新着情報

公益財団法人共用品推進機構は、共用品・共 用サービスの調査研究を行うとと もに、共用品・共用サービスの標 準化の推進及び、共用品・共用サー ビスの普及啓発を図っています。 さらに製品及びサービスの利便性 を向上させ、高齢者・障害のある 人々を含めた全ての人たちが暮ら しやすい社会基盤づくりの支援を 行うことを目的とした活動を展開しています。同機構では、経済産業省の協力の下に、高齢者や障害者に配慮した国内外の規格づくりを積極的に進めており、令和4年度にスタートした「新たな日常生活における障害者・高齢者アクセシビリティ配慮に関する国際標準化委員会」には、当ネットワークからも委員として参加しています。令和4年度の同機構の事業報告が情報誌「インクル」に掲載されていますので、紹介させていただきます。

「令和4年度事業報告書 アフターコロナ時代のアクセシブルデザイン」(インクル第145号掲載)

公益財団法人共用品推進機構が隔月で発行する情報誌「インクル」では、2023年7月25日発行の第145号において「合理的配慮」について特集しています。特集記事の中では、当ネットワーク代表の依田の「雇用分野での合理的配慮」が掲載されています。「合理的配慮」の考え方については、少しずつ理解が広がってきましたが、それとともに現場では対応に苦労される場面も増えてきました。その背景には、サービス提供の分野と雇用分野とでは「合理的配慮」の根拠法も異なり、その目的とするところが異なるにも関わらず、そのことが関係者の間でもあまり理解されていないことがあるように思います。「合理的配慮」として雇用主側が配慮を求められ、「過重な負担」でなければ対応するという以前の問題として、そもそも「雇用分野での合理的配慮」が何を目的とするかを明確にすることが、建設的な議論を行う上では不可欠なことを、この記事から感じ取っていただければと思います。

「雇用分野での合理的配慮」(インクル第145号掲載)

「インクル」のご紹介

国の機関の職員に対する障害者の職場適応支援者養成セミナーの大阪での令和5年度第1回目が、7月18日から4日間の予定でドーンセンター(大阪市)で開催されました。セミナーには、国の6機関から7名が参加されました。参加者が少数だったこともあり、講義の中でも積極的に質問が出て、少人数のメリットを感じることができました。今回の研修に限りませんが、「合理的配慮」についてどこまで対応すべきか悩まれている話をよく聞きます。障害者がサービスの受け手である場合は「障害者差別解消法」の適用対象ですが、雇用されている障害者に対する対応は「障害者雇用促進法」の適用対象となります。後者の場合は、障害者も賃金を得て働く労働者という立場であり、障害者雇用促進法により「職業に従事する者としての自覚を持ち、その能力の開発及び向上を図り、有意な職業人として自立する」という努力義務が課せられています。セミナーでは、雇用の局面での「合理的配慮」には、この努力義務が前提にあるとした上で、「障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために講ずる」ものであることを説明しています。なお、今回の研修でも国機関での障害者雇用の事例報告が予定されています。同じ公務部門での障害者雇用の事例は聞く機会が少ないだけに、受講者の皆さんにも大変参考になることでしょう。

特定非営利活動法人WEL’s TOKYOが東京都から受託している令和5年度東京都就労支援機関連携スキル向上事業のマッチングスキル等向上研修において、「経営者に響く『障害者雇用の効果』〜健康経営と多様性〜」をテーマとしたe-ラーニング講義を行うため、昨年度に続き収録を行いました。

障害者雇用において「量の確保」から「質の向上」が問われる一方で、障害者雇用に取り組むことが職場の上司や同僚にとって、更には企業経営にとって、どのような意義やメリットがあるのか、「腹落ち」できる説明が求められています。その説明にあたっては、企業の間で関心が高まっている「健康経営」や「多様性」という切り口が効果的であること、障害者雇用にはそのために役立つスキルが豊富にあることを具体的に解説しました。「心理的安全性」の高い職場づくりに障害者雇用の経験が役立つことも、就労支援機関の皆さんには是非関心を持ってもらい、そうしたノウハウも含めて企業にアドバイスできるスキルを身につけていかれることを期待しています。

(資料)「経営者に響く『障害者雇用の効果』〜健康経営と多様性〜」

国の機関の職員に対する障害者の職場適応支援者養成セミナーの東京での令和5年度第1回目が、6月26日からAP市ヶ谷(東京都千代田区)で開催されました。国の機関からの参加者は20名となりました。受講者の勤務地を見ると、東京近辺のほか山形県や佐賀県からの参加もありました。令和元年度から東京と大阪の会場で開催されてきたセミナーも、今回で18回目を迎えました。国の機関は全国に所在していることから、こうした研修は東京と大阪だけでなく、ブロック単位で開催してほしいという要望もあるようです。こうした要望に応えていくためには、国機関だけでなく、地方公共団体も含めた「公務部門」の障害者雇用セミナーのような形も考えられるでしょう。全国各地から参加しやすい方法となると、オンラインでの開催も考えられますが、公務部門で障害者雇用に携わっている職員同士が情報交換したり、地元の就労支援機関を知る機会が作れる、障害者雇用事業所での実習もできるという点では、やはり対面での研修機会はメリットがあると思われます。その上で、基本的な説明部分はビデオ録画を活用するような工夫を考えていけば良いのではないでしょうか。いずれにしても、全国にある公務部門の職場の皆さんに対して、障害者雇用に必要なノウハウを学べる機会を広く提供していくことは、公務部門の障害者雇用の質を向上させていくためには不可欠なことです。

