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独立行政法人労働者健康安全機構は全国にある労災病院を運営している法人ですが、平成31年3月19日に機構本部(神奈川県川崎市)において障害者雇用に関する研修会が開催され、当ネットワーク代表世話人から「労働者健康安全機構における障害者雇用の課題と展望~働き方改革に資する障害者雇用~」をテーマとした講演を行いました。研修会には同機構の理事長をはじめ機構本部の役職員、隣接する関東労災病院を含め約70~80名の参加がありました。

(講演資料:一部抜粋)

健康経営優良法人認定制度は、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目的としています。3年目となる「健康経営優良法人2019」は、平成31年2月21日に発表されました。「大規模法人部門(ホワイト500)」では821法人、「中小規模法人部門」では2503法人が認定されました。公表された認定法人一覧を見ると、医療法人は大規模法人部門で18法人、中小規模法人部門で13法人が認定されています。他産業と比べると、医療分野では認定取得法人の数が極端に少ない現状ですが、医療機関でも「働き方改革」が進められる中、人材確保の観点からも健康経営に対する関心は今後は高まっていくことでしょう。

なお、認定を受けた医療法人が所在するのは、福島、群馬、埼玉、千葉、東京、富山、石川、福井、岐阜、愛知、滋賀、京都、大阪、奈良、岡山、広島、福岡、鹿児島の18都府県で、それ以外の29道県はゼロでした。なお、医療法人以外にも財団法人や社会福祉法人で医療機関を経営している法人はありますので、一覧表で確認ください。

 

【大規模】健康経営優良法人2019認定法人一覧(PDF形式:663KB)

【中小規模】健康経営優良法人2019認定法人一覧(PDF形式:903KB)

昨年夏以来、公務部門における障害者雇用率の不適切算定が問題となり、必要雇用数に対して大幅な不足が認められた国や地方公共団体の機関では、早急な対策が求められています。一方で、十分な受け入れ体制がない中で短期間に多数の障害者を雇用することについての懸念もあり、国の審議会(労働政策審議会障害者雇用分科会)でも「数合わせとならないよう雇用の質の確保を図ることが必要である」と指摘されています。

これまで民間企業での障害者雇用を進める中で蓄積されてきた様々なノウハウや支援サービスがありますが、これらが十分活用されれば、公務部門の障害者雇用も円滑に進むはずですが、聞こえてくる限りでは、雇用する側には十分な情報が与えられず、現場には当惑が広がっています。

障害者を人事部門で雇用し、雇用した人材を現場に割り当てて配置すれば終了というものではありません。個々の障害者に仕事を教える以前に、組織全体として企業在籍型ジョブコーチの配置を含め障害者雇用をどのような体制で進めるのか決める課題もあります。障害者を雇用するルートについても、特別支援学校を含めるなら、3年次の現場実習に向けた調整を始めなければなりません。

こうしたことを含めた公務部門における障害者雇用の進め方のポイントを作成してみました。障害者雇用をこれから進めようとする比較的規模の大きな医療機関にも参考になる内容かと思います。障害者の就労支援に関わる皆様からのご意見をいただきながら、更に充実したものとし、公務部門における障害者雇用のサポートに活用いただければと思いますので、宜しくお願いいたします。

○「公務部門における障害者雇用の進め方のポイント」

 

特定非営利活動法人 全国精神障害者就労支援事業所連合会(Vfoster)が公益社団法人JKA補助事業により実施しているSPISの普及活動について、平成30年度事業報告会「精神・発達障害者の就労定着のために~障害者雇用のあり方と職場の取組を考える」が平成31年1月25日に東京都品川区の人事労務会館で開催されました。SPIS(Supporting People to Improve Stability)は、精神障害や発達障害のある方やメンタル不調のある方向けの雇用管理システムで、個人の特性に合わせて評価項目を設定できる日報形式のシステムになっており、働く当事者それぞれの特性に合わせて項目設定した日報をウェブ上で利用者本人、職場の担当者、外部支援者の三者で共有するものです。

