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NPO法人全国精神保健職親会(vfoster)(理事長:中川 均)主催の日本財団助成事業報告会「医療–福祉–企業をつなぐ「ともに働く」地域連携ネットワーク」が東京都立産業貿易センター浜松町館(東京都港区)で開催され、オンライン参加と合わせて60名ほどが参加されました。

島根県浜田市にある清和会西川病院の林輝男医師による基調講演「医療–福祉–雇用の地域連携に向けて〜精神科病院からの就労支援〜」に続き、各地での取り組みとして、いわき市障がい者職親会理事長の石山伯夫さん、兵庫県精神障害者就労支援事業所連合会会長の野村浩之さん、兵庫県精神保健福祉センターの中谷恭子さんから報告がありました。その後、前半の登壇者4名に加え、全国就業支援ネットワーク代表理事の藤尾健二さん、東京中小企業家同友会会員の三鴨岐子さん、厚労省障害者雇用対策課長の小野寺徳子さんを交えたパネルディスカッションが行われ、当ネットワーク代表の依田がファシリテーターを担当しました。

パネルディスカッションでは、ネットワークに自治体を誘い込むコツ、障害者就業・生活支援センターの「基幹型」としての役割と自立支援協議会の活用、ネットワークの一員としての企業のノウハウの活用等について、登壇者から活発な発言がありました。

ネットワークについては、地域の課題や支援機関の役割について共通認識する場として、基幹相談支援センターや自立支援協議会(就労支援部会)の活用も指摘されました。就業支援は労働行政で広域的な対応なのに対して、生活支援は福祉行政で市町村単位の対応という違いはありますが、だからこそ障害者の雇用行政と福祉行政が一緒になって「連携」を促す明確なメッセージを発信し、連携を進めやすい具体的な仕組みづくりを進めることが期待されます。

また、企業が法定雇用率の達成のみを目的に雇用率ビジネスの利用に走らずに、障害者の能力を活かして戦力化していくためには、障害者雇用の経験やノウハウがある企業からの情報発信が効果的という指摘もありました。厚労省で検討中の助成金制度の見直しの中に「障害者雇用相談援助助成金」の新設が盛り込まれた趣旨も、こうした企業からのアドバイスを広げる目的があるとの説明がありました。

地域の取組事例からは、地域ごとに様々なネットワークづくりがあり、そこから様々なヒントが読み取れることを感じたパネルディスカッションとなりました。

 

医療法人芳越会の運営するホウエツ病院(徳島県美馬市)は、地域の2次救急医療を担う病院(病床数65床)です。今回、当ネットワークに参加いただいたのを機会に、同病院の障害者雇用の取り組みをまとめた資料を提供いただきましたので、ご紹介します。

同病院では、各部署からの業務の切り出し、ホワイトボードによるタイムスケジュールの可視化、全ての業務を対象としたカード式マニュアルの整備、体調変化などを把握しやすい業務日報の作成など、様々な工夫をしながら障害者雇用を進めています。障害者雇用の事例として紹介される病院は、都市部の規模が大きい病院が多いですが、地方の中小規模の病院でも工夫次第で障害者雇用を積極的に展開できることが分かる好事例なので、参考にしていただければと思います。

(資料)「ホウエツ病院における障がい者雇用紹介」

 

 

医療機関で働く障害のあるスタッフも増えてきましたが、院内で働く彼らや彼女らのことをどう呼ぶのか、医療機関によって呼称は様々です。医療機関には様々な専門職が働いているので、個人名を使わない場合は、看護師さん、薬剤師さん、技師さんなどの職名で呼ぶことも多いと思います。これに対して、障害のあるスタッフには明確な職名がないため、「障害者雇用の人」や「障害者雇用のスタッフ」と呼ぶことも多いようです。集中配置型の場合には、そのチームの組織名で「○○のスタッフ」と呼ばれたり、着ているユニフォームの色で「○○色のチーム」と呼ばれることもあるようです。

 福岡市にある博愛会病院でも、当初は「障がい者雇用者」という呼び方をしていましたが、特別支援学校からの実習を受け入れた際、実習生から「障害は受け入れないといけないと頭ではわかっているのですが、やっぱり(障害者という言葉は)嫌だなという気持ちはあります」「小学校や中学校の同級生にどんな仕事をしているか将来聞かれた時に、ちゃんと答えられるような名前が欲しい」と言われたそうです。そこで、障害者雇用枠で働いている職員にも話を聞いたところ、同じ言葉が返ってきたそうです。自分の仕事を誇れる名称が欲しいという思いを受け止め、病院では障害者雇用枠で働いている職員を含む職員の皆さんから広く意見を募集しました。

 色々な意見が出てきた中で採用されたのは、障害者雇用枠で働いている職員から提案された「ケアメイト」という名称でした。提案者の自筆で書かれたメモには、「ケア」=「人にしてあげたいという気持ち、社会貢献」と「メイト」=「仲間」で、「職員のみんなの支えになりたい」という思いを込めたと書かれていたそうです。自己紹介する際に、「私はケアメイトの仕事をしています。ケアメイトの仕事というのは〜」と、自分の仕事を誇らしく説明する姿を見るにつけ、呼称の持つ力というものを感じざるをえません。

