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「福祉、教育、医療から雇用への移行支援事業」は、都道府県労働局が福祉施設、特別支援学校、医療機関等の地域の関係機関や事業主団体・企業と連携しつつ実施する事業で、「企業就労理解促進事業」と「障害者に対する職場実習推進」で構成されています。「企業就労理解促進事業」では、医療機関等の職員や医療機関を利用する精神障害者等を対象とした就労支援セミナーや事業所見学会等も行われています。また、企業における障害者の雇用管理業務の経験が豊富な障害者就労アドバイザーが、医療機関等の職員に対して就職後の継続的なフォローアップ等を助言したり、利用者や家族に対して企業での就職に向けた意欲喚起等についての助言等を行っています。「障害者に対する職場実習推進」では、医療機関等に対して実習受け入れ事業所のリストを提供し、5日~10日程度の職場実習に向けた調整を行っています

 

(参考)「福祉、教育、医療から雇用への移行支援事業」(リンク)

「医療機関と連携した精神障害者の就労支援モデル事業」は、効果的に医療機関と就労支援機関とが連携し、精神障害者の雇用促進を図っていく方策を検証するため、医療機関における就労支援の取組・連携を促進するモデル事業を実施し、医療機関を利用している精神障害者の雇用への移行を促進することを目的として、平成25年度から実施されてきました。

【27年度委託先】

・公益社団法人日本精神神経科診療所協会(東京)

 

【26年度委託先】

○就労意欲のある精神障害者の就労・復職支援に取り組む医療機関又は社会福祉法人等

医療機関が、当該医療機関を利用する精神障害者の雇用への移行を促進するための取組を行う。もしくは、社会福祉法人等が、当該機関が有する精神障害者に対する就労支援の知識と経験を生かし、連携する医療機関において精神障害者の雇用への移行を促進するための取組を実施し、当該医療機関における精神障害者の雇用への移行を促進するもの。

・医療法人社団心劇会 さっぽろ駅前クリニック(北海道)

・医療法人社団宙麦会 ひだクリニック(千葉)

・医療法人社団雄仁会 メディカルケア虎ノ門(東京)

・医療法人社団自立会 さいとうクリニック(神奈川)

・一般財団法人長岡記念財団 長岡ヘルスケアセンター(京都)

・中山心療クリニック(広島)

・学校法人松本学園(熊本)

 

○傘下の医療機関等に対して精神障害者の就労支援のノウハウを提供する団体

医療機関等を会員とする団体が、当該機関が蓄積している精神障害者に対する就労支援のノウハウを、傘下の複数の医療機関等に対して提供し、当該医療機関における精神障害者の雇用への移行を促進するもの。

・公益社団法人日本精神神経科診療所協会(東京)

・うつ病リワーク研究会(東京)

・公益社団法人大阪精神科診療所協会(大阪)

 

○平成25年度に実施したモデル事業の成果の普及を図る医療機関又は社会福祉法人等

・医療法人社団デイケアクリックほっとステーション(北海道)

・医療法人生々堂厚生会 さくら・ら診療内科(栃木)

・特定非営利活動法人わかくさ福祉会(東京)

・社会福祉法人多摩棕櫚亭協会(東京)

 

【25年度委託先】

・札幌なかまの杜クリニック(北海道)

・医療法人社団デイケアクリックほっとステーション(北海道)

・医療法人社団心劇会 さっぽろ駅前クリニック(北海道)

・医療法人生々堂厚生会 さくら・ら診療内科(栃木)

・医療法人社団宙麦会 ひだクリニック(千葉)

・医療法人社団雄仁会 メディカルケア虎ノ門(東京)

・特定非営利活動法人わかくさ福祉会(東京)

・医療法人社団自立会 さいとうクリニック(神奈川)

・公益社団法人大阪精神科診療所協会(大阪)

・社会福祉法人多摩棕櫚亭協会(東京)

