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厚生労働省は、令和4年12月23日付で「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」を公表しました。

(資料)「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」

このうち公務部門の雇用状況は以下のとおりです。なお( )内は前年との比較です。

(1) 国の機関(法定雇用率2.6%)

在籍障害者の数は9,703.0人(98.0人増加)、実雇用率は2.85%(0.02ポイント上昇)。 国の機関は44機関全て法定雇用率を達成。

(2) 都道府県の機関(法定雇用率2.6%)

在職障害者の数は10,409.0人(265.5人増加)、実雇用率は2.86%(0.05ポイント上昇)で、 知事部局では47機関のうち1機関、知事部局以外では117機関中10機関が法定雇用率未達成。

(3) 市町村の機関(法定雇用率2.6%)

在職障害者の数は34,535.5人(1,166.0人増加)、実雇用率は2.57%(0.06ポイント上昇)。 2,462機関中616機関が法定雇用率未達成。

(4) 都道府県等の教育委員会(法定雇用率2.5%)

在職障害者の数は16,501.0人(394.5人増加)、実雇用率は2.27%(0.06ポイント上昇)。都道府県教育委員会は実雇用率2.26%で、47機関中21機関が法定雇用率未達成。 市町村教育委員会は2.33%で、48機関中16機関が法定雇用率未達成。

(4) 独立行政法人等(法定雇用率2.6%)

雇用障害者の数は12,420.5人(176.0人増加)、実雇用率は2.72%(0.03ポイン ト上昇)。独立行政法人等(国立大学法人等を除く)は91法人中13法人が法定雇用率未達成、国立大学法 人等は86法人中16法人が法定雇用率未達成、地方独立行政法人等は188法人中44法人が法定雇用率未達成。

これらの数値を見ると、特に市町村と教育委員会で障害者雇用が進んでいない状況が伺われます。定型的な現業業務が多く、むしろ障害者雇用が進めやすい環境にあるにもかかわらず、障害者雇用が進んでいない背景には、障害者雇用に関するノウハウの普及が遅れていることがあると思われます。これらの機関に対して、国や都道府県がどのような研修や情報提供の機会を提供していくかが問われていると言えるでしょう。

(参考)「公務部門の障害者雇用情報サイト」

(参考)都道府県教育委員会の障害者雇用事例

 


厚生労働省は、令和4年12月23日に民間企業や公的機関などにおける、令和4年の「障害者雇用状況」集計結果を取りまとめ、公表しました。障害者雇用促進法では、事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇うことを義務付けています。今回の集計結果は、同法に基づき、毎年6月1日現在の身体障害者、知的障害者、精神障害者の雇用状況について、障害者の雇用義務のある事業主などに報告を求め、それを集計したものです。

【公的機関】(法定雇用率2.6%、都道府県などの教育委員会は2.5%)

○雇用障害者数はいずれも対前年で上回る。※( )は前年の値
・  国  :雇用障害者数 9,703.0人(9,605.0人)、実雇用率 2.85%(2.83%)
・都 道 府 県:雇用障害者数 1万409.0人(1万143.5人)、実雇用率 2.86%(2.81%)
・市 町   村:雇用障害者数 3万4,535.5人(3万3,369.5人)、実雇用率2.57%(2.51%)
・教育委員会:雇用障害者数 1万6,501.0人(1万6,106.5人)、実雇用率2.27%(2.21%)

【独立行政法人など】(法定雇用率2.6%)

○雇用障害者数及び実雇用率のいずれも対前年で上回る。※( )は前年の値
・雇用障害者数 1万2,420.5人(1万2,244.5人)、実雇用率 2.72%(2.69%)

(資料)令和4年障害者雇用状況調査の集計結果

愛媛県では、障害特性に応じた受入環境の整備等の企業向け支援を行うとともに、障害のある求職者のスキルアップを支援することにより良質な雇用を創出し、県内民間企業における障害者雇用の促進を図ることを目的として、令和4年度に「障がい者雇用創出事業」を実施しています。この事業の一環として、企業向けの障害者雇用セミナーがWEBによるセミナー動画配信により行われ、当ネットワーク代表の依田が「企業経営に活かす障害者雇用の経験とノウハウ」をテーマに講演を行いました。

(講演資料)「企業経営に活かす障害者雇用の経験とノウハウ」

WEBによるセミナー動画配信は、令和4年12月5日から配信され、令和5年3月31日まで行われます。対象となるのは愛媛県内の企業ですが、セミナー参加企業にはアンケート調査を実施し、セミナーの満足度や理解度のほか、採用ニーズや現場の課題・悩みについて把握分析を行うとともに、希望に応じて個別相談を実施し、当事業による専門家派遣、障害者就業・生活支援センター等による採用支援等につなげることとしています。

愛媛県障がい者雇用創出事業 企業向け動画配信セミナー(愛媛県内企業が対象)

 

 

文部科学省では、通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果を取りまとめ、令和4年12月13日に発表しました。