兵庫県精神障害者就労支援事業所連合会(職親会)、全国精神保健職親会(vfoster)、兵庫県精神保健福祉センターの主催による研修会「精神科医療機関と連携したネットワークづくり」が令和5年3月1日に兵庫県こころのケアセンター(神戸市)で開催され、精神障害者の就労に関わる福祉事業所、就労支援機関、医療機関、行政機関、職親を含む民間事業所等から70名ほどが参加しました。

研修では最初に当ネットワークの依田から「精神障害者の雇用を支える地域の連携〜就労支援のネットワークづくり〜」をテーマに講演を行いました。講演では福祉的就労から一般就労に繋げていく流れを作るネットワークづくりの具体的な進め方として、「地域連携就労支援パス」の作成を提案しました。また、令和4年診療報酬改定で創設された「療養生活継続支援加算」により、医療機関の精神保健福祉士が関係機関と「顔の見える」関係を作りやすくなったことや、令和5年度に創設される「障害者雇用相談援助助成金(仮称)」により、雇用経験の豊富な事業所のノウハウを他の事業所に提供しやすくなることなど、ネットワーム形成に資する最新の動きも紹介しました。

講演に引き続き、全国精神保健職親会理事長の中川均さんの司会で座談会が行われ、北播磨障害者就業・生活支援センターの森一人さん、兵庫県精神障害者就労支援事業所連合会会長の野村浩之さんとともに、地域のネットワークづくりについて語り合いました。ネットワーク作りにおいては、自らの弱い部分を認識し、その部分を得意とするところと繋がる関係が大切ですが、座談会での話の中からも、医療機関、福祉事業所、就労支援機関等がそれぞれの役割分担で一般就労に向けた取り組みをしている事例や、行政機関が民間事業所のノウハウを活用してる事例など、それぞれの強みを活かしたネットワークづくりが紹介されました。

(資料)「精神障害者の雇用を支える地域の連携〜就労支援のネットワークづくり〜」

 

一般社団法人徳島県障がい者雇用支援協会の主催による「徳島『働こう!』交流会」が令和5年2月25日にオンライン方式で開催され、100名を超える参加がありました。「徳島『働こう!』交流会」は、雇用企業や支援機関の皆さんのほか、働いている障がいのある方も多く参加している点に特色があります。

交流会では、初めに「徳島県障がい者雇用支援協会・従業員表彰」の報告があり、勤続15年・10年・5年の表彰を受けられた皆さんの紹介があり、続いて「医療機関における障がい者雇用」をテーマとしたパネルディスカッションが行われました。

パネルディスカッションでは、最初に当ネットワークの依田から「医療機関での働き方」と題して、医療機関は専門職の多い職場であること、多忙である専門職の仕事を手助けする仕事がたくさんあることについて、具体的な事例で詳しく紹介しました。引き続き、徳島県内の2病院から障害者雇用の事例発表がありました。美馬市にある医療法人芳越会事務局長の岩脇美和さんからは、地域の2次救急医療を担うホウエツ病院(病床数65床)の障害者雇用について、各部署からの業務の切り出し、ホワイトボードによるタイムスケジュールの可視化、全ての業務を対象としたカード式マニュアルの整備、体調変化などを把握しやすい業務日報の作成など、現場で工夫された様々なノウハウの紹介がありました。鳴門市にある医療法人敬愛会が運営する南海病院(精神科301床)の精神保健福祉士の法華伸午さんからは、障害者雇用に取り組むに当たって、ハローワークのほか障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターの専門機関の協力を得て、看護補助業務等の職域開発に取り組んできたこと、障害のある方が一緒に働くことで就労支援に関わる医療職の熱量にも変化が生じてきたことなどが報告されました。両病院とも、人材不足への対応として障害者雇用を活用してくことについて、病院トップの理解が得られたことで、現場の職員の理解も進んでいったようで、今では「いてくれないと困る」というように、戦力として期待されているそうです。雇用率達成のためという受け身の姿勢ではなく、医療職の働き方改革につなげていくという視点は、他の病院にも大変参考になるものでしょう。

なお、この会の事務局を担当している障碍者就業・ 生活支援センターわーくわくの佐野さんによれば、パネルディスカッションを視聴された当事者のみなさんからは、「分かりやすかった」「病院で働くのもええなー」といったお話をいただいたとのことです。

(資料)「医療機関での働き方」

長崎県対馬市にある対馬障害者就業・生活支援センター主催(後援:ハローワーク対馬)による講演会「障害者雇用と多様性」が、令和5年2月24日に同市内の美津島文化会館で開催され、地元の企業や福祉事業所などから30人ほどが参加されました。

講演会では、最初に対馬障害者就業・生活支援センター就業支援担当の梅野颯也さんから「対馬障害者就業・生活支援センターの 紹介と活動について」報告があり、その後、当ネットワークの依田が「多様性の視点から考える障害者雇用と地域振興」をテーマにオンラインで講演を行いました。