都市部のハローワークにおいて、就労支援プログラム等を実施する医療機関と連携したモデル事業を実施し、当該医療機関との信頼関係を構築するとともに、地域の他の医療機関に対してもハローワークでの取組状況について普及・啓発を図り、医療機関との連携を推進するものです。平成27年度から全国4局(北海道、栃木、千葉、京都)において、本事業の施行が行われてきました。平成28年度は22局(北海道、青森、宮城、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、長野、岐阜、静岡、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、福岡、長崎、熊本、鹿児島)で実施されましたが、平成29年度には16局(岩手、秋田、山形、福島、茨城、群馬、山梨、三重、奈良、和歌山、島根、徳島、香川、佐賀、大分、宮崎)が追加され、平成30年度には9局(富山、石川、福井、滋賀、鳥取、山口、愛媛、高知、沖縄)が追加されたことで、全労働局で管轄のハローワークと連携先の医療機関との間で事業協定を締結して事業が実施されることになりました。

支援対象者は、①求職登録者・離職中である者(在職者は除く)、②障害を事業主に開示して就職支援を受けることに同意した者、③両機関で個人情報を共有することに同意している者です。

支援方法については、「チーム支援事業」を活用し、支援期間は原則6か月以内です。想定される支援内容は次のとおりです。

・連携対象医療機関を利用している精神障害者を対象とした、就職に関する知識や技術を付与するためのジョブガイダンスの実施

・職業相談・紹介、キャリアコンサルティング、就職ガイダンス(履歴書の書き方等)、職業訓練あっせん等の就労支援サービス

・職場実習等の機会の積極的な提供

・3か月目と支援期間終了時に医療機関側の担当者を含めたケース会議の開催

・職場定着支援等のフォローアップ支援の実施

 

【「精神科医療機関とハローワークの連携モデル事業」の概要】

【拠点ハローワークと連携先医療機関】

【「精神科医療機関とハローワークの連携モデル事業」の地域での活かし方」】

【障害者就労に向けたハローワークを中心とする「チーム支援」】

ハローワークは、職業安定行政の第一線の行政機関として、全国に540を超える機関が存在しており、管内企業からの求人受理、企業への雇用率達成指導、障害者の窓口相談等を実施しています。障害者雇用に向けた地域のネットワークの中心であり、豊富な求人情報を保有しています。

また、ハローワークの窓口には障害者雇用等の専門の部門が設置されており、就職支援ナビゲーター、就職支援コーディネーター、精神障害者雇用トータールサポーター等の専門的知識や経験を有するスタッフが配置されています。

このため、医療機関として障害者等の就労支援を効果的に進める上では、これらのスタッフとの情報交換等を通じて、一般就労の支援に向けて活用できる制度や考え方を習得していくことも効果的でしょう。

その際、精神障害者雇用トータルサポーターや就職支援ナビゲーターとして、医療機関に所属する精神保健福祉士等の職員が協力していくことも、ハローワークとのつながりを深める一つのきっかけとなる可能性があります。

 

(1)「精神科医療機関とハローワークの連携モデル事業」(平成28年度~)

(2)「医療機関と連携した精神障害者の就労支援モデル事業」(平成25年度~)

(3)「福祉、教育、医療から雇用への移行支援事業」

(4)「長期にわたる治療等が必要な疾病をもつ求職者に対する就職支援事業」

(5)精神障害者雇用トータルサポーター

 

労働施策のうち、医療機関を運営する法人等が就労支援機能を強化する上で活用しているものとしては、「ジョブコーチ支援」と「障害者就業・生活支援センター」があります。このほか、地域障害者職業センターの行う「リワーク支援」等の事業や職場復帰等に際して企業が利用できる助成金等もあるので、情報を集めておくと良いでしょう。

(1)ジョブコーチ支援(訪問型)

(2)障害者就業・生活支援センター

(3)地域障害者職業センターのリワーク支援

(4)職場復帰支援に係る助成金

事故や難病の発症等による中途障害等により、長期の休暇を余儀なくされた在職中の方に対して、職場復帰のために必要な職場適用の措置を実施した事業主に対して、「障害者職場復帰支援助成金」を支給する制度があります。支給額は、中小企業72万円、大企業54万円で、1年間を対象に6か月ごとに区分した支給対象期間ごとに、その期間に支払われた賃金額を上限として助成されます。ほかにも企業が利用できて、職場復帰に活用できる助成金がありますので、厚生労働省のホームページの「雇用関係助成金のご案内」を参照されると良いでしょう。

(参考)

障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース) (リンク)

障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)のご案内(リンク)

事業主の方のための雇用関係助成金(リンク)