(資料)「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」

調査結果によると、「知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒の推定割合は、小学校・中学校では8.8%(小学校は10.4%、中学校は5.6%)でした。同様の調査は、平成14年、平成24年にも行われており、対象地域や一部質問項目が異なるため単純に比較できませんが、平成14年は6.3%、平成24年は6.5%でしたので、かなり増加している印象です。

「校内委員会において、現在、特別な教育的な支援が必要と判断されている」児童生徒は28.7%で、「現在、通級による指導を受けている」のは10.6%、「過去に特別支援学級に在籍したことがある」のは5.6%でした。

発達障害の可能性のある児童生徒も、成長すれば就職して職業人として働くことになります。働く上で、特段支障のない人もいる一方で、何らかの配慮が必要となる人もいるでしょう。発達障害の傾向のある人は実際にはかなりいて、どこかで発達障害と明確な線を引けるものでもなく、誰もが発達障害の傾向を多かれ少なかれ有しているという認識こそ必要とも思われます。

発達障害の特性は、働く上で必ずしもマイナスとは限らず、仕事との適性が合えば相当の戦力になる場合も少なくありません。それぞれの人の特性を踏まえ、その特性を活かせる仕事に従事することで能力を発揮してもらえば、本人にも職場にも好ましい結果が得られることの理解が広がることを期待します。

(参考)発達障害の傾向と仕事の適性

NPO法人全国精神保健職親会(vfoster)(理事長:中川 均)が主催する「精神・発達障害者を就労につなぐ医療-福祉-企業の地域連携を考えるシンポジウムinふくしま」が郡山商工会議所(福島県郡山市)で開催され、「精神科医療機関と連携した就労支援のネットワークづくり」をテーマに基調講演を行いました。会場には就労支援機関を中心に30名ほどの方が参加するとともに、ハイブリッド方式で福島県外を含め20名ほどの方がオンラインで参加しました。

基調講演では、令和4年診療報酬改定で創設された「療養生活継続支援加算」の活用により、精神科クリニック等の精神科医療機関と就労支援機関との連携が進むことを期待するとともに、関係機関のネットワーク構築を進める具体的な方法として、「地域連携就労支援パス」の作成について提案しました。

基調講演に引き続き、精神科医療機関のあさかホスピタルの系列のNPO法人アイ・キャン施設長の高橋豊さん(作業療法士)から「就労支援の実践から考える医療機関の役割とは〜具体的なプログラムと支援者の視点〜」、福島障害者職業センター主任カウンセラーの舩津正悟さんから「精神・発達障害者の安定就労のためのポイント」、NPO法人いわき市障がい者職親会の石山伯夫さんから「障害者雇用を支える地域の連携〜いわきでの取組〜」について実践報告があり、その後に「就労に結び付いていない精神・発達障害者を地域の労働力として迎え入れるには」をテーマにグループディスカッションが行われました。

(講演資料)「精神科医療機関と連携した就労支援のネットワークづくり」

宮城労働局主催の「公務部門における障害者雇用セミナー」が12月2日にハローワーク仙台会議室(宮城県仙台市)で開催され、「公務部門における障害者雇用〜成功への道筋〜」をテーマに講演を行いました。会場には県庁、教育委員会、市町村などから30名以上の皆さんが参加されました。

講演後の質疑では、公務部門では利用に制約のある支援サービスについて質問がありました。障害者職業センターでは公務部門の個別支援は行えないとされていますが、公務部門で行われる研修で講師をすることは可能とされているので、市町村等で企画した研修会に講師として来庁してもらう際に、職場でどのような業務の切り出しが可能か現場を見てもらい、専門家としてのアドバイスを受けることは可能である旨を説明しました。また、障害者就業・生活支援センターについても、就業支援は公務部門は対象外とされる一方で生活支援は可能とされており、就業支援と生活支援は密接に関係するため、センターによっては生活支援の位置付けの下に就業支援に関わるアドバイスも行っている実態があることを説明しました。この点はセンターによって厳格に考えるところもあるので、一概には言えませんが、まずは相談してみる価値があるでしょう。

このほかセミナーでは、株式会社C&Cウェルフェア(北海道江別市)代表取締役の横堀大さんから「障害者雇用におけるシステム構築について」報告があるとともに、ハローワーク仙台の精神障害者雇用トータルサポーターから「発達・精神障害者しごとサポーター養成講座」の説明がありました。横堀さんの会社では、ギフトカタログの手書きの配送申込書を障害のあるスタッフがデータ入力していますが、スタッフの能力に応じて入力作業を3種類に分けるとともに、1つの作業を2人が別々に行いダブルチェックすることで、ミスの発生を防止するようにしています。データ入力系の仕事は公務部門でも大量にあるため、市町村のみなさんも関心がある様子でした。

今回のセミナーは、今年6月に沖縄で開催されたものと同様に、労働局が主催して県や市町村を対象に開催されたものです。障害者雇用のノウハウを必要とされる県や市町村の皆さんにとっては、こうした研修の機会は大変貴重ですので、他の労働局にもこうしたセミナー開催の動きが広がることが期待されます。