対馬センターの支援地域は対馬市のみですが、市内には就労移行支援事業所も就労継続支援A型事業所もなく、就労継続支援事業所B型が4か所あるだけと、就労系福祉事業所も限られている状態です。障害者雇用できる事業所が少ない、障害者の雇用を支える支援機関も少ないといった問題点が指摘される一方で、人材不足による廃業や耕作放棄地の拡大といった地域が抱えている問題もあります。

こうした地域の特性を踏まえると、地元市や社会福祉協議会、商工会、農協、漁協等とも協働して、地域課題に対応する障害者雇用の職域開発を行うとともに、福祉的就労にとどめず一般就労につなげていく流れを作り出していくことが、障害者就業・生活支援センターの役割としても期待されていると感じました。

 

(講演資料)「多様性の視点から考える障害者雇用と地域振興」

 

 

愛媛県/南予地域就労支援ネットワーク連絡会の主催で、昨年度に続き「公的機関での障害者雇用についての交流会」がオンライン形式で2月10日に開催されました。愛媛労働局から県内の公的機関に声かけされたことともあり、愛媛県、7市1町、1広域事務組合、2国機関等から30名以上の方が参加されました。

愛媛労働局職業対策課地方障害者雇用担当官の川口隆靖さんの挨拶の後、話題提供として当ネットワーク代表の依田から「公的機関での障害者雇用の取組」についてお話しし、千葉県や神奈川県の教育委員会における障害者雇用の取組を紹介しました。また、愛媛県からは「愛媛県八幡浜チャレンジオフィスの障がい者雇用の取り組みについて」同オフィスのオフィスマネージャーの大野定武さんから報告がありました。

交流会では、公的機関の皆さんが日頃職場で悩まれていることについて質問があるなど、率直な意見交換が行われました。現場の課題として、公的機関は個人情報を取り扱うことが多いため、業務の切り出しに苦労しているとの声もありました。実際には、公的機関で個人情報の入力や個人情報の書類の廃棄などに従事している障害者はたくさんいますし、雇用には守秘義務が伴うことをきちんと説明すれば、ほとんどの人は理解できています。その上で、どうしても不安を感じる者には、個人情報に関わらない仕事を担当させれば良いでしょう。大切なのは、職員の「働き方改革」につながる業務を切り出す視点であり、職員アンケートをすれば、そのような業務が個人情報に関わらない業務にもたくさんあることが明らかになるでしょう。

交流会では、休みがちな者に対してどこまで配慮すべきかという悩みも出ました。障害者への対応というと、「福祉」的な発想で考えられがちですが、公的機関であっても賃金を払う「雇用」は、服務規程等の職場のルールが適用される世界です。雇用分野での「合理的配慮」は、職業人としての能力を発揮してもらうためのものであり、配慮をしても賃金に見合った働きが困難な場合には、雇用継続が難しいことは公的機関も民間事業所と変わりありません。

愛媛県では昨年に続く交流会でしたが、今年度は、沖縄労働局と宮城労働局でも地方公共団体を対象とした研修会が開催されました。労働局では「公務部門向け障害者職業生活相談員資格認定講習」を実施していますが、このような担当者レベルの研修とともに、組織内での障害者雇用の全体的なプランニングを行う人事部門を対象とした今回のような機会は、今後ますますニーズが高まっていくことでしょう。

(講演資料)「公的機関での障害者雇用の取組」

 

国立がん研究センターでは、平成23年4月に集中配置型の「ビジネスサポートセンター」を設置し、職場実習を経て5人の知的障害者を雇用し、その後、業務の拡大に伴い雇用数は徐々に増え、現時点では28名の障害者を雇用しています。ビジネスサポートセンターで働くスタッフは、郵便仕分け・配達・発送などの事務系の業務を行う「ビジネス班」と、看護師の補助業務等の医療系の業務を行う「メディカル班」に別れ、それぞれの得意な業務に従事しています。病院という職場の戦力としてスタッフが働けていることは、病院職員からの「助かっている」「有難う」という言葉にも現れています。同センターは、他病院からの見学者も多く訪れることから、障害のあるスタッフが実際に行なっている業務例を掲載した資料を作成しています。こうした資料は、他病院で障害者雇用を進める際にも大変参考になるでしょう。

(資料)「国立がん研究センター中央病院における障害者雇用の取組み」

 

 

「新たな日常生活における障害者・高齢者アクセシビリティ配慮に関する国際標準化委員会」の第2回委員会が令和5年1月26日にオンラインで開催され、委員として当ネットワーク代表の依田も参加しました。新型コロナウイルスの感染拡大期においては、従来とは異なる生活が求められ、障害者や高齢者も大変不自由を強いられた面があります。将来、新たな感染症の拡大が生じた際に、過去の経験を活かした取り組みが迅速かつ円滑に行われるよう、この委員会では規格化の提案を行うことを目指しています。昨年9月に開催された第1回委員会では、対象となる「日常生活」の範囲に「医療」も含まれるという整理がされましたが、第2回委員会では適用範囲に「サービス(人的対応を含む)」が含まれることも確認されました。本委員会は来年度も引き続き検討が進められる予定です。