(講演資料)

「公的部門における職場適応支援者の役割①~働き方改革に資する障害者雇用の進め方~」「公的部門における職場適応支援者の役割②~公務部門での障害者雇用事例に学ぶ~」

 

福岡労働局と福岡障害者職業センターの主催で、第1回事業主支援ワークショップ「医療機関での障害者雇用の進め方〜先進的な取組を展開している医療機関の情報をお届けします〜」が令和5年年6月16日(金)に、しんくみ赤坂ビル(福岡市中央区)で開催されました。講師は、当ネットワークのメンバーである特定医療法人財団博愛会介護事業部事務長・障害者雇用推進室室長の呼子修一さん、障害者雇用推進室ジョブコーチ主任の仲西千絵さんと、博愛会病院看護部長・教育研究室室長の田中素子さんの3人です。

呼子さんからは、障害者雇用の推進体制、業務の種類、院内での職域開拓、業務スケジュール、採用(実習)の流れ、キャリアアップ、評価の仕方など、現場に役立つ情報が提供されました。仲西さんからは、ジョブコーチの役割に加え、個人ごとの業務スケジュールの立て方、作業マニュアルの作り方など具体的な支援内容について説明がありました。田中さんからは、障害者雇用について院内での理解を深めるための取組み、障がい者雇用者(ケアメイト)を受け入れた現場の職員の声、看護管理者としてケアメイトを受け入れたことの意義について話されました。介護人材の確保が難しくなる中、ケアメイトは病院において看護・介護職の負担軽減を図るための貴重な戦力として、無くてはならない存在になっているとともに、労働力だけではない価値を生み出しているという看護部長の説明からは、医療機関の障害者雇用には法令遵守にとどまらない積極的な意味があるというメッセージが伝わったと思います。

法定雇用率の引上げと除外率の引下げが迫る中、障害者雇用をどう進めるか頭を悩ましている医療機関も多いでしょうが、3人の講師のお話には現場の職員に役立つノウハウが満載で、これから障害者雇用を進めようとする病院にとっては、大変参考になったことでしょう。

(講演資料)

「医療機関での障害者雇用の進め方」(呼子講師・仲西講師資料)

「障がい者雇用者(ケアメイト)と共に働く」(田中講師資料)

 

 

2023年5月29日にオンラインで開催された「障害のある人の欠格条項って何だろうQ&A」 出版記念イベントの講演部分の映像が公開されました。
講演では、執筆者の中の医療従事者として、視覚障害のある医師の福場翔太さん、聴覚障害のある医師の関口麻里子さん、てんかんとうつ病のある看護師の加納佳代子さんの3人から、それぞれの体験とメッセージをお話されています。どなたのメッセージも心に響くものがあり、医療機関の障害者雇用を進める上でも、大変参考になると思います。
映像には字幕がついており、ウェブサイトからは当日資料のテキストデータもダウンロード可能です。
スマートフォンで視聴される場合、文字列の端が切れる場合があるので、できればパソコンやタブレットでご視聴くださいとのことです。

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下「障害者差別解消法」という。)に基づき、民間事業者には障害を理由とする差別が禁止されるとともに、障害の「社会モデル」の観点から、障害者に対する合理的配慮の提供の努力義務が課されています。この合理的配慮の提供に係る努力義務については、令和6年4月1日から法的義務に移行することになっています。これに伴い、障害者差別解消法に基づき策定されている「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」も改正され、令和6年4月1日から適用されることになりました。

「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(令和6年4月1日施行)

新旧対象表

医療機関を例にとると、この措置は医療機関の提供するサービスを利用する患者・家族等を対象にするもので、医療機関が雇用する者を対象とするものではありません。

障害者差別解消法第13条では、行政機関等及び事業者が「事業主」としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、障害者の雇用促進等に関する法律(以下「障害者雇用促進法」という。)の定めるところによると規定されており、障害者雇用促進法では既に民間事業者も含めて差別禁止と合理的配慮の提供は法的義務となっています。

 

厚生労働省の地方機関である都道府県労働局職業安定部では、障害者である労働者と事業主の間で、障害者であることを理由とする差別や合理的な配慮の提供に関するトラブルが生じた場合に、当事者の一方または双方からの申し出があれば、トラブルの早期解決のための援助を行っています。

紛争解決制度のご案内