新着情報

法定雇用率制度と裏腹の関係ですが、法定雇用率未達成の事業者には、雇用不足数1名あたり月5万円(年間60万円)の納付金を納付する義務が課せられています。納付金を納付したからといって、雇用率未達成に伴う行政措置(雇入計画策再命令、事業者名公表)が免除されるものでもなく、単純に資金が外部に流出しているわけです。大規模な病院で障害者を意識的に雇用してこなかったところでは、年間1,000万円を超える納付金を払うことにもなります。

納付義務は、これまで常時雇用する職員が200人を超える事業者(法人単位)に限られていたのが、平成27年4月から100人を超える事業者にまで対象が拡大されました。このため、新たに納付金を納付しなければならない医療機関も増えています。

障害者を雇用するのには人件費等のコストが伴いますが、上記のように納付金が削減されることに加え、ハード面の環境整備や支援者の配置等に対する助成制度もあります。これらの支援措置は医療機関ではあまり利用されていませんが、上手に活用すれば負担は更に軽減できます。

なお、障害者雇用で切り出される業務は、一般的には診療報酬で評価されず(つまり収入面では貢献しない)、業務全体の効率化が進むことを通じて経営に貢献すると考えられています。例外的に、障害のある職員(非常勤を含む)を病棟に配置して看護師の負担を軽減する業務に従事させる場合は、看護補助者として「急性期看護補助体制加算」や「看護補助加算」の必要人数にカウントできることがあります。この場合は、障害者雇用を進めることが診療報酬の加算の取得や維持にも貢献することになります。

 

10月7日(水)13時~17時、愛媛県の西予市宇和文化会館で開催される「南予地域就労支援ネットワーク連絡会」主催の勉強会に「医療機関の障害者雇用ネットワーク」から講師として参加します。

兵庫県にある公立病院において、地域の支援機関と連携して障害者雇用が開始されました。切り出した業務には病棟での仕事も組み込まれ、まず最初に小児科病棟から始められました。その理由について、看護部長は次のように説明されたそうです。

「この病棟には重い病気の子供がたくさん入院しています。中には重い障害のある人も。家族の方には、将来に不安や絶望感を持っている人もいますが、障害のあるスタッフが病院の一員として活き活き働く姿を見て、少しでも希望を持ってもらえる職場にみんなでしていきたい」

医療機関で障害者雇用に取り組む場合、ハローワークから雇用率の達成指導を受けたことが契機になることが多いのですが、そのことを受け身に捉えるのではなく、病院が障害者雇用に取り組むことに積極的な意味付けをすることは、周りの職員の納得感を得る上でも大切なことでしょう。

関東地方の大学病院や東海地方の公的病院では、知的障害のあるスタッフが患者さん退院後のベッドの清掃を病棟に出向いて行っています。一般的なベッドメーキングがシーツやふとんの交換にとどまるのに対し、マット下のベッドの枠まで丁寧に清掃と消毒を行っています。こうした作業を病棟の廊下で行うため、患者さんや家族等の目に触れる機会も多く、スタッフのまじめな働きぶりと相まって、「この病院はこんなにベッドを綺麗にしてくれるのか」と評判になっているそうです。

障害者手帳を持っていない発達障害者又は難治性疾患患者をハローワーク等の紹介により、雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、雇用管理に関する配慮事項等を報告する事業主に対し、「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発助成金」を助成します。なお、雇い入れから約6か月後にハローワーク職員等が職場訪問を行います。

(参考)

発達障害者・難治性疾患患者雇用開発助成金(リンク)

雇用関係助成金(障害者関係)の概要

就職又は職場適応に課題のある知的障害者や精神障害者などの雇用の促進及び職業の安定を図るため、事業所にジョブコーチを派遣し、障害者及び事業主に対して、雇用の前後を通じて障害特性を踏まえた直接的、専門的な援助を行うものです。

ジョブコーチ支援には、地域障害者職業センターに所属するジョブコーチ(配置型ジョブコーチ)による支援と、助成金制度に基づいて実施される社会福祉法人等に所属するジョブコーチ(訪問型職場適応援助者)又は事業所に所属するジョブコーチ(企業在籍型職場適応援助者)による支援とがあり、それぞれが必要に応じて連携を図りながら支援を実施しています。

支援期間は、「配置型」は標準的には2か月~4か月ですが、1か月~8か月の範囲で個別に必要な期間を設定します。「企業在籍型」では6か月上限、「訪問型」では集中支援期、移行支援期は8か月、フローアップ期間を合わせ最長1年8か月(精神障害者は最長2年8か月)となっています。

なお、助成金制度に基づいて実施される職場適応援助については、従来は納付金を財源として行われていましたが、平成27年4月10日から雇用保険財源により行われることとなり、事業の窓口が都道府県労働局に変更になりました。事業所にジョブコーチ等の支援者を配置する場合には、一定の要件の下に「障害者雇用安定助成金」(障害者職場適応援助コース)が支給されます。企業在籍型職場適応援助者についても、厚生労働大臣の指定する研修を予め受講することが必要です。企業在籍型職場適応援助者の研修受講料の半額を助成する仕組みもあります。具体的な利用手続き等については、地元の労働局又はハローワークに確認してください。

(参考)

職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援

企業在籍型職場適応援助者助成金(リンク)

職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援

 

(参考)ジョブコーチ養成研修機関

現在、職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修については、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のほか、厚生労働大臣が定める研修を行う民間の研修機関において実施されています。研修の詳細については、各研修機関にお問い合わせください。

【令和4年度の研修スケジュール(令和5年4月〜9月受付分)】

 

・訪問型職場適応援助者養成研修

・企業在籍型職場適応援助者養成研修

 

【独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構】

・訪問型職場適応援助者養成研修 (リンク)

・企業在籍型職場適応援助者研修(リンク)

・企業在籍型職場適応援助者養成研修(令和4年度)(リンク)

・企業在籍型職場適応援助者養成研修カリキュラム(リンク)

 

【厚生労働大臣が定める研修を行う民間の研修機関】

 

NPO法人ジョブコーチ・ネットワーク(令和4年度)(リンク)

・NPO法人大阪障害者雇用支援ネットワーク

・NPO法人くらしえん・しごとえん

・NPO法人全国就業支援ネットワーク

・NPO法人なよろ地方職親会

・社会福祉法人南高愛隣会

近畿地方の市民病院において、地域の支援機関と連携して障害者雇用が開始されました。切り出した業務には病棟での仕事も組み込まれ、まず最初に小児科病棟から始められました。その理由について、看護部長は次のように説明されたそうです。
この病棟には重い病気の子供がたくさん入院しています。中には重い障害のある人も。家族の方には、将来に不安や絶望感を持っている人もいますが、障害のあるスタッフが病院の一員として活き活き働く姿を見て、少しでも希望を持ってもらえる職場にみんなでしていきたい」

従来、法定雇用率を達成してきた事業者においても、職員が定年に達したこと等により退職したため、新たに職員を雇用しないと法定雇用率割れとなる事態が生じています。このような事態を防ぐには、法定雇用率ぎりぎりでの雇用ではなく、多少の余裕を持たせた雇用が望まれます。また、古くから障害者雇用を進めてきた事業所では、身体障害のみの雇用が多く、退職後の補充についても身体障害での募集をしがちですが、募集をしたものの人材確保ができないという実態もあります。知的障害や精神障害のある者の雇用を進めるには、後述するように採用前に職場実習を行うことが望ましいため、事前に十分な時間的余裕をもって補充の準備を進める必要があります。