初回の休職の場合には、医療機関の外来やリワークプログラムで復職できるケースも多いようですが、休職を繰り返す場合などは、医療機関のリワークのほか各都道府県にある地域障害者職業センターが実施するリワーク支援を活用すると効果的です。リワーク支援の利用は、在職中の者に限られ、支援開始にあたっては雇用事業主、支援対象者、主治医の三者の同意を必要としています。利用に際しては、精神障害者保健福祉手帳等を取得していることは条件とされていません。リワーク支援の支援期間は3~4か月程度で、復職先の職務及び環境への対応やストレス対応等の適応力の向上に向けた支援が行われています。地域障害者職業センターでは企業側への支援も充実しているため、休職を繰り返すようなケースで企業側での環境整備が不可欠な場合には、医療機関から患者に対しリワーク支援を紹介することも効果的でしょう。

(参考1)うつ病などで休職しており、職場復帰をお考えの方に(リンク)

(参考2)職場復帰支援(リワーク支援)~利用者の声~(リンク)

 

(参考3)地域障害者職業センターの概要

(参考4)地域障害者職業センター一覧

「障害者就業・生活支援センター」は、障害者の身近な地域において、雇用、保健福祉、教育等の関係機関の連携拠点として、就業面及び生活面における一体的な相談支援を実施するもので、全国に332センター(平成29年4月3日現在)が設置されています。このうち、医療機関を運営する医療法人や公益財団法人、一般財団法人が設置主体のものが11センターあり、ほかにも医療機関を運営する医療法人等を母体に設立された社会福祉法人が設置主体の障害者就業・生活支援センターもあります。

障害者就業・生活支援センターでは、精神障害者の就労支援に当たっての医療機関との連携の難しさが課題として指摘されており、同一法人や関連法人に医療機関があることで、こうした課題への対応がどこまで可能かが問われています。

国の事業である障害者就業・生活支援センターは、既に全国的な整備が進んでいるため、新たに整備される余地は少ないですが、一方で、都道府県や政令市の単独事業として、「障害者就業・生活支援センター」に類似した機能を有するセンターの整備を進めている地域もあります。

 

(参考)

障害者就業・生活支援センターの概要

障害者就業・生活支援センター一覧(平成29年4月3日現在332ンター)(リンク)

 

職場適応援助者(ジョブコーチ)支援は、職場にジョブコーチが出向いて、障害特性を踏まえた直接的で専門的な支援を行い、障害者の職場適応、定着を図ることを目的としています。ジョブコーチ支援には、①地域障害者職業センターに配置されたジョブコーチが企業等に訪問して行う支援(配置型)、②社会福祉法人等に配置されたジョブコーチが企業等に訪問して行う支援(訪問型)、③企業に配置されたジョブコーチが当該企業において行う支援(企業在籍型)の3タイプがあります。このうち②の「訪問型」については、平成27年度から対象法人の認定要件が緩和され、医療法人でも活用しやすくなりました。

これにより、デイケア利用者のうち一般就労を希望する者について、デイケアでは制度上制約が多かった職場実習(2か月以内に雇い入れられることが確実な場合に限られます。)等の施設外活動や就職後の職場訪問等の定着支援活動についても、訪問型ジョブコーチ支援を活用することで対応できる可能性が広がりました。

訪問型ジョブコーチ支援に従事する者は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の実施する訪問型職場適応援助者養成研修又は厚生労働大臣が定める研修を修了した者であって、必要な相当程度の経験及び能力を有する者とされています。なお、訪問型職場適応援助者養成研修の受講料を事業主がすべて負担し、かつ、養成研修の終了後6か月以内に初めての支援を実施した場合は、受講料の半分が事業主に対して助成されます。

訪問型ジョブコーチ支援の活動は、訪問型職場適応援助促進助成金の支給対象となりますので、窓口となる都道府県労働局に事前に確認してください。個別の支援については、地域障害者職業センターの作成又は承認する支援計画に基づいて行うことが必要です。助成金額は、支援計画に基づく支援日数1日当たり16,000円(移動時間を含む支援時間が4時間未満の日は8,000円)となっています。

なお、都道府県や政令市等の単独事業として、国の「ジョブコーチ支援」と同様の事業を実施している例もあります。

 

(参考)ジョブコーチ養成研修機関

現在、職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修については、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のほか、厚生労働大臣が定める研修を行う民間の研修機関において実施されています。研修の詳細については、各研修機関にお問い合わせください。