(講演資料)「公務部門における障害者雇用〜成功への道筋〜」

国の機関の職員に対する障害者の職場適応支援者養成セミナーの大阪での令和4年度第2回目が、11月24日からドーンセンター(大阪市)で開催されました。セミナーには、国の6機関から7名が参加されました。参加者の中には、現場で1人の障害者の雇用支援を担当している方がいる一方で、その機関全体の障害者雇用を総括する立場の方もいました。このため講義では、既に雇用している障害者の定着支援だけなく、採用段階でのマッチングや配置方法などについても、お話ししています。採用時のマッチングを確認する職場実習については、これまで公務部門ではあまり行われていませんでしたが、精神障害者や知的障害者の雇用経験を重ねる中で、各府省でも必要性が認識されてきたようで、複数の機関から職場実習の導入を検討している説明がありました。

また、今回のセミナーでは、これまで東京と大阪で計16回開催されてきたセミナーで初めて、国の2機関から障害者雇用の事例発表があります。公務部門で同じ苦労をされている方の話には、何より共感できるものがあるため、今後は、こうした公務部門内での情報交換の機会も作っていく必要があるでしょう。

(講演資料)「公的部門における職場適応支援者の役割①②」

 

福岡県にある民間の精神科病院で使われているシーツ交換マニュアルは、作業の細かな工程ごとに写真入りで丁寧に作成されていて、これを見ることでスムーズに仕事を覚えられるようになっています。実はこのマニュアルは、特別支援学校からインターンシップで病院に来た軽度知的障害のある学生が作成したものです。実習生には、シーツ交換、認知症デイケアの補助、環境整備等を体験してもらいましたが、これからの時代は情報技術があると活躍できる職域も増えると考えた病院では、PC操作の体験もしてもらいました。最初に少しだけ操作方法を説明した上で、シーツ交換作業の録画動画から静止画を切り出し、ポイントとなる工程ごとに静止画を選んで貼り付け、説明文も挿入してもらいました。病院側でも、いつかこういうマニュアルを作りたいと思っていたので、ちょうど良い機会となったようです。実習生のPC操作は特に問題もなく、説明文の表現について若干アドバイスする程度だったそうです。実習生にとってマニュアル作りは貴重な体験の機会となりましたが、完成したマニュアルは病院の「宝物」になったそうです。知的障害と聞いただけで、できることは限られると考えられがちですが、この病院のように既成概念にとらわれず新たな可能性を見出そうとする姿勢は、とても大切なことでしょう。

東京都町田市にある精神科200床の鶴が丘ガーデンホスピタル(後藤晶子院長)で開催された障害者雇用研修において、「精神科医療機関の機能強化につながる障害者雇用〜今日から始める!病院の次のステップに向けて〜」をテーマにした講演を行いました。同院は昨年で開院50年を迎えましたが、開院当初からPSWを複数採用しチーム医療を進めるなど、精神科医療における先進的な取り組みを進めてきましたが、地域貢献の強化と労働者確保に向けた新たな取組みの一環として、障害者雇用に本格的に取り組むため、今回の研修が企画されました。研修には、後藤院長をはじめ各部門から職員34名が参加され、大変熱心に受講されていました。今回の研修は、第1回目のキックオフという位置付けで、第2回目は障害者雇用を実践している都内の精神科病院の方からお話を伺う予定です。長期入院する患者が減少する一方、企業等で働く精神障害者も増加する中で、病院が自ら障害者を雇用することで得る経験やノウハウは大きいでしょう。研修後に皆さんとお話しながら、多職種連携が進んでいる病院の強みも活かして、地域の障害者雇用を支える病院へと発展していかれる可能性を感じました。

(講演資料)「精神科医療機関の機能強化につながる障害者雇用〜今日から始める!病院の次のステップに向けて〜」

障害者雇用の現場では、心身の障害特性を踏まえて、各自の能力が発揮できる職務を割り当てる「マッチング」を適切に行うことにより、想定以上の生産性が得られる場合が少なくありません。

こうしたことに加え、障害の特性に伴う作業上の苦手な部分を補うために、ジグ(治具)という補助的な道具が活用される場合もあります。しかしながら、製造業等の他の産業分野に比べると、医療分野でのジグの活用はあまり知られていないのが現場です。

医療分野の業務は、病院が異なっても作業内容は共通しているものが多く、他院で開発された職域は自院でも導入できるものが多いという特性がありますが、このことはジグについても同様に言えることでしょう。

このため、先進的な医療機関で活用されているジグの事例を紹介する「ジグ活用事例ライブラリー」を新たに開設し、医療機関の皆さんの参考にしていただくことにしました。

 

「ジグ活用事例ライブラリー」

 

紹介事例については、当該医療機関のご協力を得て、写真を添付するなど分かりやすい説明をお願いするとともに、できるだけ医療機関名も付記させていただきました。

「ジグ活用事例ライブラリー」は、現場での創意工夫の事例を紹介いただくことで、一層充実したものにしていくことができますので、皆さんからの事例紹介も是非お願いいたします。共有いただける事例については、以下までご連絡ください。

mediem.net@gmail.com