本病院会では、会員各病院に対して当ネットワークのホームページをご紹介いただきました。

それから8年近く経ちましたが、今般、障害者雇用率制度が見直され、法定雇用率の引き上げと除外率の引き下げにより厳しい対応が迫られる医療機関も多い中、医療機関の皆さんに役立つ情報を提供している当ネットワークのホームページについて、改めて日本病院会のホームページで紹介いただきました。

認定NPO法人地域精神保健福祉機構(コンボ)が毎月発行している「こころの元気+」は、統合失調症、うつ病、双極性障害、発達障害などをもつ方(ご本人)・ご家族・支援者・医療関係者向けの情報誌で、2007年の創刊以来、信頼できる情報を幅広く提供しているメンタルヘルスマガジンです。精神科のクリニックの待合室などに置かれていることもあるので、ご覧になった方もいるかと思います。

「こころの元気+」では、毎月の特集を組んでいますが、2023年4月号では「働くことのハテナ」を特集として取り上げ、編集部からの依頼で「医療機関の障害者雇用ネットワークって何?」という記事を執筆しました。

(掲載記事)「医療機関の障害者雇用ネットワークって何?」

障害者の雇用率制度が見直され、法定雇用率は現行の2.3%から令和6年4月には2.5%に引き上げられ、更に令和8年7月には2.7%に引き上げられることになりました。一方、医療機関に適用されている除外率は、令和7年4月に現行の30%から20%に引き下げられることになりました。医療機関とっては、法定雇用率の引上げと除外率の引き下げというダブルパンチの影響で、今後3年間は大変厳しい状況に置かれます。

法定雇用率の達成は法的義務であるため、未達成の場合はハローワークからの指導を受けることになります。実際に病院で障害者雇用を進めるにあたっては、事務職だけで進めようとするのではなく、医療職を含む院内職員が障害者雇用を進めることの意義を理解することが必要です。その際には、法的な義務というコンプライアンスの観点よりも、医療職の「働き方改革」に資するという視点が受け入れやすい面があります。

職員向けに説明を行う際には、当ネットワークが医療機関向けの研修等で使用している資料が参考になると思いますので、ご紹介します。

(説明資料)「病院での障害者雇用の進め方〜働き方改革に資する障害者雇用〜」

「障害の社会モデル」は、「障害」は、社会(モノ、環境、人的環境等)と心身機能の障害があいまってつくりだされるものと理解し、個人の側に特別な努力を求めるのではなく、ハード・ソフトの環境を整えることにより、個人の能力を十分発揮できるようにすることを目指す考え方です。

「障害の社会モデル」の考え方は、2006 年 に国連総会において採択された「障害者の権利に関する条約」で示され、日本も 2014 年にこの条約を批准しています。2016 年 4 月から施行された「障害者差別解消法」や改正後の「障害者雇用促進法」でも、この考え方に基づき、国・ 地方公共団体・事業者に対して、不当な差別的扱いの禁止や合理的配慮の提供を求めています。

「障害の社会モデル」について理解するのには、知識として学ぶだけでなく「少数派」の体験をすることが効果的だと思われます。少数派の体験をすることで、多数派の発想で作られている製品・サービス・制度といった「環境」の側の問題が見えてくるからです。

こうしたことを目指す取組の一つとして、公益財団法人日本ケアフィット共育機構では「バリアフルレストラン」の体験プログラムを実施していますが、2023年3月24日〜25日の2日間、川崎市主催のイベントが川崎アゼリアで開催される機会に体験してきました。

川崎市ホームページでの紹介記事

「バリアフルレストラン」は、車いすユーザーが多数派となる架空社会にあるレストランに「二足歩行者」という障害を有する者が客として来店することで感じる違和感から、「障害」とは何かについて考えるきっかけが得られるものです。1組6人による30分の体験プログラムですが、レストラン内は車いすユーザーに最適化されており、天井は低く、椅子も置かれていない中で、「二足歩行者=障害者」が頭をぶつけたり腰を痛めたりしないように、行政の補助で僅かな数のヘルメットや椅子が用意されています。

「二足歩行者も使えるように最初から天井を高くすれば良いのに」と感じさせる中で、「多数派」という同じ価値観の人たちだけで決めた仕組みに少数派を適応させるような配慮ではなく、多様な人の参加で誰もが取り残されない仕組みを最初から作ることの大切さの理解に誘うプログラムでした。車いすユーザーの皆さんの演技も真実味があり、日頃感じていることを伝えてくれようとする細部の表現は、とても心に響く内容でした。

「バリアフルレストラン」の開催は、現在は自治体のイベントなどでの不定期の開催ですが、こうした体感の機会が増えれば、共生社会に向けた取組も進むと思います。

川崎市の「かわさきパラムーブメント」のホームページでは、「バリアフルレストラン」のイメージの動画を公開していますので、ご覧いただければと思います。川崎市のような取り組みが、他の自治体にも広まっていくことを期待しています。

「ようこそ、バリアCAFEへ〜二足歩行者ウォーカーの体験」

 

NPO法人全国精神保健職親会(vfoster)(理事長:中川 均)主催の日本財団助成事業報告会「医療–福祉–企業をつなぐ「ともに働く」地域連携ネットワーク」が東京都立産業貿易センター浜松町館(東京都港区)で開催され、オンライン参加と合わせて60名ほどが参加されました。

島根県浜田市にある清和会西川病院の林輝男医師による基調講演「医療–福祉–雇用の地域連携に向けて〜精神科病院からの就労支援〜」に続き、各地での取り組みとして、いわき市障がい者職親会理事長の石山伯夫さん、兵庫県精神障害者就労支援事業所連合会会長の野村浩之さん、兵庫県精神保健福祉センターの中谷恭子さんから報告がありました。その後、前半の登壇者4名に加え、全国就業支援ネットワーク代表理事の藤尾健二さん、東京中小企業家同友会会員の三鴨岐子さん、厚労省障害者雇用対策課長の小野寺徳子さんを交えたパネルディスカッションが行われ、当ネットワーク代表の依田がファシリテーターを担当しました。

パネルディスカッションでは、ネットワークに自治体を誘い込むコツ、障害者就業・生活支援センターの「基幹型」としての役割と自立支援協議会の活用、ネットワークの一員としての企業のノウハウの活用等について、登壇者から活発な発言がありました。

ネットワークについては、地域の課題や支援機関の役割について共通認識する場として、基幹相談支援センターや自立支援協議会(就労支援部会)の活用も指摘されました。就業支援は労働行政で広域的な対応なのに対して、生活支援は福祉行政で市町村単位の対応という違いはありますが、だからこそ障害者の雇用行政と福祉行政が一緒になって「連携」を促す明確なメッセージを発信し、連携を進めやすい具体的な仕組みづくりを進めることが期待されます。

また、企業が法定雇用率の達成のみを目的に雇用率ビジネスの利用に走らずに、障害者の能力を活かして戦力化していくためには、障害者雇用の経験やノウハウがある企業からの情報発信が効果的という指摘もありました。厚労省で検討中の助成金制度の見直しの中に「障害者雇用相談援助助成金」の新設が盛り込まれた趣旨も、こうした企業からのアドバイスを広げる目的があるとの説明がありました。

地域の取組事例からは、地域ごとに様々なネットワークづくりがあり、そこから様々なヒントが読み取れることを感じたパネルディスカッションとなりました。