報告会では、島津製作所と全国土木建築国民健康保険組合からSPISの利用についての事例報告がありました。島津製作所では、メンタル不調者からSPISのトライアルをスタートし、現在ではメンタル不調者3名、精神障害のある社員3名の計6名がSPISを利用している事例について、同社人事部マネージャーの境浩史さんから報告がありました。全国土木建築国民健康保険組合では、同組合が運営する病院や健康管理センター等の健診の際に提出される問診票データの入力業務を基幹業務に、発達障害のある職員を新規に雇用した際に、採用以前から就労移行支援事業所で利用されていたSPISを引き続き導入した事例について、同組合人事課係長の町田睦夫さんから報告がありました。

その後、当ネットワーク代表世話人の依田から「SPISを使って分かったこと&遠隔支援の普及の課題」と題した報告を行いました。SPISのような遠隔支援システムは、限られた専門職を有効活用する点でも、全国に支店や営業所のある大手企業などでは特に効果的と思われます。全国に事業所が散在する点で同様の環境にある中央省庁では、精神障害者や発達障害者を今後大量に雇用すると予想されるだけに、職場定着に効果的な遠隔支援システムの導入が期待されます。他方、精神障害や発達障害の延長には、うつ病の休職者や自閉症スペクトラム(ASD)などの産業保健や労務管理上の課題がありますが、SPISによる「見える化」を通じて、一見問題がなさそうでも課題を抱える社員の存在に目が向けられるようになれば、メンタル面に課題を抱える社員にも働きやすい職場環境ができることにも繋がると考えられます。

「SPISを使って分かったこと&遠隔支援の普及の課題」

キャノン(株)を2018年7月に退職し、8月より個人事業主として日本赤十字社と「障害者雇用促進アドバイザー」の委託業務契約を締結いたしました。JC-NETの企業在籍型職場適応援助者養成研修第16期修了生です。本ネットワークに参加させて頂き、全国に配置されている当該医療機関(219施設)の雇用促進のために情報交換をさせて頂きたく登録を申請致します。どうぞよろしくお願い致します。

一般社団法人これからの福祉と医療を実践する会の例会に講師として招かれ、「障害者雇用への見方を変える~福祉医療の現場に歓迎される障害者雇用」をテーマとした講演を行いました。この会は医療機関を中心とした勉強会組織で、毎月一回の例会を開催しており、当日の受講者も医療機関の事務部門の方が中心でした。

今回は医療機関の方を中心とする講演でしたので、「障害者雇用に対する医療機関の懸念」「やってみて実感された障害者雇用のメリット」「障害者雇用の失敗の原因」「医療機関の障害者雇用の成功への道筋」など、医療機関での実例を参考とした具体的なお話をさせていただきました。

「障害者雇用に対する医療機関の懸念」

「やってみて実感された障害者雇用のメリット」

「障害者雇用の失敗の原因」

「医療機関の障害者雇用「成功への道すじ」」

講演後の意見交換では、受講された方から「地域の病院の事務部長の集まりで障害者雇用の話題が出ると、知的障害者を雇用したが現場の負担が大きくて大変だったような話ばかり出てくるので、自分も障害者雇用については消極的だったが、今日の講演を聞いて考えが大きく変わった。医療機関では、こうした話を聞く機会が今までなかったが、もっと地域の医療機関の関係者に聞いてもらうようにしたい」とのご意見をいただきました。当ネットワークのホームページをご覧いたたくだけでも、多くの情報が得られますので、ホームページをご覧いただいた方には、是非、医療機関の方にお知らせいただくようお願いします。

(講演資料)

 

厚生労働省は、平成30年12月25日付けで「平成30年 国の機関等における障害者雇用状況の集計結果」を公表しました。例年この時期に公表されるのは、6月1日現在の民間企業と国の機関等の雇用状況の数値ですが、今回は国の機関等の集計結果のみで、民間企業における雇用状況については「データ入力のための作業ツールの不具合により、平成31年3月末までに公表する予定」とのことです。

(資料)「平成30年 国の機関等における障害者雇用状況の集計結果」

昨年夏以来、公務部門における障害者雇用率の算定について不適切な問題が指摘され、平成29年6月1日現在の障害者雇用状況の数値が大幅に下方修正されたことから、今回新たに取りまとめられた平成30年6月1日の数字も同様に低いものとなっています。