【独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構】

・訪問型職場適応援助者養成研修 (リンク)

【厚生労働大臣が定める研修を行う民間の研修機関】

・NPO法人ジョブコーチ・ネットワーク

・NPO法人大阪障害者雇用支援ネットワーク

・NPO法人くらしえん・しごとえん

・NPO法人全国就業支援ネットワーク

・NPO法人なよろ地方職親会

・社会福祉法人南高愛隣会

障害者総合支援法に基づき提供される就労支援サービスには、「就労移行支援事業」、「就労継続支援事業(A型)」及び「就労継続支援事業(B型)」の3つがあります。これらの事業を行う施設には、複数の事業を同じ施設で行う多機能型もあります。いずれの事業も、医療機関を経営する医療法人等でも実施できるため、これらの事業を行う施設を医療機関に併設したり、医療機関の近くに開設することにより、治療と就労支援を密接に連携して提供できる可能性があります。利用者は当該医療機関の患者に限られず、広く地域の障害者が対象となりますが、運営主体が精神科の医療機関を経営している施設では、精神障害を有する利用者が多くなる傾向にあります。

一般就労に最も近い立ち位置にあるのは「就労移行支援事業」であり、デイケア等から一般就労へとつなげる機能が期待されていますが、一般就労への移行実績は事業所により相当の格差があります。このため、一般就労を希望する患者に対して、デイケアの出口として紹介する先として、地域にある就労移行支援事業所の中でどこが適切か、送り出す医療機関の側でも、しっかり見定めておくことが必要でしょう。この点に関連して、障害者総合支援法の改正により、新たに「障害福祉サービス等の情報公表制度」が創設される(平成30年4月施行)ことが注目されます。同様の仕組みは、既に介護保険で導入されていますが、障害福祉サービスの施設・事業者に対して、サービス内容等を都道府県知事へ報告させるとともに、都道府県知事は報告された内容を公表するという仕組みです。就労移行支援事業については、一般就労への移行実績も公表対象になるでしょうから、利用者だけでなく医療機関の側でも、一般就労への道筋を描きやすくなると思われます。

(参考)障害福祉サービス等の情報公表制度の創設(平成30年4月~)

 

(1)就労移行支援事業

「就労移行支援事業」は、一般企業等への就労を希望する障害者(通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者)を対象に、①就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、②求職活動に関する支援、③職場開拓、④職場への定着支援を行うもので、利用期間は2年とされています。一般就労を希望するデイケア等の利用者に対しては、できるだけ早く就労移行支援事業に移行させ、職場実習、就職支援を行うとともに、採用後の定着支援を行うことが望まれます。就職後には平日のナイトケアや休日のデイケアを医療機関の側で担うなど、就労移行支援事業の定着支援活動との密接な連携により、安定的な就労を実現させている例もあります。

一般就労への移行実績が施設間で相当格差があるほか、定着支援の取り組みが必ずしも十分でないといった指摘もあったことから、就職後の職場定着率に応じた給付費の加算制度が設けられています。更に、障害者総合支援法の改正により、一般就労に移行した者の就労に伴う生活面の支援を行う「就労定着支援」サービスが創設され、これらを活用して職場定着の支援の充実が期待されています。

 

(2)就労継続支援事業(A型)

「就労継続支援事業(A型)」は、一般企業等での就労が困難な障害者(通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能である者)に対して、雇用契約を締結して就労の機会を提供し、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うものです。雇用の形態はとっていますが、自立支援給付が支給されたり、利用料負担を求めるなどの点で、通常の一般就労とは異なります。利用者の中には、一般就労に移行できる者も相当存在しているとの指摘もあり、利用者の状況を適切に把握し、一般就労に移行できる者については、地域の就労支援機関と連携して一般就労に結び付けていくことが求められています。

 

(3)就労継続支援事業(B型)

「就労継続支援事業(B型)」は、一般企業等での就労が困難な障害者(通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である者)に対して、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行うものです。本事業の利用者についても、一般就労に移行できる者も存在するとの指摘が一部の施設にあり、「就労継続支援事業(A型)」と同様、一般就労に移行できる者については、地域の就労支援機関と連携して一般就労に結び付けていくことが求められています。このほか、一般就労の継続が困難になった者の受け皿としての機能も期待されています。