このうち、医療機関の運営を主とする法人の状況を見ると、国レベルの機関では国立がん研究センター(2.63%)、国立国際医療研究センター(2.59%)、国立循環器病研究センター(2.65%)、国立成育医療研究センター(2.58%)、国立精神・神経医療研究センター(2.51%)、国立長寿医療研究センター(2.75%)、国立病院機構(2.49%)、地域医療機能推進機構(2.69%)、労働者健康安全機構(2.91%)となり、国立病院機構(不足数5名は既に解消)を除けば法定雇用率を上回る結果でした。これに対して、医科系の国立大学では旭川医科大学(2.27%)、東京医科歯科大学(2.38%)、浜松医科大学(2.42%)、滋賀医科大学(2.31%)といずれも法定雇用率を下回る結果でした。

一方、都道府県の病院局では、北海道立病院局(1.05%)、青森県病院局(2.61%)、岩手県病院局(2.53%)、福島県病院局(3.23%)、茨城県病院局(1.31%)、群馬県病院局(2.65%)、埼玉県病院局(2.57%)、千葉県病院局(2.32%)、新潟県病院局(3.19%)、静岡県がんセンター局(2.49%)愛知県病院事業庁(2.80%)、三重県病院事業庁(3.97%)、兵庫県病院局(1.79%)、南和広域医療企業団(1.97%)、鳥取県病院局(2.51%)、島根県病院局(0.58%)、徳島県病院局(3.14%)、長崎県病院企業団(2.53%)、熊本県病院局(1.53%)、大分県病院局(4.22%)、宮崎県病院局(1.43%)、鹿児島県県立病院局(0.60%)と法人によって大きな差があります。

特に不足数の多い兵庫県病院局(27.5人)、島根県病院局(9.0人)、鹿児島県県立病院局(9.0人)、茨城県病院局(7人)、北海道立病院局(6.0人)、宮崎県病院局(6.0人)では、ジョブコーチを配置したチーム就労の体制を作ることが効果的と思われます。その意味では、地域の就労支援機関から積極的に働きかけを行うなど、地域での総合的かつ継続的なサポート体制の構築が期待されます。

奈良県立医科大学付属病院の障害者雇用の取り組みが、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の発行する「働く広場」2019年1月号において6ページにわたり写真入りで紹介されました。当ネットワークメンバーの岡山弘美さんが中心となって2014年から進めてきた病院での障害者雇用は、現在は33人(知的障害26人、発達障害4人、精神障害2人、身体障害1人)が多彩な業務で活躍していますが、現場の専門職からの要望も強く、更に雇用数を増やしていくそうです。院長や看護部長等のコメントも記載されていますので、とても参考になると思います。

「働く広場」2019年1月号(P4~P9に掲載)

 

平成30年12月21日に平成31年度予算政府案が閣議決定され、厚生労働省では障害者雇用施策関係予算案を「障害者に対する就労支援の推進~平成31年度障害者雇用施策関係予算案のポイント~」に取りまとめ、公表しました。

平成30年夏以降に中央省庁の障害者雇用率の不適切算定が問題となったことを受け、「公務部門における障害者雇用の推進」(343百万円)が新規に予算計上されたほか、新規事業として「精神障害者等就労パスポートの整備・普及」(8百万円)「障害者テレワークの好事例の周知」(6百万円)及び「農業分野へのマッチング支援」(5百万円)が予算計上されています。

公務部門の障害者雇用については、各府省等向けのセミナー・職場見学会の開催、職場定着支援等の実施のほか、厚生労働省においても障害特性に応じた個別支援、障害に対する理解促進のための研修等に取り組むこととしています。

今回の問題が顕在化した昨年8月時点では、既に平成31年度の概算要求の内容が固まっていたこともあり、追加的な予算措置は講じにくい面がありました。このため、今後の中央省庁における障害者雇用の進展状況も見ながら、2020年度予算に向けた対策の検討と予算化が期待されるところです。

(資料)平成31年度障害者雇用施策関係予算案のポイント